この素晴らしきメタルマックスに祝福を!   作:サイデリア

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 リローデッドは持ってるけど、たまに無印MM2もやりたくなります。


第二話 恐怖のグラップラー!

 バイアス・グラップラー。

 いつの頃からか、旧関西地区を拠点に活動している巨大な悪の軍事組織だ。

 恐ろしく強くて残虐な四人のモンスターに率いられた重武装の兵士達は、生き残った人間達の集落を次々に襲撃して若い人間を攫い、逆らう者は容赦なく虐殺するという。

 大破壊を起こした人工知能による人類抹殺プログラム以上の脅威であった。

 

「だがな! 人間達だって負けてねえ! 人間狩りのグラップラーを逆に狩る凄腕のモンスターハンター4人が、この町に揃ってるんだ! 今にヤツらを返り討ちにしてくれるぜ!」

 

 大工のデヤークと名乗った大男に連れられて、カズマ達は元浄水施設だった建物の二階に匿われた。地下のマンホールよりは危険だが、外にいるよりはずっとマシだ。

 それにここからであれば、外の様子も確認できた。

 

 バリケードを砲撃で破壊したグラップラーは、全身を覆ったプロテクターにライフルで武装した歩兵と、装甲車による混成部隊だった。

 グラップラーなどと言うので、バイクに跨ったモヒカン達による肉弾戦メインの連中かと思いきや、まさかの近代的武装である。アクアがますます頭を抱えた。

 

「ああぁぁぁ……もうダメだ、絶望的よ……これからあいつらに捕まって口に出すのも憚られるあんなことやこんなことをされるんだわ……いっそ先に死のうかしら」

「おいコラ、駄犬! 勝手に悲観してんじゃねーよ! 見ろ!」

 

 カズマが顎で差した先。酒場から次々と現れるのは、マドの町が雇った凄腕のモンスターハンター達だ。

 デヤークが一人一人解説していく。

 

「彼らは強いぞ。暴走バギーのガルシア、隼のフェイ、鉄の男アパッチ、そして不死身の女ソルジャーマリア。どいつも名前の売れた実力者達だ」

「け、けどクルマ相手じゃ……」

「いや、アクア! あの人達、すごいぞ!」

 

 アクアの悲観を打ち消すように、4人の戦士は襲い来るグラップラーを次々に蹴散らしていく。

 青い車体に強引に武装を接続したバギーが機銃で歩兵を薙ぎ払い、金髪の身軽な優男も背後からのフレンドリーファイアを恐れず敵陣のド真ん中に突撃する。

 赤いバンダナの屈強な男が至近距離からのバズーカ砲で装甲車を破壊し、長い赤毛の女性に至ってはただのキックでクルマをひっくり返してしまった。

 

「すげー迫力。どっちが化け物か分からないな……ん?」

 

 カズマはふと、超人達の大立ち回りに隠れてボウガン片手に戦っている、金髪の少女の存在が目に留まった。

 年齢はカズマより若いぐらいで、マント状のコートの下は黒いビキニに黒短パンで、胸の谷間やお腹、健康的な太ももなどを惜しげもなく晒しながら、歩兵の一人を金的を蹴り上げて無力化した。

 

「デヤークさん。あの子もハンターなのですか?」

「ん? ……いや、分からないが誰かの連れ子じゃないか? それにしてもすごいな、あれが熟練したハンターの実力か」

 

 デヤークは少女には特に興味も示さず、ハンター達の戦いに夢中であった。

 

「よっしゃ、そこよ! 撃っちゃえ撃っちゃえ! あ、逃げようとしてる! 赤い髪の人、右見て右ー!」

 

 まるでプロレスでも観戦しているテンションのアクアに呆れつつ、カズマは外の戦場へ再び目を向けた。

 不利を悟った歩兵が逃走を計り、すでに勝負は決したかに思われた。

 だが。

 

「がががーっ!!」

 

 悍ましい咆哮が町を震撼させる。逃げようとした歩兵が一瞬にしてオレンジの業火に呑み込まれ、文字通りの灰にされた。

 

「……はい?」

 

 アクアが思わずこぼした言葉はダジャレではない。

 

「用心棒として雇われた賞金稼ぎどもか! こざかしいマネを!」

 

 炎の壁をかき割って現れたのは、身長3メートルを超えるモヒカン男だった。

 土気色の顔には縫い目がいくつも走った、タラコ唇の厳ついブ男だ。青いボディスーツに包まれた巨躯は筋骨隆々。背中には大容量の燃料ボンベを背負い、そこから伸びるノズルが手の甲で火炎放射器として機能していた。

