この素晴らしきメタルマックスに祝福を!   作:無題13.jpg

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【タイトルだけ考えてみたシリーズ Part2】
■転生したら戦車だった件
→転生したら洞窟の奥でナマリダケまみれの戦車だった。
■ダンジョンに戦車で乗り込むのは間違ってるだろうか?
→MM的には何も間違っていない
■世紀末の破滅フラグしかない賞金首に転生してしまった…
→将来的に賞金首になる悪役令嬢が、前世の記憶を頼りにハンターを目指す
■世紀末世界はモブに厳しい世界です
→その通りすぎるけど、むしろ北斗の拳じゃないかな、このタイトル


第五十四話 破壊する者

 身体に染み込みそうな炎と血の臭いの中で、めぐみんは朦朧とする意識を無理やり叩き起こした。気を失っている場合ではないと、闘争本能が叫んでいる。

 地面を掻きむしるよう握り締めて顔を上げた先には、中程から二つに切り裂かれた真紅の重戦車が横たわっていた。

 

「こ、これは……っ!!」

『ハハハハ!! よく頑張ったが君達の冒険もここで終わりだ!』

「く……カリョストロ!!」

 

 降ってきた馬鹿笑いを睨み返すも、今やめぐみんに出来る最大限の反撃はその程度。これでは悪党の嗜虐欲を満たすだけだ。

 

『出来ればお前をアートにしてひょいざぶろーに送りつけてやりたいところだが、まあいい。このまま仲間と一緒に葬り去ってやる!』

 

 機銃の照準が地上へ向く。サイズ差からして生身であれから逃げおおせるのは不可能だ。

 このまま殺されるぐらいなら、最期にいっそド派手な自爆でもしてやろうかと思ったが、手持ちの爆裂弾はカリョストロ相手に使い切っていた。

 

(ああぁ! こんなことならカズマともっと爆裂弾を造っておけばよかった!! 一度でいいから核弾頭ミサイル造りたかったぁぁぁぁぁ〜〜〜〜っ!!)

 

 もうダメだ、と固く目を閉じた。

 

「まだよッ!!」

 

 だが、凛と轟くレナの叫びに、めぐみんは再び目を見開いて顔を上げた。

 その直後、モクモクと煙ってきた黒煙が目に入り、結局顔を手で覆ってのたうち回るのだった。

 

「ぎゃああああ! め、目がぁぁぁぁ!!」

「ごめん、発煙筒焚いたの!! こっちよ、こっち!!」

 

 レナに手を引かれて、一寸先も視えない煙の中を進む。

 手持ちの発煙筒をまとめてネット全部使った結果、周囲十数メートルが黒い煙の渦に沈んでしまった。デストロイヤーの脚半分以上の高さまで、ドーム状の黒煙が包み込んでしまった。

 

『ケロッ! 悪あがきするね〜、あの子達』

 

 だが、多少視界が悪かろうともデストロイヤーは適当に機銃を撃っているだけでめぐみん達を追い詰めることが出来る。まぐれでも当たれば一撃だし、そうでなくとも銃弾の勢いで煙を少しずつ吹き飛ばせばいいのだ。

 その気になればプラズマカノン砲や、ブレードアームでもう一発薙ぎ払ってやってもいい。

 

『寿命がちょっと伸びただけだね。ほらほら♪ こっちかな? あっちかな? ケロケロッ♪』

 

 めぐみんが逃げ込んだ大地の亀裂のすぐ側を、悪意の銃弾が掠めていく。ほんのちょっとズレたら、岩盤ごと蜂の巣にされるだろう。

 

「んにゃろう、好き勝手しやがって!」

 

 めぐみんにエナジー注射を打ちながら、レナが据わった目で毒吐いた。虎の子の重戦車を失ってなお、その戦意は些かも衰えていない。

 

「ど、どうするんですか、レナ? 煙幕もそう長く持ちませんよ? ダクネスも見当たりませんし」

「ええ……ほんっとどうしよっか。あのデカブツ、なんとか弱点的なのは見えてきたのに」

「……え、マジですか!! てか弱点とかあるんですか、あれ!?」

 

 驚くめぐみんに、レナはiゴーグルを掛けてデストロイヤーを見上げた。

 

