この素晴らしきメタルマックスに祝福を!   作:サイデリア

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レナ「アタシがサーヴァントになるならライダーかしら? アヴェンジャーかしら?」
アクア「私は当然――」
カズマ「お前は俺の礼装だろ」


第十二話 勧誘されるは……?

 色んな意味で無事に帰還できたことを祝して、今晩はイリットが少しばかり豪華な夕食にしてくれることとなった。

 帰ってくるやいきなり、レナがイリットに抱きついて、

 

「会いたかった〜♪」

「うふふ。わたしの方がも〜っと会いたかったかもしれませんよ?」

 

 とイチャイチャし始めたので、カズマ達はカルも連れて、一階のガレージへ夕食の時間まで避難していることにした。

 

「なあ、カル。お前の姉ちゃん、あれでいいのか?」

 

 カズマは弟として姉が百合百合してることをどう思うか尋ねてみた。しかしカルはキョトン顔だ。

 

「おねいさんは本当のおねいさんになってくれるって言ってたから、お姉ちゃんと仲良くても良いんだよ?」

「いいんだ……」

「それよりもカズマ兄ちゃん。アクアお姉ちゃん、あんなんだけど大丈夫?」

 

 あれ、と指を差されたアクアは、スナザメに喰われかけたショックがまだ抜けておらず、土気色の顔でゾンビのようにフラフラしている。上で寝ているように言ったが、バカップルと同じフロアは耐えられないらしい。

 

「水にでも漬けてればそのうち復活するだろ」

「そっかー」

「おぉぉーい! カズマ、ちょっと来てくれ〜!」

 

 アクアについてはカルに任せ、カズマは自分を呼ぶナイル老人の元へ小走りで向かう。その後ろをめぐみんも興味深そうにくっついてきた。

 

「どうしました?」

「お前が奪ってきたグラップラーのクルマを分解するぞ。これだけ新鮮なパーツがあれば、バギーだって元通り……いや、より強力な戦車に生まれ変わる!」

「ほほう。それは楽しそうですねぇ」

 

 めぐみんも作業場に並んだバギーと改造ワゴン車を見比べて、紅い瞳をランランと輝かせていた。

 

「その改造、私も一枚噛ませてください!」

「ほーぅ。お嬢ちゃん、アーチストか。いいぞ、一枚と言わず五枚でも十枚でも噛んでいけ!!」

「ええ! 百枚でも千枚でも噛みますよ!!」

 

 心の中の変な部分に点火してしまったようで、早速図面を引きながらあれやこれやと議論を交わすナイル老人とめぐみんの背後には、炎のような闘気が噴き上がっているようであった。

 

「って、なに後方理解者ヅラしてるんですか、カズマ! こっち来て手伝ってください!」

「よい機会じゃ! カズマ、このグラップラーのクルマを分解してみせい!」

「あー、もう! すぐに行くから大声出さないでください!!」

 

 カズマもまた、血気盛んなそんな二人の雑用としてコキ使われ、生還した直後だと言うのに夜遅くまで奔走することとなった。

 

 

 深夜どころか朝日が挿し込みだした未明になり、ようやく休憩時間となった。

 暴走するメカニックとアーチストの職人二人はともかく、付き合わされるカズマには修羅場もいいとこの忙しさだ。

 何故か頑なに自爆装置を搭載しようとするめぐみんに、自爆機能はともかくそれはエンジンを暴走させてするもので、独自の装置を組み込むのは邪道というナイル老人。結局自爆はさせるのか、と内心でツッコミながらも、カズマは一日でグラップルタンクをどうにかこうにかバラバラに出来た。

 今はどっちもスイッチが切れたようにガレージの床に倒れ、グーグーとイビキを掻いていた。

 熟練したメカニックは、戦闘中に敵のメカを解体してしまう。ナイル老人はそう言うが、少なくとも今のカズマでは夢のまた夢の話だ。

 

「ていうか、そんなの出来たら人間じゃねえっつうの」

 

 せめて寝る前に体を拭いてサッパリしようかと、カズマはフラフラしながらガレージ裏手の溜め池に足を運んだ。

 アクアのお陰で清潔な水に余裕が出来たので、体を洗えるように沐浴場が増築されたのだ。毎日は厳しいが、ネットカフェのシャワー感覚で使える共同浴場があるというのは非常にありがたい。

 

「アクア様々だな〜、こりゃ」

 

 簡単な板張りだけの塀で囲まれた中に入る。すると、

 

「あれ、カズマじゃない。早いわね」

「っ!?!?!? れ、レナ!?」

 

