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須美ちゃんたちとの祝勝会から半月が経過し、俺は樹海に立っていた。二度目の御役目は、天秤的な形をした、竜巻きを起こす敵だった。
「身動きとれねーよ!」
3人はバーテックスが出現してすぐに近寄ってしまったから、風の影響をモロに受けて、動けない状況にいる。もちろん俺も今身動きが取れない状況だ。近寄っちゃった☆。……やるなら上からなんだけど、どうやって上まで行こうか。
「あのぐるぐる、上から攻撃すると弱そうだけど!」
「どうしようもない! 羽はズルいよな! ……須美⁉︎」
須美ちゃんが二人から手を離し、攻撃を仕掛ける。が、この敵に弓は相性が悪すぎるな。
「南無八幡大菩薩! ……そんな!」
「あ、危ない!」
ぶら下がってる塊を園子ちゃんが広げた槍で受ける。そして須美ちゃんは飛ばされていく。まずいな、小学生が受け止めていられる攻撃じゃないぞ。それに、このままだと須美ちゃんにあの塊が直撃するな。……やるしかないな、覚悟決めろ。
「銀ちゃん! 俺が3って言った時にアイツに向かって飛んでくれ! そのタイミングならあの塊に干渉されないで風で簡単に上に行ける! そのあとは上から攻撃を叩き込む!」
「オッケー、兄ちゃん!」
「1、2の、3!」
竜巻きを利用して、俺と銀ちゃんは飛び上がる。やべ、ちょっと飛びすぎたな。まぁいいや。銀ちゃんが切るものの、弾かれてしまう。何度か切りかかるが、やはり弾かれる。だけど、回転は少し弱まった。俺は声を張り上げ、銀ちゃんへ言う。
「銀ちゃん! そのまま着地してくれ! 後は俺がやる!」
「了解!」
俺の言葉に簡潔に返事を返して落ちていく銀ちゃん。良い仕事してくれたよ。ありがとう。
俺は回転しながら落下し、敵の頭頂部に踵を叩き込む。敵の黄色い体に罅が入り、割れていく。落下する最中に、敵の体へダメ押しで拳を叩き込む。罅が大きくなり、真っ二つに割れたのを見届けながら着地をする。
「……ふう、なんとかなった」
「兄ちゃん! 大丈夫⁉︎」
「うん、心配いらないよ。ありがとね、銀ちゃん」
鎮華の儀を眺めながら会話をする。今回は少し無茶をしちゃったなぁ。もっと安全な戦い方を考えた方が良さそうだ。今回のなんて言ってしまえばゴリ押しだもんなぁ。
◇◇◇
「ゴリ押しにも程があるでしょう!」
「「「「はい……」」」」
俺は神樹館の教室でお叱りを受けていた。もちろん小学生三人も一緒に怒られている。
「これじゃあ、あなた達の命が幾つあっても足りないわ。御役目は成功して、現実への被害も軽微なものですんだのはよくやってくれたけども……」
「それは、三ノ輪さんと乃木さん、それに兄さんのお陰です」
銀ちゃんと園子ちゃんは嬉しそうな声を上げる。俺も嬉しいんだけど、今回の勝ち方はあまり良くないからなぁ……。ちょっと浮かない顔になってしまった。
安芸さんが俺に話しかけてくる。俺の浮かない顔に気づいたのだろうか。
「はぁ……、勇太くん、何が言いたいか分かるかしら」
「連携の演習不足、ですかね」
「正解です。まず、4人の中で指揮をとる隊長を決めましょう。……勇太くん、隊長を頼めるかしら」
「俺は隊長じゃない方が良いと思います。俺は自由に動いて敵を探りながら戦う方が良いでしょうし」
「そう、なら貴方から見て誰が良いと思う?」
「……園子ちゃんですね」
須美ちゃんが驚いた表情をする。あー、なんで園子ちゃんが良いのか分かってないな。というより、小学生三人とも分かってなさそうだ。園子ちゃん自身も驚いた顔で俺を見てくる。
「そうね。なら、乃木さん、隊長を頼めるかしら」
「え? わ、私ですか?」
「アタシはそういうのガラじゃないから、アタシじゃなければどっちでも」
……須美ちゃん、俺が園子ちゃんを推薦した理由を家柄とか考えてないよな?
さっきまで驚いた顔だったのに今は普通の顔に戻って、なんなら微笑みを浮かべている? 自分がしっかりしなきゃとか考えてそうだなぁ。うーん、園子ちゃんのことをまだしっかり理解できてないんだな。
「私も乃木さんが隊長で賛成よ」
「わっしー……」
「決定ね。神託によると、次の襲来までの期間は割とあるみたいだから、連携を深めるために合宿を行おうと思います」
「「「合宿?」」」
三人はそう言って不思議そうな顔をする。合宿は親睦を深められて、なおかつ鍛錬にもなるし、いつもと違う環境に行くことで息抜きにもなる一石三鳥な行事だ。素晴らしいね。
そうかー、合宿ねぇ。楽しそうだなぁ。
「楽しんできなよ」
「何を言っているの、勿論貴方もよ。勇太くん」
「……え?」
◇◇◇
帰り道、俺は安芸さんに言われたことを思い出し、立ち止まっていた。
『連携を深めるために合宿を行おうと思います』
『何を言っているの、勿論貴方もよ』
あー、俺もかぁ。……連携の訓練だもんなぁ。そりゃ、俺も呼び出されるよなぁ。授業が遅れるのは……別に問題ないな。予習はバッチリだ。
合宿かぁ、なかなか楽しみだな。とりあえず、公欠届け出さないとな。よし、帰ったら書こう。アイツらにお土産買わないとな。
そんなことを考え、俺は微かに笑いながら家に向かって歩き出した。
アニメとほとんど展開が変わらなくてすみません…。