この素晴らしきメタルマックスに祝福を!   作:サイデリア

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 突入準備会。


Part7 ですとろいやーおぶでびるあいらんど
第四十七話 いざ、悪魔の島へ! 四天王再び!


 プロテインパレス攻略戦後、イリットとアイリスはイスラポルトの転送装置でマドの町へ戻っていった。

 カズマの本音を言えばアイリスにはパーティに残留して欲しいところだが、今はまだ発展中のマドには彼女という強力な戦力が必要だ。

 わざわざ同行したのに目当ての技術が手に入らなかったイリットだったが、特に気落ちしている様子もなかった。最後にレナが颯爽と助けに来てくれたので、九割方満足してしまったのだとか。

 

「なんか無駄に振り回されただけな気がする……」

「言わないでください、カズマ。それに、ちょっと小耳に挟んだのですが」

 

 めぐみんは、わざわざカズマの耳元に顔を近づけて、息を吹きかけるようにして囁いた。他意はないはずだが、カズマはドキドキさせられる。

 

「アイリスがマダムの使ってた機械から遺伝子操作技術のデータを得たみたいで。それが……ほら、例のてんせーとくてん? ってヤツ」

「マジかよ、アイリス万能だな」

「解析には時間が必要だそうですけど、これでLOVEマシンの精度が上がれば、イリットの望みが叶うかもって言ってたんです」

「……幼女には無限の可能性が秘められてるんだな。てことはめぐみんも――」

「わたしはロリじゃねーですよ!!」

 

 めぐみんの細い指を耳に突っ込まれ、カズマは危うく中耳炎になるところだった。

 

 

 

 一方、ハンターオフィスでマダムマッスルの賞金を受け取ってニヤニヤしていたレナは、背後から近づく小柄な影に気付かなかった。

 

「37,500G……おかしい。大金のはずなのに、こんなもんかと感じる自分がいる……」

「さすが3333撃破隊長のレナ、この程度の金額は端金ってこと?」

「っ、あなたは……」

 

 レナの尻をコート越しに撫でてきた手首を掴み、くるりとひっぺ返しながら足払いを仕掛けて強引にお姫様抱っこに持ち込んでみれば、相手はなんとレジスタンスのクリスだった。

 あまりの早業にキョトンとした顔のクリスは何が起きたか分からない様子でいたが、唇を狙って近づいてくるレナの顔に正気を取り戻す。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁーっ!!」

「むぎゅっ。誘ってきたのはそっちじゃない?」

 

 顔面に掌を押し付けて本気で拒絶されると、さすがのレナもちょっぴり傷つく。先に尻を撫でたのは自分だろうに、と頬を膨らませる。

 下ろしてもらったクリスは、もう二度と真性の人に不用意なボディタッチをしないと心に誓い、さっさと本題を切り出した。

 

「前にあなた達から聞いたデビルアイランド、見つかったわよ」

「本当? で、いつカチコむの?」

「気が早いよ。まだ偵察してる段階。襲撃するなら早くても二週間後かしら。作戦の目処が立ったら、またオフィス経由で伝えるわ」

「二週間ね。フフフ♪ 分かったわ、準備して待ってる。ところでクリス――」

「それじゃあ伝えること伝えたからまたねぇっ!?!?」

 

 色事の話を蒸し返されそうな気配を察知したクリスは、強引に話を打ち切って走り去っていた。さすがはスピード第一のナースだけあり、逃げ足はとても速かった。

 

「なぁんだ、残念……デビルアイランド、ね」

 

 首に下げていたiゴーグルを装着したレナは、賞金首情報を呼び出した。

 カリョストロ、ブルフロッグ、そしてテッド・ブロイラー……グラップルタワー以上の拠点であれば、必ず四天王が守っているはず。ハンターの勘がそう告げている。

 

「今度は負けないんだから。首を洗って待ってなさい、グラップラー!」

 

