この素晴らしきメタルマックスに祝福を!   作:サイデリア

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レナ「メタルドックス、思っていたよりは楽しめたわ。そこそこ売れてるらしいし、これなら続編とか2リローデッドHDとか出るかもね」
カズマ「だといいけど」
レナ「もしくは世紀末ギャルゲーとかでもいいわ! 好みの女の子にインテリアとか衣裳とか送って好感度上げて、最後はデュフフフフフ」
カズマ「その場合、レナはプレゼントされる方じゃないのか?」


第十四話 馬鹿が戦車に何をした!?

「ふぅーっ。助かったわい。エルニニョでグラップラーから攻撃されてな。急いで逃げる途中でうっかりヤツの生息域に突入してしまってのー」

「そうですか……な、なんかどっかで聞いたような話ですね」

 

 トラックに乗っていたミンチと名乗る科学者から感謝の言葉を受けつつ、カズマは大破してしまったトラックから視線を背けた。

 スナザメの脅威からは、確かに逃れられただろう。だが大地を揺るがす大爆発によって吹き飛ばされ、砂の上を何度も転がり、岩に叩きつけられたトラックの車体は、背後のコンテナを残して大破してしまった。

 もっとも、その爆発の原因がめぐみんの特殊砲弾だったワケだが。

 

 砲弾を喰らったスナザメを中心にして、爆心地には直系20メートルはありそうなクレーターが形成されているのだ。

 底が見えないほど深いとかはないが、恐ろしいのは半円形になった穴の表面がツルツルしていることだ。爆発で発生したあまりの高熱で砂が溶け、ガラスのようになっていた。

 おかげで太陽光が収束されて上空に放たれ、遠くからだと空に向かって光の柱が伸びているように見えるほどだ。

 

「どうですか! これこそが爆裂ゲージツの極意です!」

「何が爆裂だ!! 戦車砲どころかミサイルじゃねえか、自爆するところだったぞ!! ひょっとしてあれか? 大破壊を起こしたのってお前の作品か何かか!?」

「ひぇ……待っ、カズマ待って! この眼帯は機械仕掛けですから引っ張ったりしたらぁぁぁ〜――うぎゃああああ!」

 

 被害の大きさを自信満々にドヤってるめぐみんに眼帯パチン(iゴーグル)で黙らせたが、間違いなく懲りていないだろう。それなりに特殊砲弾を作る材料があったのに一発しか完成しなかった時点でおかしいと思うべきだった。

 不幸中の幸いだったのは、爆裂による直接的な被害者がスナザメだけだったことと、地形が変わったところで誰も管理していないので修繕費や迷惑料を請求されないことだろう。

 

「積み荷が無事ならいーですだよ。大事な機材が壊れたら、旦那様の研究が止まってしまうだ」

「むしろ、よくわたし達が生きていたなってぐらいの壊れっぷりですよ……ああ、生きてるって素晴らしい……」

 

 ミンチ以外にもう二人の同乗者、フランケンシュタインのような大男のイゴールと、青いフードの死神みたいな服装の巨乳美人ウィズも、むしろスナザメに喰い殺されるよりマシと思ってくれてるようだった。

 

 何でもこの三人は、とある研究に没頭する科学者だそうだ。その研究内容をグラップラーに狙われ、あちこちを転々としているらしい。

 とりあえず動かないトラックはバギーで牽引し、マドの町まで引き上げることになった。

 

「それじゃ、帰りましょうか! スナザメの賞金がアタシ達を待ってるわよ!」

「おおっ! そういえば賞金首だったのよね、あのサメ!! ……でもマドの町ってまだまともな店も開いていないのよね……」

「しまった! 賞金の使い道がないだなんて……っ!!」

 

 楽しそうにはしゃぐレナとアクアに続き、ウインチが外れていないか確認してからカズマが、最後にぶーたれ顔のめぐみんがバギーに乗り込み、一同凱旋と相成った。

 

 

 世紀末の物価はいい加減だ。

 お酒一杯が3Gから、平屋程度の家一軒なら1000Gもあれば買うことができるが、あくまでそれは目安に過ぎない。持ち主の気分で物の値段はいくらでも変わるし、金が惜しければ暴力で奪っても法律が存在しない。

 それでも、スナザメ撃破によってハンターオフィスから支払われた2000Gという金額は、一般人ならば人生を踏み外しかねない大金だった。

 

「で。改めて『お金があっても店がない問題』について討論したいと思います! 司会進行はアタシ、レナ! は〜い、拍手ー」

 

 大金を掴んでテンションが高いレナを、イリットが突撃ラッパを鳴らして盛り上げた。その場にいた一同の攻撃力が無駄に上昇する。

 ナイルのガレージを間借りして集まっているのは、カズマ達以外にも町の長老など有権者が何人かいる。ノリに反して真面目な集いであるらしい。

 早速アクアが挙手した。

 

「ハイハイハイーイ! せっかくなのでエルニニョからさらに北上するのがいいと思いまーす!」

「なるほど、店が開いている町へ繰り出すのね! アクアさんボッシュート。誰か貯水槽に連れて行って〜」

「なんでよぉぉぉ!?」

 

 本当に連れて行かれてしまったアクアを放置して、次にゲストとして現れた逞しい体つきの見覚えある男がマイク(アーチスト用)を手渡された。

 

「あ〜、大工のデヤークだ。みんなのお陰で瓦礫の撤去もあらかた終わった。そこで壊された建物の再建をしたいんだが、それにハンターさん方の力を借りたい」

 

