カズマ「うっわ、本当に女の子になってる。……可愛い。胸デカい……」
レナ「さ、ボケーっとしてないで行くわよ、カズマ! ここは初心者冒険者が集まるアクセルの町! まずは冒険者登録から始めましょ?」
レナ「すみませーん。女の子二人、同じ部屋でお願いしまーす」
カズマ「って、ここ
※突発的に思いついたネタ
正面には巨大な人喰い島!
上空からは機械のサカナ!
ちょっと遅れてカタパルト載せたカメ!
有り体に表現して絶体絶命の大ピンチだ。
「船長ぉ!!」
生存本能がレッドアラートを響かせたカズマは、現状で最適解と思われる作戦を提示する。
「トータルタートルに向かって全速前進だ! アイツが一番攻撃の手がヌルい!!」
「何だと、正気か!? 賞金額ならトビウオンの方が安いぞ!?」
「金額じゃねーんだよ! いいから舵を切れ!!」
有無を言わせない迫力に、ミツルギは気圧されながらも「分かった」と指示に従った。
ネメシス号が進路を急速変更させるや、トビウオンが釣り餌に引き寄せられるように食いついた。
ところがだ。トビウオンの進路をグロウィンの触手が邪魔をして、腹を立てたのかトビウオンもグロウィンに攻撃を仕掛けた。そのまま両者は交戦状態に入ってしまう。
舵を握りながら、ミツルギが背後の光景に目を疑う。
「ど、どうなってるんだ!?」
「どうもこうもないだろう。ヤツらは同じ地域の賞金首同士だが、仲間でもなんでもないんだからな」
当然だと言わんばかりのダクネスに、ミツルギはカズマがこうなると分かってて進路を変更させたのか、と怪訝な表情をする。
モンスターの全てが統率された
「油断するなよ! まだ厄介なのが残っているぞ!!」
突然ストレッチ体操を始めたダクネスに困惑を覚えつつ、ミツルギは操舵に集中した。
「シーハンター、セット! いきますよ、レナ!!」
「オッケー♪ 電光石火の早業で魅せてあげる!」
「砲撃演舞! カメェェェッー!」
多段装填の魚雷ミサイルが、二台のクルマより一斉に放たれた。
トータルタートルの衝撃波攻撃を飲み込み、外見からして頑丈そうな甲羅装甲に無数のシーハンターミサイルが突き刺さり、爆発が怪物ガメを覆い尽くす。
「いよっしゃあ!」
当たりの良さにレナは思わずガッツポーズ。会心の一発が複数出た手応えがある。
無論、弱った獲物を取り逃がす甘い考えではハンターは務まらない。水中へ潜ったトータルタートルの、一番弱い部分をシーハンターで『狙い撃つ』!
『ギャァァァァァァン!?!?!?』
レナからの第二射が相当痛かったらしく、トータルタートルは牽制にミサイルをばら蒔いてさらに深く潜航していく。そのまま索敵範囲から姿を消してしまった。
「ちぃぃっ!! カメのクセに逃げ足の速い!!」
「知ってますか、レナ? 亀って泳ぐのが意外と速いそうですよっ!!」
軽口を叩きながら砲塔を180度ターンさせためぐみんは、今度は主砲を空に向けた。グロウィンの触手から逃れたトビウオンが、機銃をばら撒きながら猛然と追い上げて来ている。
その銃撃を真正面から受け止める肉癖――もとい肉壁が、鮮烈な笑みを浮かべて立ちはだかった。
「その程度の銃撃など……私にはオードブルにすらならーーん!!」
なぜか遠距離に届く台風チョップを全身に受けたトビウオンが、空中で大きくバランスを崩した。そこへ、待ってましたと125ミリサイガンの砲撃演舞が炸裂した。
エンジンから黒煙を上げ、トビウオンが湖面へ衝突。巨大な水柱を上げて沈んだ――かと思いきや、今度は高速で水面を滑るように襲い掛かってくる。
体当たりを側面に喰らったネメシス号の船体が、大きくグラリと揺さぶられた。
「そりゃトビウオなんだから泳げるよな……!」
「ふん! 水上に落ちたなら、シーハンターの恰好の的ではないですか! カズマ、爆裂弾の許可を!!」
「水上で!? 余波で転覆するぞ、ダメダメ!!」
めぐみんは頬を膨らませて不満を表しつつ、シーハンターの狙いを再びトビウオンへ向けた、その時だ! ネメシス号が突如として回頭する!