 拳を握りしめたレナは、早速作戦会議を開くべく、参謀メカニックの元へと急いだ。

 しかしカズマとめぐみんが楽しそうに話しているのを邪魔できず、時間潰しにセシルのところへ行こうとして、ダクネスとアクアに取り押さえられるのだった。

 この女、とことん反省しない性質らしい。

 

 

 

 そして、あっという間に二週間後のXデーが到来した。

 この日までにチーム・メタルマックスは賞金首を狩り、新たなクルマを見つけ、大破していたバギーとネメシス号も戦線復帰を果たしている。

 特にネメシス号という水上戦力の加入は大きく、今やメタルマックスこそがアシッドキャニオン最強のハンターチームとなりつつあった。

 

「ハンターのみんな、こうして再び集まってくれて感謝するわ」

 

 レジスタンスのリーダー的存在のウェンディが、集ってくれたハンター達の前でマイクを取る。

 懐かしいサースティの酒場。もはや隠す必要の無くなったレジスタンスの基地は以前より武装化が進み、常駐する戦力も増している。グラップルタワー攻略戦の時から、実に三倍以上ものハンターがここにいた。

 

 いずれも腕が立ち、アシッドキャニオンの方々で活躍している猛者であるが、その中にあってさえ別格となったのが現在のメタルマックスだ。

 

 明日の未明、デビルアイランドへの一斉攻撃が行われる。

 上陸して正面から仕掛ける第一チーム、船で背後から強襲する第二チーム、第一と第二が陽動している間に港から侵入する第三チームと第四チームの編成だ。

 メタルマックスが振り分けられたのは港から侵入後、防衛システムを突破して四天王を潰す第四チームだった。むしろ第四チームはメタルマックスのみで、侵入したらとにかくド派手に暴れて基地機能をズタズタにし、デビルアイランド内にいる人間狩りで集められた人々を第三チームが救出するまでの援護を同時にこなすのだ。

 三重の陽動作戦の中でも一際危険であり、一番稼げるポジションについたことで、カズマを除くメンバーのテンションは鰻登りだ。

 

 作戦の詳細が詰められ、最後に各チームに別れてブリーフィングが行われる段階に来て、カズマは恐る恐ると手を挙げた。

 

「すんませーん。第四チームの『なんとか突入したら勢いでどうにかする』って、具体的にはどうしろっていうんでしょうかね〜?」

 

 返ってきたのは「任せた」という一言だった。

 

「ま、それだけ信頼されてるってことじゃないの?」

 

 深夜。湖上の浮島にポツンと取り残された謎の基地「ヘルメツ島」にネメシス号を停泊させ、決戦に備えてクルマの整備をするカズマに、酒瓶片手のレナが上機嫌に笑いかけた。

 夜が明けるとともに、ネメシス号はメタルマックスと第三チームを乗せて出港する。その第三チームのまとめ役は、あのクリスだ。

 

「下手に他のチームと足並み揃えるよりも、単独で特攻させられた方がこっちもやりやすいしね。そうは思わない、カズマ?」

「仲間は多い方がいいだろうがよ」

「弾除けとして?」

「どうしてそういうこというかな?」

 

 復活したバギー、定番のウルフ、そしてこのヘルメツ島の基地跡で発見したハイテク戦車エレファントの三台が、決戦用の編成だ。さらにクリスには野バスが、人員輸送用として貸与されている。

 それらの整備は、今のカズマが可能な最高の状態に仕上がった。後は作戦決行まで搭乗者がぐっすり休むだけ。めぐみんとアクア、ダクネスは船室ですでに雑魚寝している。

 

 本来ならレナにもとっくに休んでいて欲しいところだが、リーダーとして参謀に付き合うという方便で、サースティから頂いた上物の昔のウイスキーを楽しんでいた*1

 

「ね〜ぇ、カズマ?」

 

 仕事が終わり、首に掛けたタオルで顔を拭くカズマの傍らに、レナが近づく。酔った赤ら顔にニマニマと意地悪な微笑みを浮かべる彼女は色っぽく、ついついカズマの鼓動は早まった。

 