「あいつの装甲表面は薄い電磁場の膜で覆われてるみたい。電磁バリアってヤツ? ミサイルなんかだと直撃する前に信管を磁場が誤作動させて、直撃させられないのよ」

「なるほど。でも電磁バリアだったら質量攻撃は防げないのではないですか?」

「だからこそあの弾幕でしょ? ドリルや鉄球系の主砲は近づかなけりゃ当てられないけど、あの弾幕を掻い潜るのは至難の業。そもそも本体があの高さにあったんじゃ、直接攻撃も出来ないしね」

「……弱点、あるんですか?」

「もう! 鈍いわよ、めぐみん。あるじゃない、装甲が薄くて質量兵器が届く部位が!」

「あっ!!」

 

 そこまで言われて気付くとは、めぐみん自身自覚のないまま、精神的に追い詰められていたらしい。

 

「脚ですね!」

大正解(ピンポン)! 多脚戦車の利点を潰してやれば、あんなのもうただの棺桶だわ! ……ただ、ねえ」

 

 光明が見えた矢先、レナの表情が曇っていく。

 

「クルマ、もう無いんですよね……」

「ええ……さすがに生身じゃあれは崩せそうもないわ……」

 

 バギーは基地の崩落に巻込まれ、ウルフは目の前で残骸となってしまった。

 野バスとエレファント号はネメシス号に積んだまま。その他の戦車はナイルのガレージで整備中だ。

 おそらく、捕虜を送り届けたカズマが今、急いでここへ向かっているだろうが……到着までレナ達が生きていられるかと言うと、自信がない。ほんのちょっぴりも無い。

 

「ごめんね、めぐみん。出来れば最期はカズマと一緒が良かったでしょ?」

「……まあ、あなたかカズマか、だったらカズマの方がいいですけど。前から言おうと思ってましたが、わたし達をくっつけようと焚き付けるの止めてくれません? こないだなんて、何を言ったか知りませんけどカズマが会話中ずっと目を合わせてくれませんでしたし」

「そう? でもカズマって超奥手でしょ? 素直にさせるの結構骨だと思うけど」

「良いんですよ。わたし達にはわたし達のペースが……って恋バナしてる場合!? 暢気か!!」

 

 現実逃避している間に、最後の煙幕が晴れてきた。面倒くさくなったのか、デストロイヤーはブレードアームで仰ぐようにして発生源である発煙筒そのものを遠くへ弾き飛ばしていた。これなら簡単に煙の密度を減らせる。

 

『げふふふふ。どこかな、子猫ちゃん達ぃ〜……んん?』

 

 ブルフロッグが何かに気付いた。めぐみんとレナがいる位置は今のところ死角に入っているはずだが、敵にiゴーグルのようなセンサーが無いとも限らない。

 だが、デストロイヤーが発見したターゲットは、めぐみん達ではなかった。

 

『とうとう観念したかい、女レスラー?』

 

 晴れた煙幕の下から現れたのは、両腕を組んで真っ直ぐに敵を睨むダクネスであった。

 いつも通りに武器すら持たず、己が身一つで強敵と対峙する。

 

「観念だと? 馬鹿な、むしろ逆だ」

『逆ぅ?』

「これほど巨大な敵! 圧倒的なパワーから繰り出される攻撃! これほどの逸材とはそうそう巡り会えんだろう!! その威力、この身で受けなくてどうする!!」

『……意味が分からんが、そんなに死にたければ望みどおりにしてやろう!』

 

 声からしてカリョストロも困惑しているようだったが、最終的には全員殺すつもりだったのだ。順番が多少前後しようと結果は変わらない。

 デストロイヤーは多脚歩行を活かして跳躍すると、ダクネスを正面に捉える位置へ移動。ブレードアームが振り上げ、恐竜の咆哮にも似た金属音を発しながらダクネスへと振り下ろす。

 

「ふんっ!!」

 

 直撃寸前、ダクネスは横っ飛びしながらブレードの横っ腹を思いっきりぶん殴る。装甲の過圧センサーが「被弾」を知らせるほどの衝撃が、ブレード伝いに本体へ加わった。

 

「うおおおおおっ!!」

 

 続けてブレードが引っ込むまで必殺台風チョップを繰り出し、アームとブレードの接続面を集中攻撃。構造的に脆い部分へ狙いを絞る。

 

