この素晴らしきメタルマックスに祝福を!   作:無題13.jpg

34 / 72
 感想を読んで思いついた、もっと世紀末シリーズ。
アクア「ここは東京受胎によって生じたボルテクス界っていう……なんか、なんかこう新しい宇宙誕生の卵的なアトモスフィアなのよ!」
カズマ「ヤバそうな雰囲気だけ伝わってきて実情が全然視えないんすけど!? それよりどうして俺ってば上半身裸なんだよ!? そしてこの文様は!?」
アクア「それは……えっと、なんだっけ。知らない。なにそれ……怖っ」


第三十三話 湖の覇者

 遡ること数分前――。

 

「うおおおお! 根性ぉーっ!!」

 

 らしくない雄叫びを上げながら、カズマは水面に落ちたトビウオンが苦し紛れに放ってくるロケット弾を、右へ左に回避する。直撃を受ける床の鉄板が酷いことになるが、コラテラルダメージと割り切った。

 ついでに魚雷が何発もネメシス号の船体を襲っているが、これもコラテラルダメージだ。というか水中の魚雷とかどうしろと?

 

「カズマぁ! わたし、無性に迎撃装置が欲しいです!!」

「奇遇だな! 俺もだチクショウ!!」

 

 ウルフはもはや、水平に高速スライドしながら正面からくるロケット弾とそれを撃つ本体を主砲で狙うという、リアル「戦車でバンバン」状態となっていた。

 いつの間にか身に付いた巧みな運転捌きで弾避けに専念するカズマはともかく、機銃で迎撃、主砲とS−Eで反撃するめぐみんは、高性能C−ユニットの恩恵があっても吐血しそうなほどに忙しい。

 

「カズマ、わたしもう限界ですっ! 爆裂!! 爆裂弾を撃たせてください!!」

「だから駄目だってば!! また自爆する気か!」

「死なばもろとも! 最後に浮かぶ瀬があれば!!」

「勝てる勝負を捨てようとするんじゃない! いいからトビウオ野郎をぶっ潰せ!!」

 

 瞳が渦を巻いていそうなめぐみんの手綱を握りつつ、カズマ自身も結構ギリギリの操縦を強いられていた。

 手応え的に残り一発かニ発、良いのを当てれば倒せそうなトビウオンだが、向こうももう逃げたり隠れたりせず、ネメシス号に肉薄してウルフの武器の死角を突いてくる。特に弾速が遅いシーハンターではまず回避される位置をキープしつつ、ロケット弾と魚雷でネメシス号そのものを狙ってくるのだ。実にいやらしい機械魚であった。

 

「やっぱりカズマ! 爆裂で一気に吹き飛ばしましょうそうしましょう!!」

「ダメダメダメダメ我慢してめぐみんさんんんんっ!! 頑張って耐えたらこの間やりたがってた超改造してもいいから!!」

「いつ爆裂するの? ジャスト・ドゥ・イット!!」

「ノー!! ユー・キャント・エクスプロージョン!!」

 

 が、めぐみんが本気で暴走する寸前で戦局が動いた。ついにロケット弾を撃ち尽くしたらしいトビウオンが、射撃を止めてネメシス号から一旦距離を取ったのだ。

 シメた! と口唇を一舐めするカズマさん。あの距離であれば爆裂の余波はこっちに掛からない!

 

「よっしゃめぐみん! 今だ、今! やっちまえ!!」

「ガッテン――」

 

 だがしかし。そこに襲ってきたのは、U−シャークが起こした高波だった。ネメシス号を丸ごと呑み込んだ大量の水は当然、ウルフにも被害をもたらしていた。

 

「ぎゃああっ!!」

「しまった……見失った――ああっ!!」

 

 隙きを晒してしまっためぐみんが遅れを取り戻すには、ほんの少し時間(ターン)が足りなかった。十分な助走距離を稼いだトビウオンは、魚雷によって弱ったネメシス号の船体へ突撃――否、玉砕覚悟の特攻を仕掛けてきた。

 砲塔を回すも、間に合わない。自爆覚悟で爆裂しようと瞬時に弾倉を切り替える。

 

「ジェーーーーーーーーーーーーット!!」

 

 それを止めたのは、水中からトビウオンをかち上げて雄々しく飛び出した、美しき金髪の女子レスラーだった!