「な、なんだよ……?」

「確認しておきたいんだけど、カズマってめぐみんのこと好きなの? 女の子として」

「はぁっ!?」

 

 突然背後から心臓を一突きにされた気がして、カズマの声が裏返った。そのリアクションに、レナは満足そうにますますニンマリ笑顔を深くする。

 

「意外とアクアって線も考えたけど、一番自然な感じの二人ってあなた達なのよね。それで、どうなの?」

「いや、それはその、確かに……可愛い、けど」

「可愛いって思ってるんだ!」

「う、うっせーな、悪いかよ!」

「ううん。すっごい良いことだと思う。……でも、そういうことならめぐみんは除外ね」

 

 ふと真顔になったレナが、どこか遠くを見つめて呟いた。

 テンションの落差に戸惑わせられたカズマだが、それ以上に。急にレナの姿が儚げに視えて、さっきとは違った意味で心臓が早くなる。

 明日の討ち入りで、何かをするつもりなのだろうか。

 

「何を考えてるんだ、レナ」

「…………」

 

 急に吹いてきた一陣の風が、レナの金髪を棚引かせた。髪先を指で弄くりながら、もう数時間で朝日が登ってくる水平線を見つめて、

 

「イリットが浮気するぐらいなら一緒に複数プレイしようっていうから、その人員を誰にしようかなって」

「本当に何を考えてんだ、てめぇはよぉ!?」

 

 決戦に向けて悲壮な決意でも固めているかと思いきや、どこまで行っても脳みそどどめ色のレズビッチなのであった。

 

「あ! じゃあカズマ、試しにアタシ達に抱かれてみない? 男だけど、あなたなら良いわよ?」

「ヤダよ!! ダクネスかアクアでも誘え!!」

「アクアはともかく、ダクネスはな〜。エロいけど観賞用っていうか、触ると火傷じゃ済まないっていうか」

「わかる……」

 

 それからすぐに、レナが一人でブツブツ呟きながらウルフの運転席に入ってしまったので、カズマもエレファントに搭乗して仮眠を採ることにした。

 ……のだが、

 

「……あれ? ひょっとして今、俺ってすっごい美味しい話を手放したんじゃ……」

 

 頭がアレながら絶世の美少女であるレナと、癒やし系褐色美少女イリットに両サイドから挟まれる光景を、一瞬だけ妄想する。が、一秒も経たずに幻想は消え去った。

 

「いや、絶対にロクな目に遭わない。女性恐怖症を患うレベルで酷い目に遭う」

 

 そう確信しながらも、眠りに落ちるまで悶々としてしまうカズマ少年なのだった。

 

 そしてもう一人。

 

「か、カズマが、わたしを……!? わたしを、可愛いって……はわわわわわ!?!?!?」

 

 レナのiゴーグルからコッソリ通信を飛ばされ、さっきのセリフを無理やり聞かされた少女が一人、船室の床で悶え転がっていた。

*1
世紀末には未成年の飲酒に関する法律はありません




【雑に処理された賞金首達】
○カミカゼキング
 めぐみんから「お前よりわたしの爆裂弾の方が威力がある」と挑発されて自爆。神風ブーツはカズマが装備中。
○外道販売鬼
 クリスによって撃破され、転生特典「アタールチップ」と、ついでに「ゲドーピングタブ」を回収される。
○ダスト原人
 同じくクリスを中心としたハンターチームに撃破される。発電所も占拠された。ゴミの羽飾りはゴミとして処分された。
○グロウィン
 ネメシス号の試運転中にうっかり上陸したチーム・メタルマックスがコアのグロウキメラを撃破。目玉と細胞は回収済みで、研究中。
○金輪際ゴースト
 グロウィンと同じくチーム・メタルマックスが白兵戦の末に撃破。正体は誰かの転生特典を拾って透明化した現地人。カズマとレナに「お前達も透明人間にしてやろう! エロいことし放題だぞ!」と交渉持ち掛けたが毅然と(一部誇張あり)突っぱねられ、撃破された。チャクラムとスケスケアーマーはめぐみんの私物となった。
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