「見つけた……いたぞぉ! いたぞぉぉぉぉぉっ!!」
地獄の亡者も怯えるミツルギの怨嗟。まったくの明後日へ向いた船首の先に、明白な答えがあった。
鈍い青色のボディに、戦艦のデッキと砲塔を乗せた化け物ザメ――血の匂いにでも引かれたのか、ついにヤツが姿を現した!
「うおおおおおおっ!! U−シャァァァァァークぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
「ぎゃああああーっ!!」
甲板でウルフとバギーが横滑りするほどの加速で、ダクネスが悲鳴を上げながらすっ飛んでいった。
「げぇっ!? お、落ち着きなさい、馬鹿!!」
「みんな、戦闘準備だ!! 今日こそヤツを倒すぞ!!」
「さっきからもう戦って……まあいいか」
無駄だと気づいて怒鳴るのを止めたレナは、カズマ達に通信を入れた。
「カズマ、めぐみん! いけるわね?」
「問題ない! ダクネスが落ちたけど、アクアを拾いに向かわせた! いつもので戻ってくるハズだ!」
「本当に便利ね! トビウオンは?」
「まだ追ってきています! こうなりゃとことんまでやってやりますよ!!」
「オッケー、その言葉が聞きたかった! 爆裂のタイミングは任せるわ! グッドラック!!」
そうしてウルフはトビウオンの迫る船尾方向へ、バギーは正面のU−シャークを迎え撃つべく船首へ向かった。
「殺す! 今日こそ蒲焼にしてやるぞ、U−シャァァァァァァァークッ!!」
両眼を血走らせたミツルギが気炎を上げながら、U−シャークの放つ砲弾をガトリングガンで撃墜する。固定式砲台を振り回す腕力といい、ミツルギという男、戦闘能力は本物なようだ。
レナはその隣にバギーを付けた。
「殺る気充分ね、船長!」
「ああ! やるぞ、俺に力を貸してくれぇぇぇぇーっ!!」
会話しているようで一方通行なミツルギの言葉は、ここにいない誰かへ叫び返したものだ。物理的には憎い仇敵を睨みながらも、実際にはすでに存在しない
間違いなくそれは、戻らない過去の日々。レナで例えるならマリアと過ごした修行時代だろうか。それが理解できるからこそ、レナは強く思う。
(絶対こうはなるまい。復讐は果すけど、それだけに人生を捧げるつもりは毛頭ないの!! テッド・ブロイラーは殺す! 幸せにもなる! 二兎追いかけて三匹目を捕まえるぐらい貪欲じゃないと、ハンターなんてやってられないの♡)
口唇を一舐めし、獰猛な笑みでハンドルを握る。
『キシャアァァァァァ!!』
ミツルギの猛攻をものともしないU−シャークが、脳天からネメシス号に衝突した。船体を覆った装甲から稲妻のような轟音が鳴る。嫌な当たり方をした。
「うおお! 僕のネメシス号は無敵だぁーーっ!!」
滅気ずに反撃に移ったミツルギに便乗し、レナもシーハンターで会心の一発を狙い撃つ。多弾倉ミサイルの雨と機械化ザメの砲撃が空中で衝突し、弾数で勝ったシーハンターがU−シャークの艦橋を爆撃した。
『グオオオォォォォ!?』
怯みはしたが致命傷には遠く、湖上に鎌首もたげたU−シャークはニ連速射砲にて反撃。分厚く強化されたバギーの装甲タイルがいくらか吹き飛ぶが、シャシーが無事ならと構わず追撃に打って出た。
「全弾撃ち尽くすつもりでいくわよ!!」
船の縁ギリギリで陣取り、二度目のシーハンター一斉射がU−シャークの魚体を狙う。
『ギャォォォンッ!?』
