この素晴らしきメタルマックスに祝福を!   作:サイデリア

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 本当はもっと早く今回のイベントやりたかったんですけど、ちょっと余分なシナリオが多かったですね。以降はなるべく本編以外はダイジェストでまとめていきます。
 ちなみにダクネスのキャラがヤバい方向にぶっ壊れましたが、大幅にパワーアップしたのでヨシとしてください。


第二十話 ダクネス、死す

 近辺のグラップラーの司令塔であるグラップルタワーは、かつて無いほど騒然としていた。

 

「変態だー! あ、あの女ヤベェぇぇぇ!」

「ふははははっ! その程度かグラップラー!! 地獄の軍団と聞いていたがこの程度の責め苦しか与えられんのか!!」

 

 全身に銃撃を受けながら、その女は飢えた野獣が極上の肉に喰らいつくがごとく両眼を爛々と輝かせていた。

 長身に加えてメリハリのついたグラマーなスタイル……と呼ぶには筋肉が凄まじく、それでいて顔立ちにはあどけなさを残す美女である。金髪のポニーテールを、自分と()()()()()()()()()()()()血で汚した姿は、おぞましくも絢爛だ。

 

「ひぃぃ! く、来るなー!!」

 

 通常のグラップラーよりも武装が上位のグラップルアーミーが、鼻息を荒くして迫る女に向かってマシンガンを掃射する。

 弾丸は確かに女に吸い込まれていた。しかし頑丈な肌には掠り傷しか付いていない。片手に余る巨乳にいたっては、瑞々しさと弾力で跳ね返してしまった。

 アーミーの弾丸が尽きるのと、女の意外と大きいしゴツい右手が彼の頭部をヘルメットごと掴むのは、ほとんど同時だった。

 

「や、止めて! 死にたく――」

「全然足りーん!!」

「ポエムッ!!」

 

 アーミーの頭部は、無残にもヘルメットもろとも圧潰させられた。周囲に転がる、同じように怪力で潰された人間の残骸の一つとなる。

 

「はぁーっ! はぁぁぁーっ!! ふ、ふははは! 四天王はこの上かぁ!!」

 

 満身創痍となりながら、女は上階への階段をのっしのっしと踏みしめた。血の足跡をくっきり残し、視線は虚ろで浅い呼吸を繰り返す。

 最上階に辿り着いた女を待ち受けていたのは、ちょっとドン引きしている異形の怪人――否、怪猿であった。

 迷彩服にベレー帽を被った四本腕のサル、グラップラー四天王のスカンクスだ。

 

「キキ……ナンダ、コイツ?」

 

 女はすでに血みどろで死にかけ、放っておいてもぶっ倒れそうにも関わらず、怪猿を目にした瞬間に凄味に溢れる満面の笑みとなった。

 

「お前が四天王か!! ははははっ! まさかこんなサル……ゲホッ! サルだったとはな! 貴様に私を満足させることができるか!?」

「キキキ……死にたがりのバカか、オマエ?」

「さあ! 私に痛みを……至上の快楽を与えてみせろォ!!」

 

 どこにそんな体力が残っていたのか、女は大型肉食獣を想起させる敏捷性でスカンクスへ飛び掛かったのだ。

 しかし、作戦も何もない突進を待ち受けるほどグラップラー四天王は甘くない。

 

「キモチワルイ! オマエ、近づくな!!」

 

 スカンクスの反応は素早く、下側の腕から手榴弾を投擲。女の足元と頭上で同時に爆発する。敵の接近を止めたところで、次に上側二本の腕で二丁のアサルトライフルを連射した。

 雑魚とはランクの違う銃弾が女の全身を穿ち、踊り狂わせた。反動に全身を痙攣させながら、辛うじて倒れないだけで後方へ押し込まれていく。

 にも関わらず、女はますます笑みを深めていた。

 

「がっ、がぐッ!? ゲハ……ッ!! い、いいぞ、ごれだ!! ごの痛みが私をッ!!」

「ヒィッ!! オマエ、消えろ!!」

 

 なんかもう視るのもイヤだとばかりに、スカンクスはトドメのバズーカ砲を持ち出してぶっ放した。

 成形炸薬弾は過たず女を直撃して大爆発。熱風と衝撃波が屈強な体を軽々と吹き飛ばす。そのまま展望ガラスを突き破り、女の体は空中に投げ出された。

 事ここに至ってなお、女の顔が恍惚としていたので、スカンクスはとてもイヤなものを見てしまった気になって今日のことはさっさと忘れることにした。

 

 

 

 ちょうど同じ頃。

 荒野をアクセル全開でかっ飛ばすバギーからも、グラップルタワー最上階に生じた爆発を目視できた。

 今やすっかり運転に慣れたカズマがドライバー、なんだかんだ射撃が得意なめぐみんが銃座に着き、アクアとレナは後部座席にクリスと押し込められていた。

 

「まさか!」

 

