この素晴らしきメタルマックスに祝福を!   作:無題13.jpg

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 徐福ちゃん狙いでガチャっちゃってしまいました。

 ミツルギは当初、サースティで登場予定でしたが、そうするとダクネスより先に登場&ただでさえ遅れている登場がさらに遅れる、という事情からビイハブ船長になってもらいました。
 別にミツルギを曇らせたかったんじゃないです。曇らせたいのはアクアです。


第三十一話 シャークハンター!

 アクアの表情は暗いままだが、それでも朝はやってくる。

 一方のカズマは、むしろ色々と腑に落ちた思いでスッキリ目を覚ますことができた。

 この世界は廃棄場なのだ。天国にも地獄にも逝けないとはすなわち、善行も悪行も重ねなかった「無価値」な魂とも呼べる。そういった処分に困った魂も、世紀末でなら嫌でも何かしらの業を積む。

 一応、ノアを倒せた転生者が報奨として願いを叶えられるのは本当らしい。だがそれは使命でもなんでもなく、期待すらされていない無理ゲーだ。いきなり自殺されても困るからという理由で与えられる仮初の希望だった。

 

(そういやこっちに来る寸前、後任の天使さんがアクアが降格されるとか言ってたっけ。あの性格じゃ勤務態度も悪そうだし、世紀末世界の管理神ってのがそもそも閑職だったんだろうな)

 

 そう考えたら、この駄犬にもちょっとだけ優しくしてやろうと思えてきたが、やっぱり自業自得だから犬のままでいいや。カズマの中で初対面から底値を切ってるアクアの評価が、特に変わることはなかった。

 

 

 

 メタルマックスは夜明けとともにネメシス号の待つドッグへと赴いた。だがいざ出発という段になって、ミツルギ船長が駄々をこねる。

 

「冗談じゃないぞ! その邪神を僕の船に乗せるだなんて!! Uーシャークと遭遇する前に嵐で難破するぞ!!」

「だってさ、アクア。転送装置でマドの町にでも戻ってろ」

「無理なの分かってて言ってるわよね、それぇ!!」

 

 何度も利用した「御主人様と離れられない機能」があるので、カズマ在るところアクア在り、なのだ。だがミツルギも譲るつもりは無いらしく、ついにはカズマごと乗船拒否だと言い出した。

 だがそうなると、黙ってないのがリーダーのレナだ。

 

「そういうことならキャプテン・ミツルギ。アタシ達の共闘も無しということね。船は別で探すわ」

「な、なんだって!? 赤い戦車にはアーチストの子も乗ってるんだろう!? だったらカズマ君がいなくても戦闘は出来るじゃないか! メカニックが必要なら、僕が知り合いに声を掛けるよ!」

「あのね? カズマはメタルマックスのブレインだし、アタシが選んだメンバーなの。あなたがこいつを拒否するってことは、アタシ達全員と仕事が出来ないって言ってるのと同じこと」

「むぐぅ……!」

 

 ミツルギの恨みがましいどんよりした睨みが、アクアに突き刺さる。アクアもアクアで後ろめたい気持ちがあるので、何も言い返さずカズマの背中で丸まっている。本当に犬のような仕草だ。

 

「か、カズマ君! そいつを絶対にクルマから出すんじゃあないぞ! 本当に! 頼むから! ねっ!!」

「ああ、うん。……そんなにビビんなくても」

「好き嫌いってあるものよ。ま、気にせず精一杯働きましょ? 期待してるわよ、ブ・レ・イ・ン♪」

「おま……っ!?」

 

 不覚にも至近距離で喰らわされたレナ・ウインクに、カズマの心臓は高鳴ってしまった。この女、意外と人を扱うのが上手なのだ。さっきのミツルギへの発言といい、ただの女にだらしない美少女ではない。

 

「カズマ、カズマ!」

「な、なんだめぐみん?」

 

 服の裾を引っ張られて振り返れば、めぐみんがこれまた破壊力満点な上目遣いで見上げてくる。なぜかさっきのレナよりドキドキした。

 

「んっ。……んっ!」

 

 顎を上げて何事かアピールしてくるが、何がしたいかさっぱり分からない。

 

「どうした?」

「むぅ〜」

「めぐみーん? 眼帯の下でウインクしたって伝わらないわよ〜」

「はっ!?」

 

 こういうところに気付くから、レナはやはりリーダーだ。

 

 

 

「カズマ! そっちからも来てます!!」

「分かってる! このアメンボがぁぁっ!!」

 

 バギーとウルフが船上の縁を器用に周回しながら、にじり寄るモンスターどもに機銃の雨を浴びせる。

 アシッドキャニオン中央の海――元は琵琶湖だったらしき湖を移動するのに最も注意すべき存在とは、サメでもカメでもない。機械のアメンボことアクアウォーカーだ。

 硬い、素早い、数が多い、極めつけに攻撃力が高いという、嫌われる要素てんこ盛りのサイバネティックモンスターだ。

 それ以外にもクラゲ、マンボウ、ゾンビのサーファー、潜水服のゾンビなど、発想からして狂ってるモンスターをひたすら狩り続けて、あっという間に太陽が頂点に達した。

 