 カズマがマドの町を最初に訪れてから、何かと縁のあるデヤークがいうには、ハトバという町にいる「モリニウ」というトレーダーが頼りになるらしい。クルマを持ち、スナザメを倒したレナ達に、ハトバまで行ってモリニウを探して欲しいとのことだ。

 次に長老の一人から意見が出た。

 

「最近、エルニニョを牛耳ってるグラップラーのメンドーザが、町を通るトレーダーに重い税金を掛けとるそうだ。そのせいで以前よりも人の交流が少なくなっておる。腕の立つハンターさんや、エルニニョのグラップラーをなんとかしてくれんかのう?」

 

 さらに別の、元ハンターだという男から。

 

「ハトバの北にアンタレスってサソリの化け物がいるんだ! 俺の足はそいつにやられちまった! もし倒してくれるなら、俺のバイクをやってもいい!!」

 

 さらに別のバーテンダーみたいな男が。

 

「オレはエルニニョで『ヒヌケ団』ってレジスタンスを率いていたんだが、グラップラーの攻撃でアジトが破壊され、仲間も散り散りになってしまった! 腕の立つハンターさん、どうか力を貸してくれ!」

「……レナ、なんだか役所の悩み相談口みたいになってるぞ?」

「アタシもそう思う。いい大人が小娘に頼らないでよね〜」

 

 結局当初の予定から大きく外れてしまった集会だが、レナの今後の方針は決まった。

 

①ハトバでモリニウを探してきて、マドの町を復興させる。

②エルニニョのメンドーザを蹴散らして、物流を回復させる。

③レジスタンスに協力して、北の方で暴れているグラップラーの調査および撃破

 

「こんなところね。それで改めてなんだけど」

 

 集会が解散した後、ガレージ二階に場所を移したレナは、カズマとめぐみんに向かい合った。

 

「昨日の話、正式に受けて欲しい。アタシとチームを組んでもらいたいの」

 

 短い付き合いながら、レナが大真面目であることは見て取れた。カズマはもとより、めぐみんの表情も自然と引き締まる。

 

「レナ。確認ですけどあなたの一番の目的は、グラップラーを倒して人間狩りを止めさせることなんですよね」

「ええ」

「それは復讐の為ですか?」

「その通りよ」

 

 レナは即答する。その視線が首に掛けたiゴーグルに落ちた。

 

「テッド・ブロイラーだけじゃないわ。アタシの両親も、もっと多くの人達も、グラップラーにはたくさんのものを奪われてきた。今度はアタシが奪ってやるわ。命も宝も、何もかも」

「その復讐に巻き込まれろっていうのですか?」

「カズマはともかく、グラップラーに恨み骨髄なのはあなたもじゃないの、めぐみん?」

 

 聞き返されためぐみんが、ぎょっとして押し黙った。

 彼女にも何事かあったのか、心配そうにめぐみんを見たカズマに返ってきたのは、どちらかと言えば気まずそうな表情である。なんかこう、浮気がバレたみたいなアトモスフィアだった。

 

「いえ、あの、恨みというかですね……身内の尻拭いといいますか……ゴニョゴニョ」

 

 ものすごく言い辛そうなので、カズマは話の路線を強引に戻した。

 

「俺達でいいのか? レナだったらもっといい仲間を集められそうだけど」

「カズマとめぐみんだからいいの。アクアもね。強い人じゃなくて、冒険するなら楽しい人とがいいわ」

「むぐっ……」

 

 ストレートな口説き文句だ。めぐみんどころか、男のカズマさえドキッとさせられ――、

 

(い、いや! レナは女の子だから俺のリアクションとしては正しいのか!?)

「し、仕方ありませんね! 私もグラップラーには因縁があります。あなたのパーティメンバーとなろうじゃあありませんか!」

 

 カズマが思考をバグらせている間に、めぐみんが先に決断してしまった。

 経緯はともかく、一応はカズマだって世界を救う使命を帯びて転生してきた身だ。グラップラーと、大破壊を起こした人工知能も、無関係ではないかもしれない。

 しかしそれはそれとして、この世界の危険度は十分に身に沁みている。果たして自分に戦い抜く力などあるのだろうか。

 

「カズマ」

 

 彼の悩みを見透かしたように、めぐみんはカズマの手をそっと取り、

 

「心配しなくても、誰もカズマに戦闘力なんて期待していません」

「ええ! メカニックとして同行願うんだから、大破修理の腕さえ身に着けて貰えればずっとクルマに乗ってても構わないぐらいよ」

「むしろマドの町に戻ってきた時に無料で修理してくれるポジションが望ましかったりします!」

「…………お前ら……」

 

 身も蓋もないが、事実メカニックの戦闘能力はファンタジー世界で例えると魔法を使えない魔法使いなので、この扱いもむべなるかな。

 結局ヘタレなカズマ君は、マドの町復興支援の間だけの助っ人なら、という条件でレナのパーティに加わった。

 

 後でその事をアクアにも伝えると、小声で「ヘタレ」と鼻で笑われた。

 分かっているので言わないで欲しい。涙を堪えるカズマだった。




レナ「アタシがアクセルの町に行った場合、職業は何になるのかしら? カズマと同じ冒険者ってのも楽しそうだけど、盗賊やレンジャーってのもいいわね」
クリス「ちょっとカズマ!? このにじり寄ってくる変な女の子はなんなの!? またどっかから厄介事拾ってきたでしょ!?」
カズマ「人を変人収集家みたいに言わないでくれます?」
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