 

『!?!?!?!?』

 

 魚雷同然の速度で真下から突き上げられたトビウオンは、ウルフを見下ろす高空へと返り咲く。しかし飛行能力を失った今や、身動きできないヤツはただの的だ。

 めぐみんは主砲をほとんど垂直になるほど引き上げ、トビウオンへ照準を合わせた。

 

「どっせぇーい!!」

 

 気合いの掛け声と、必殺の一撃。

 サカナにとっての急所、エラに位置する排熱ダクトに砲弾を直撃させ、哀れにも首がもげたトビウオンは残骸となってネメシス号の甲板に叩きつけられた。

 

「おっしゃ、ワンダウン!!」

「油断するな、カズマ!! 次が来ているぞ!」

 

 トビウオンを殴り飛ばした後、自分も甲板に着地したダクネスは、這い上がってきたトータルタートルに向かって全力疾走。レナに向かって衝撃波が放たれる寸前で両者の間に割って入った。

 

「体を張るのはレスラーの仕事だ! ……はァァァ〜ん♡」

「ち、ちょっと! 恍惚の表情でぶっ倒れないでよ!!」

 

 ごちそうさまとでも言いたげな表情で大の字に倒れ込むダクネスに、急ぎ駆け寄ったレナは、秘蔵のエナジー注射をプスッと注入。

 

「ガハッ!! なんてことだレナありがとう!! せっかくの痛みが消えてしまったお陰で助かったぞ!」

「少しだけでも本音を隠しなさいよ!!」

 

 レナは見た目さえ良ければ性格は問わないつもりだったが、ダクネスについては無理そうだと心から思った。

 

『キシャアァァァァァ!!』

「って、カメ忘れてた!!」

「レナ! ダクネェス!!」

 

 冷凍弾と衝撃波の波状攻撃にウルフが割り込んで攻撃を車体で受け止めた。と同時に砲塔をグルンと回し、トータルタートルの頭に至近距離から突きつけてやった。ついでにシーハンターの照準も合わせてセット。

 

『キシャ?』

「これでツーダウン!」

 

 衝撃波を放とうとした口の中、甲羅に背負ったカタパルトや砲台にしこたま砲撃を喰らったトータルタートルは、ついに深刻な内部爆発を起こした。上顎の吹き飛んだ頭部から黒煙を吐き出し、とうとう凶悪な湖の怪物は沈黙した。

 

「レナ、こっちに!!」

「おっけ! ダクネスは?」

「言っただろう? 体を張ると!! さあ、スリーダウンと行こうじゃないか!!」

 

 ダクネスがのっしのっしとミツルギの方へ向かい、レナはウルフに乗り込んで銃座に着いた。主砲と機銃をめぐみん、S−Eをレナで分担する形となる。

 

「めぐみん、状態は?」

「芳しくないです。サイガンにもシーハンターにも破損が出ていますし、弾数も三分の一を切ってます。全弾撃ち尽くして、あと十発ちょっとってところでしょうか」

「上等よ! 向こうだって無傷じゃないし。カズマ?」

「悪い。カメの最後っ屁で自走不可能になっちまった。この位置から撃つしかない」

「厳しいわね。おまけに濃霧と嵐で視界不良かー」

 

 状況は切羽詰まっているが、同じぐらい相手を追い詰めている気さえする。しかし周囲は不気味なほど静まり返っており、ザコモンスターすら近寄って来ない。

 

「まさか、ここに来て逃げられたんじゃ?」

「それはないわ。あいつの気配はまだしてる。突き刺さるみたいな殺気がね。U−シャークにも解るのよ。ここでアタシ達を殺さないと、自分の命がないって」

 

 iゴーグルとウルフのセンサーを同期させたレナは、即時対応できるよう神経を研ぎ澄ませる。めぐみんも同様だ。自走不可能になってしまい、カズマだけちょっと手持ち無沙汰だった。

 