悶え苦しむU−シャークは、苦し紛れに尾ビレで湖面を思いっきりぶっ叩いた。その途端、水が高波となってネメシス号を飲み込んだ。
「うそ……うわぁっ!!」
バギーごと水を被ったレナは、すぐに計器をチェックする。水濡れ程度で破損するヤワなクルマではないが、酸を含んだ水が濃霧となって周囲に滞留し、嵐と合わさってU−シャークの姿を隠してしまった。狙ってやったなら大した知能だ。
iゴーグルの情報にもノイズが走る。
「小癪な、U−シャークめぇ!! うおおおおおおおっ!!」
当たるを幸いとガトリングガンを乱射するミツルギを無視して、レナは神経を尖らせる。苦々しく奥歯を噛み締めながら、獲物の匂いを嗅ぎ分けた。
(落ち着きなさい! まったく見えないわけじゃあない!! ヤツはまだこっちを狙っている……次に砲撃が来たら、その方向へシーハンターを叩き込んでやる……!)
自然とハンドルを握る手にも力がこもった。
暴風雨はますます強くなる。船尾方面ではまだ爆撃音が続き、ウルフとトビウオンの戦いは続いているようだ。
「来たッ!!」
「むう!」
レナの声にミツルギも超反応を示す。真後ろから現れた砲弾と大質量の影に、ありったけの弾薬を叩き込んだ。
『ギャァァァァァァン!!!!!!』
苦悶の叫びを上げてのたうつ巨影……だが、それは狙っていた機械ザメではなく。
「か、カメぇぇぇ!!」
一度は撤退したと見せかけ、リベンジに現れたトータルタートルだった。
鈍亀とは思えぬパワーで湖面から跳躍し、シーハンターとミツルギの砲撃を物ともせずにネメシス号の甲板へ乗り上げたトータルタートルは、大口を開いて衝撃波砲をバギーに撃ち込んだ。
嫌なショックが車体に走る。ステータスモニターに「シャシー 破損」の文字が浮かんだ。
「やってくれる……はっ!?」
カメの側面へ回ろうとして、タイヤが空転。衝撃波と一緒に放たれた冷凍弾で車体の前半分が凍結していた。
身動きできないバギーに、トータルタートルが巨体を活かして突進。寸前で車内から脱出したものの、バギーは凍りついた床板の一部ごと湖へ放り出されてしまった。
(まずいッ!)
クルマの喪失という、過去に類を見ない大ピンチに、さしものレナも顔色が変わる。
そんなレナの状況を知ってか知らずか、トータルタートルはミツルギを完全に無視して、生身のレナへ衝撃波砲を向けた。
(やられる……ッ!!)
周囲の景色がヤケにゆっくりだ。この感覚には覚えがあった。
マドの町が襲撃された日。あの憎たらしいモヒカン野郎の炎を喰らった時と同じだ。
確実な死の予感……だが、あの時のレナは恐怖のあまり目をつむってしまったが、今の彼女はハンターだ。狩る者が狩られる者に怖じ気付いてどうする!?
(最後まで、銃爪は……!)
手放さないと心に誓った。だからライフルの銃口を、当たれば多少は効きそうな目玉に向けてやる。
「まったく、無茶をする!!」
そこへ割って入った大きな背中は、カメが放った衝撃波を強靭な肉体で受け止めてしまった。
「体を張るのは……レスラーの仕事だぞ!!」
振り返ったダクネスは、今回一番の大ダメージにとても満足したようで、これ以上無いほど清々しい笑顔であった。
いつの間にやらチーム・メタルマックスには、カズマの作戦には無条件で従うという信頼関係が結ばれているようです。あんまりクズ、鬼畜要素も無いし、これってひょっとして綺麗なカズマ? ※女たらしなリーダーから視線を背けつつ。