「くそう。今日は見つからないか……あのサメ野郎、どこだ……ッ!!」

 

 舵を取るミツルギが目に見えて苛ついている。バズーカ砲みたいな水中銃を担ぎ、アクアウォーカーを生身で粉砕しながらも、ミツルギは険しい顔で湖面を睨んでいた。ザコに用はない、と言わんばかりだ。

 

「視界は水平線まで良好なのにな」

 

 こっちは素手でモンスターを破壊しつつ、全身に銃撃を受けて頬を紅くしたダクネスだ。なぜか船外の相手にパンチやチョップが届いているが、本人によれば闘気を飛ばしているのだとか。いい感じに人間を卒業しつつある。

 耐久力も上昇しつつあり、スカンクスから受けた致命傷の痕以外は回復アイテムで綺麗サッパリ消え去ってしまっていた。「これでまた怪我ができる!」と悦ぶダクネスは、どこに向かっているのだろうか。

 

「どうする、船長? 出直すか?」

「いや。雲行きからしてもうすぐ嵐が来る。ヤツは天候が崩れた時、暗雲に乗じてよく現れる気がする!」

「勘かよ」

 

 ハンターが感じる「獲物の匂い」と違って、信用できないのはなぜだろうか?

 だが、程なくして一天俄にかき曇り、本当に嵐がやって来るとミツルギの話も信憑性を帯びてきた。

 

「酷い視界だな。めぐみん、レナ、うっかり船から落ちるなよ?」

「そっちもね、カズマ――!? めぐみん!」

「はい! こっちでも捉えました!! 大型の動力反応が接近中です! ハンターオフィスで受け取ったデータと一致率98.7パーセント!!」

 

 いよいよか! 全員に緊張が走る。

 湖面が盛り上がり、巨大な水柱を掻き分けてついにヤツが現れた。

 鋼のような甲羅にカタパルトを設置した、湖の主。幾隻もの船を沈め、何人ものハンターを血祭りに上げた賞金首! トータルタートルである!

 ネメシス号は即座に回れ右して全速力で逃走を企てた。

 

「はい、撤収〜! コイツじゃない、逃げろーっ!!」

「ちょっと!! 獲物を前に芋引いてるんじゃないわよ!!」

「そうだぞ、船長! 何のためにシーハンターを積み込んだと思ってるんだ!」

「僕の目的はUーシャークだけだ!! 他の賞金首との戦いは契約に含まれていない!!」

 

 レナとカズマから批難を受けるが、ミツルギは当然のように言い捨てる。正論だが、果たして敵が見逃してくれるだろうか。

 

「おい、正面を見ろ!! また何か出てくるぞ!!」

 

 逃げる方向をダクネスが指差す。白と水色を基調とした流線型のボディ、空を翔ける背びれが嵐の中で輝くのは間違いなくトビウオンだ。

 

「船長ぉ!」

「分かってる! 明日に向かって退却だーっ!!」

「いや、戦えよ!!」

 

 悲しいほどの逃げ腰なミツルギだが、カメもサカナも完全にこちらを完全に捕捉している。しかもカメはともかくサカナの飛行速度はこっちよりも速い。

 

「くそ、船長は当てにならないか! しょうがねえ、逃げながら戦うぞ!!」

「最初っからあんな男に頼ってないわよ。めぐみん、ダクネス、それとアクア!! 狙うのはトビウオンよ!! あいつを叩き落とせば、そのまま逃げ切れる!」

「……無理みたいです。前方に新しい反応が……」

「な、なんだあれは!!」

 

 いつの間にやら進行方向を塞ぐように、その島は現れていた。

 否……それは島ではなく、巨大な島を背負った軟体類のような巨大モンスター。

 トビウオンどころかトータルタートルを超える70000Gの高額賞金首! 湖の真の主! 奇怪ヵ島の異名を持つグロウィンだ!!

 

「サメ以外、全員集合かよ!!」

 

 文字通り進退窮まったメタルマックス! 果たして彼らに打つ手はあるのか!?

 続く!




 カズマ少年はこの先も、自身の幸運を自覚することはないだろう。
 自分が廃棄物だという現実に気付こうと気付くまいと、転生者の末路は悲惨なものだ。如何に現実離れしたチートを持とうとも、環境に適応できずに自殺し、改めて地獄に堕ちる末路がほとんどだから。
 適応しすぎた果てに人間性を失い、今日も元気に悪事を働く馬鹿も多いが、そのどちらでもなく正気を保ち、着実に自分の生活基盤を整えているカズマは、運にも状況にも恵まれている。もしかすると彼のような存在こそが、神に見捨てられた世界をひっくり返すイレギュラーになるのかもしれない。
 ところでわたしはいつになったら天界へ戻れるのだろう。アホな先輩の尻拭いに奔走し、とうとう一つの町の市長になってしまった。

――とある女神の手記
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