(だからって外に出て戦っても邪魔だし……外と言えばアクアはどうした? ダクネスは自力で戻って来ちまったし)

 

 ふとうるさい水色犬の存在を思い出した。ワープしてこないということは、そこまで距離が離れていないということだが。

 

(服従スペルで強引に呼び寄せるか? あれでも囮ぐらいにはなるし)

 

 などとカズマが考えているところで、再び壁のような高波がネメシス号を飲み込んだ。U−シャークによる攪乱戦術だ。

 酸を含む霧が一層分厚く周囲を覆い尽くす。加えて嵐の闇により、目視・電子線双方の視覚が完全に潰されてしまった。

 

「暗闇に乗じる気? ……船長ぉ!!」

 

 ほんの僅かに迷った末、レナは外部スピーカーでミツルギを呼ぶ。

 

「どうした! ヤツが見つかったか!?」

「見つかったか、じゃないわよ! アンタが見つけるの! アンタの直感で!!」

「な、何を言っているんだ!?」

 

 殺気立っていたのが素に戻るぐらい困惑するミツルギだが、レナは続ける。

 

「この中で一番U−シャークを知ってるのがアンタでしょう!? ()()()()アンタの直感に賭けるから、指示をちょうだい! いいわね!!」

「お、おう!?」

 

 有無を言わさぬとはまさにこれ。気圧されたミツルギは「わ、分かった」と頷き、ただでさえ険しい表情でますます周囲に目を凝らした。

 

(そうだ! 僕はずっとU−シャークを追っていたんだ! 何度も戦って、ヤツの行動パターンを……パターン、を? ……パターンなんて……)

「知らないぞ、僕……」

「え?」

 

 ボソッと呟いただけなので、ミツルギの声を拾ったのは近くでストレッチしていたダクネスだけだった。

 

「何度戦ってもすぐに逃げられるばかりで、こんなに長時間戦ったのは初めてだ。いつもと何が違うんだ……?」

「考察なら後にしろ、後に!」

 

 いらん事考えて思考のドツボにハマるミツルギは、突然背後から生じた轟音に我に返った。

 

「そこかぁ~……あれ?」

 

 しかし音の正体は、ウルフが主砲を真上に向けて放った音だった。

 何のつもりかと眺めていた次の瞬間。突如として空にもう一つの太陽が出現したかのような超高熱の火の玉が、ネメシス号を揺るがせるほどの衝撃波をともなって発生する。

 

「めぐみん、コラァー!!」

「あっははははっ♪ 横に撃てないなら上に撃てば良いじゃないですか! これぞ最適解!」

「むしろ思考放棄した所業──あ」

 

 カズマの怒鳴り声とめぐみんの高笑いが、スイッチを切ったように収まった。

 爆裂弾の凄まじい爆風と超高熱により、周囲の濃霧どころか嵐までが一時的に晴れ渡ってしまっていた。

 

『グォォォ?』

 

 当然、暗闇に潜んでいたU―シャークの姿も丸見えに。船尾方向5時の方向から、バースト弾でこちらを狙っているところだった。

 

「計算通り!」

「嘘つけ! 撃て撃て撃てぇーっ!!」

「これでトドメだぁぁぁぁぁぁーーーーーーーッ!!」

 

 サイガンとシーハンターの一斉射撃の末、ミツルギのぶん投げた巨大アンカーで鼻先から尻尾までを串刺しにされたのがトドメとなった。

 断末魔に放ったバースト砲は物好きなレスラーが肉盾となって防ぎ、こうして海の魔物と恐れられた機械化ザメは討伐されたのだった。




 という訳で、湖の三馬鹿同時撃破です。
 実際のゲームでやろうとする場合、先に野バスを入手してイスラポルトでS−E穴を増やし、ミサイルボックスを買ってシーハンターをガン積み、三人乗り込んでS−Eラッシュ連打すれば一周目でも可能です。ただし飛行中のトビウオン対策として、セメント弾撃ち込み用の主砲も増設させておくか、穴の一つを電撃系にしておくといいでしょう。
 SFCではサメよりカメよりアメンボが一番の脅威でした。何度もポチを殺され、ネメシス号を沈められた方も多いのではないかと。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。