 先の大火力を目の当たりにしていなければ、アクアも「なにアレ? 今にもあべしっ! て死にそうなやられキャラじゃないの! プークスクス」と嗤っていただろう。

 

「あいつは……! て、テッド・ブロイラー!?」

 

 デヤークの声に、一緒に戦いを見守っていた避難民達が一斉にどよめいた。

 

「我らバイアス・グラップラーに歯向かうものには死あるのみ! ここでオレに出会った不運、悔やみながら死ぬがいい! がががーーーっ!」

 

 先端の火蓋は、大出力の火炎放射によって切られた。

 ハンター達が四方向へ散って回避するも、直後にテッド・ブロイラーは次の行動に移っていた。

 

「モヒカンスラッガー! がががーっ!!」

 

 頭頂部の真っ赤なトサカ、もといモヒカンを両手で挟んでぶん投げる。お前はどこのセブンだ! とカズマが内心でツッコミを入れた直後、青いバギーが縦一文字に真っ二つにされてしまった。威力まで本家セブンに劣っていない。

 バギーの運転手は辛うじて脱出し、アサルトライフルを手に反撃を試みた。

 他のハンターも銃撃を食らわせるが、テッド・ブロイラーは涼しい顔で受け止めて微動だにしない。

 

 ならば、と軽快な動きで敵を翻弄していた優男のハンターが、スーツの無い顔面を至近距離から撃ち抜くべく接近戦を試みた。

 目にも留まらぬとはまさにこのこと。優男は残像すら残す速度でテッド・ブロイラーに肉薄。眉間に銃口を突きつけた。

 甲高い破裂音が三連発で響く。

 

「なにっ!?」

 

 しかし、テッド・ブロイラーは巨体にあるまじき速度で瞬時に優男の背後へ回り込んでいた。剛腕でもって優男の胴体を鷲掴みにし、無造作に地面へ叩きつける。

 

「ぐはっ!?」

「フン。手緩いわ、死ね!」

 

 地面すら容易く溶解させる火炎に呑まれた優男は、一瞬のうちに消し炭となって息絶えた。

 

「フェイ! おのれぇぇ!」

 

 赤いバンダナの厳つい男が、敵討ちだとばかりに両手の銃で斉射を浴びせた。

 だが無数の銃弾も突進するテッド・ブロイラーには足止めにすらならず、鍛え上げられた厳つい男の体は、それ以上の質量とパワーによって弾き飛ばされた。

 

「テッド・ファイヤー! がががーっ!!」

 

 両手を合わせたテッド・ブロイラーの放つ、おそらく最大火力と思われる炎の中に、厳つい男の勇姿は空中に消えた。

 

「他愛無い。この程度か、賞金稼ぎども。ふん!」

 

 もののついでとばかりに、破壊された車体から銃を構えていた運転手にも炎が放たれ、車ごと業火に飲み込まれた。

 

「残るは一人。いや、後ろの小娘も含めて二人か?」

「! レナ、逃げな!!」

 

 赤い髪の女は、なおも銃を構えてテッド・ブロイラーに立ちはだかった。

 後ろには、あの金髪の少女がいる。戦意を完全に失っていた少女は、女の声に弾かれるように走り出した。

 

「がががーっ! 逃げろ、逃げろ! 早く逃げないとまっ黒焦げだががーっ!」

 

 巨体からは想像もつかない俊敏性で跳躍したテッド・ブロイラーは、女を容易く飛び越え、少女に向けて炎を放った。

 しかしわざと直撃を避けたようで、少女の逃走経路を塞ぐように炎で壁を作るに留める。

 尻もちを付いた少女は、腰が抜けてしまい立つことすらままならない。

 

「う、あ……あぁ……っ」

「ゲームオーバーだ、ガール。テッド・ファイヤー!」

 

 最大火力が放たれる寸前、女が少女を抱きしめるように庇ったが……献身も虚しく、二人は地獄の業火に呑み込まれた。

 

「あ……あ、あんなにも、あっさりと……」

 

 全てが終わるまで数分か、それ以下の時間しか経っていない。あまりの呆気なさに、カズマは悪い夢でも視ていた気分だ。

 

「な、なんで……なんで、あんな……っ」

 

 デヤークを含めた避難民も一様に言葉を失う中、アクアの繰り返すうわ言のような声だけが、カズマの耳に届いていた。

 

「あんなのがいるなんて、聞いてない……聞いてないわよ、神様……っ」

 

 神頼みする女神にツッコむ余裕など、今のカズマには無かった。




 第三者視点のオープニング。
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