 なんと先客がいた。レナは入ってきたカズマを特に気にするでもなく、上半身を裸にして濡らしたタオルで体を拭いていた。

 性格こそ多分に『アレ』だが、レナの容姿は世紀末どころか、現代日本基準でも飛び抜けている。カズマよりも年下の15歳だそうだが、スタイルもアクアに比肩するほどだ。

 そんな美少女の半裸姿、女性経験が皆無なカズマには刺激が強すぎる。はっきり言って眼福どころか目の毒だ。

 

「ご、ご、ごめん!!」

「別に構わないわよ、鍵だって掛けてなかったし。それより酷い顔よ? 水浴びてサッパリしたら?」

 

 実にあっけらかんとした様子のレナは、本心から気にしていないようだった。

 そうなるとカズマにも男の子として変なプライドがある。傷痕があっても白い肌とか、ぷるんぷるん揺れる二つの膨らみとか、ちょっと身を乗り出せば簡単に見えそうな桜色の先端などを意識の外に弾き飛ばし、作業着を脱いでいく。

 この沐浴場は飲料用とは完全に独立しているが、中に入って体を擦ったりというのは厳禁だ。桶で水を汲み、縁に座って体を拭く為に使われる。

 カズマは無心で体を拭こうと試みるが、

 

(き、気になる……!)

 

 なるべくレナからは離れた位置に座ったものの、やはりどうしても気になってしまう。だって男の子だもん。

 

「……あのさ」

 

 無理やり見ないようにしすぎて頭から水を被っているカズマの挙動不審さを見かねたのか、レナが大きな溜め息を吐いた。

 

「見たいなら見ても構わないんだから、落ち着きなよ」

「い、いやいやいやいや!? ななな何言ってんだよレナ!?」

「勘違いしないでよ。手を出してこないなら、見る分には構わないってだけだから。アタシ、男に興味ないし」

「存じております……ってうわあぁぁぁぁっ!?」

 

 堂々と黒のタイトミニスカートまで脱ぎだしたので、カズマは慌てて背中を向けた。

 

「大声出すこと無いじゃない。見といて損しない体だって自負はあるんだけどな」

「自負より恥じらいを持て! ととと年頃の娘が男に軽々しく肌なんて晒すんじゃありません!!」

「はぁ。これはまた純情ですこと。その様子じゃ、本当にアクアとはなんにもないみたいね。あんな美女を犬扱いしておいて」

「う、うっせーな……」

 

 カズマは結局、レナの水浴びが終わるまで背中を向けたままピクリとも動けなかった。

 

「やれやれ。もう振り返っても大丈夫よ」

「お、ぉう。悪い……」

 

 体感では数十時間は経過したようだったが、実際のところ5分と経っていない。体の向きを直すと、衣服を身に着けたレナが濡れタオルで髪を梳いていた。

 水に濡れた淡い金髪に、微かに昇ってきた陽光が煌めく。

 

「……ねえ、カズマ」

 

 思わず見惚れていたカズマは、真剣な面持ちのレナに言われて我に返った。

 

「ナイルのじいさんから聞いてるか知らないけど、あなた達が直してるバギー、アタシがもらうことになってるんだ」

「あ、ああ。知ってる。一緒に戦ったハンターの形見なんだろ?」

「別に持ち主とは親しくなかったんだけどね。それでもさ、町を守る為に戦ったあんたが受け継ぐのがいいだろうって。アタシ、何の役にも立てなかったのに」

 

 俯くレナの表情が、陰に隠れて見えなくなる。彼女の心境は分からないが、メソメソと泣いている訳ではないのは確かだ。

 

「アタシはあのバギーで、テッド・ブロイラーを……ううん、グラップラーを叩き潰しに行くわ」

「そ、そうか」

「それでね、カズマ。あなた、メカニックとして同行してくれないかしら。旅が嫌でないならだけど」

「……えっ、え!?」

 

 目を点にしたカズマに、顔を上げたレナがニヤリと不敵に微笑みかけた。

 

「考えておいてね。それじゃ、また」

 

 それっきりレナは後ろ手に手を振って、沐浴場を後にした。

 カズマはしばらくボーッとしていたものの、やがて我に返ると小さく呟いた。

 

「……普通さ、仲間を集めるのって転生者の方なんじゃないの?」




アクア「ところでめぐみん? このバニースーツ、明らかにあなたの体型と合ってないわよね。どうしてそんなの持ってたの?」
めぐみん「う、うるさいですね! いつかはそれが似合うグラマー美人になる予定なので、それまで大事に保管してたんですよ!」
アクア「へー、そう……」
めぐみん「ちなみにその耐電圧バニースーツ、ちょっとした弾丸も弾き返せるぐらい頑丈ですので、気に入ったのなら通常装備にしてても構いませんよ?」
アクア「なにそのオーパーツ!?」
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