 後部座席から身を乗り出したクリスが、顔を青くして狼狽えている。

 

「カズマ!」

 

 屋根の銃座からめぐみんが叫んだ。眼帯型iゴーグルが、爆発の中から落下していく人間らしき物体を捉えたそうだ。

 

「めぐみんちゃん! その人どんなか分かる!?」

「えーっと、身長170センチ! 髪は金色! レッスルインナーを着た憎らしいぐらいのボインボインです、コンチクショー!!」

「っ! ダクネスだわ!! レスラーなのよ、彼女!!」

 

 めぐみんから怨嗟の混じった報告を聞くも、ツッコむ余裕はクリスにない。ボインと聞いてレナが耳ざとく反応していたが。

 

「あ! カズマ、グラップルタワーもこっちに気付きました!! 機銃がこっちに向いています! そろそろ例の作戦ですか!?」

 

 続く報告で、カズマはバックミラー越しにアクアにアイコンタクトを飛ばす。

 

「アクア、プランBだ! 準備しろ!!」

「ひゃいっ!! や、ややややっぱりやるんですねカジュマしゃん!?」

 

 冷や汗ダラダラなアクアは極限の緊張状態にあるようで、レナにスカートを捲られているのに無反応だ。

 

「よし! めぐみん、タイミングは任せる!!」

「はいっ!! ……こういう使い方はシャクですけど!!」

 

 主砲の照準をグラップルタワーの真ん中辺りに合わせる。こちらに向けられた迎撃用の機銃が一斉に動作を初める、まさにそのタイミングで、めぐみんは爆裂弾を放った。

 直前までバギーを狙っていた機銃の何門かが、即座に反応して爆裂弾を迎撃する。どうやら自動迎撃するシステムだったようだが、反応の良さがカズマ達にはありがたい。

 空中で爆発させられた爆裂弾からは閃光、衝撃、爆音の破壊力だけでなく、副次的にある種のジャミング作用を周囲にもたらした。iゴーグルの電子望遠機能が乱れるとともに、グラップルタワーの自動迎撃システムまでが同時に誤作動を起こす。

 中には自爆する機銃まであったが、いちいち確認する暇は無かった。スーパーチャージャーを起動させ、カズマは一気にアクセルを踏み込んだ。

 周囲の景色が一瞬にして霞み、屋根の上からめぐみんの悲鳴が聞こえた。

 

(不謹慎だけど……ああ、クソッタレ! 楽しいな、おい!!)

 

 カズマは世紀末に汚染されつつある脳からアドレナリンやらドーパミンを大量に分泌させつつ、グラップルタワーの根本――地面に頭から突き刺さってスケキヨしているダクネスの元へ急いだ。

 そして寸前でハンドルを切って急速旋回。地面にくっきりとタイヤの跡を残しつつ180度ターンさせ、元来た道を逆走し始める。

 その場にアクア一人を放り出して、バギーは荒野の彼方へみるみる小さくなっていった。

 

「うううっ!! 毎回こんな扱い……女神なのよ、私!? 犬だってもっと大切にされてるわよぅ……」

 

 ぶん投げるも同然に車外へ放り出され、全身を砂埃や擦り傷でボロボロにしながら、アクアはダクネスに駆け寄った。

 

「お、重い……よいしょっ!!」

 

 ダクネスの足首を掴み、意外と強い腕力で強引に引っこ抜いた。

 

「うわぁ……こりゃダメだわ」

 

 一目で分かるぐらい、ダクネスは致命傷だ。しかしどういうわけか、その表情は無残に蜂の巣にされたとは思えぬぐらい満たされている。極上の料理を腹一杯に食べたような、ごちそうさまとでも言いたげだ。

 穏やかな死に顔を眺めていると無性に腹が立ったが、ぐっと堪えて死体を肩に担いだ。

 

「あ! 誰かいるぞ!」

「また侵入者か!?」

「ひぃぃぃ! カジュマしゃん、急いでぇぇぇ!!」

 

 タワーから続々とアーミーが現れ、アクアに気付くや戦闘態勢に入った。

 幸い、銃弾が放たれるよりも先に自動帰還装置が作動し、アクアはダクネスごとカズマの元――バギーの車内へと転移された。

 

 カズマはすっかりアクアの量子ワープ機能に味を占めており、今後もフル活用する気マンマンであるようだ。犬の女神に平穏は来ない。




世紀末ダクネス
職業:レスラー
サブジョブ:(今のところ)なし
特徴:凄まじい耐久力と怪力の持ち主。原作と異なり剣術に拘らない為に攻撃が当たる。
 その戦い方はまさに蛮族。おまけに騎士でも貴族でもないので、精神性から見事なまでに「高潔さ」が抜け落ちている。モアペイン!
亡き兄について一言:惜しい人を亡くした。欲求不満な私を悦ばせてくれる良い兄だったのに……!
※ダクネスのアレっぷりにしょっちゅう苦言を呈していただけです。
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