『猪口才な!』

 

 ブレードを一旦引っ込め、今度は二本同時に、左右から挟み込むように振り抜く。

 

「……こっちだ!!」

 

 左右のうち、位置が低い方へ自分から突進して刀身の腹を転がって回避。逆側のブレードも地面に伏して躱した。

 

「えっ、うそ!」

「もう人間じゃありませんね、あの人……」

 

 レナとめぐみんも開いた口が塞がらない最中、ダクネスは機銃を走って回避し――何発か喰らっても気にせず、脚の一本へ向かっていく。

 

『おっと!』

 

 殴られそうな脚を引っ込めつつ、デストロイヤーの頭部の鉄身がまたもやオレンジ色の輝きを発し始める。

 

『生身一人には過剰火力だけどっ!!』

 

 プラズマカノン砲が、別の脚へと標的を変えたダクネスをロックオン。チャージ完了と同時に灼熱のレーザーが――、

 

「そのビーム貰ったァァァァァ!!」

 

 発射されない。

 臨界状態のプラズマ火球に、極太の電撃ビームが直撃。鉄身を巻き込んでデストロイヤーの頭部が暴発させられる。

 

『ギャアアアアアッ!!』

『ぐおおお! な、どこからの砲撃だ!!』

 

 搭乗者が情けなく悲鳴を上げながらも、デストロイヤーは電撃が照射された方向へカメラアイを向けた。

 猛スピードで走ってくる中型戦車が一両。主砲の代わりに放電するドリル機関を搭載した、外見からして対空砲撃に特化した仕様。

 

「あれって……ゲパルト!」

「! カズマ!!」

 

 iゴーグルに投影された仮想ディスプレイに、向かってくる対空戦車が同じハンターチーム所属だと示す青い戦車マークが灯った。

 イスラポルト北東にひっそりと残った寺社に『戦神』として祀られていたのを拝借した対空戦車ゲパルト。正真正銘、メタルマックスの保有するクルマであった。

 運転するのはもちろん、この男。

 メタルマックスの戦う参謀、サトウカズマだ。

 

「よっしゃ! 情報通りだぜ、アイリス!!」

「油断しないで、カズマ。デストロイヤーの装甲はわたしの持つデータよりも四割以上は頑丈です。また、大破したプラズマカノンに自己修復の予兆が確認できます」

 

 ゲパルトの後部座席には、Cユニットと自分の回路を繋げたアイリスが、運転と砲撃補助システムの双方を引き受けていた。

 LOVEマシン「3133」……主砲の連射力を強引に引き上げ、一度の発射数を3倍に高める。加えてアイリス自身が持つ破格の処理能力によって、主砲の命中精度はその気になれば水平線を横切る船だって狙い撃てた。

 発射寸前のプラズマカノンを正確に狙撃したのも、アイリスによる補助のお陰だ。

 

 そしてゲパルトにはもう一つ、とっておきの兵器が搭載されている。

 

「カズマ」

「準備はいいな、アクア?」

「ふっ。当然でしょ! ポチタンク、出るわ!!」

 

 運転席のハッチを開き、勢いよくアクアが出撃する。

 相変わらず玩具か、一人乗りのゴーカートのようなちゃちい戦車に乗り込む姿は間抜けながらも微笑ましい。しかしこれはバイク、自動車、潜水艦と来て辿り着いた、正真正銘のトンデモ兵器である。

 

「エンジン始動! 早速いくわよ!! アクセル全開ぃぃぃぃっ!?」

 

 一瞬だけ空転したポチタンクのキャタピラが、初速から時速にして100キロ近い速度で急発進する。外見に反したエンジン出力に、一番驚いたのは他でもない、運転しているアクアだ。

 

『なっ!? にぃぃぃ!!』

 

 そして、次にカリョストロが素っ頓狂に仰天したその時には。

 速度の乗ったポチタンクがデストロイヤーの脚に猛突進をかまし、巨大兵器をグラつかせてからのことだった。




アイリス「ダブルCユニットで電撃的アミーゴ2つ積み+超改造MAXドリルブラストⅡ+電光石火、というロマン砲を喰らえ!!」
※複数人乗りでなら母艦ザウルスを1ターンキル可能です。
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