また、メタルマックス2本編を知らないと解りにくいと思いますので、先にヴラドについて解説しておきます。独自解釈も入っていますがご了承ください。
バイアス・ヴラドは大破壊前の時代で実業家兼、政治家兼、科学者という完璧超人でした。しかし大破壊によって世界は滅亡し、自身も死病に冒されたことで不老不死を目指し始めます。私設軍隊バイアス・グラップラーを設立して人間狩りをしていたのも、不老不死の実験のためとされています。
最終的には肉体を捨てて、コンピュータに人格を移植してしまいました。その際に生身の体は死んでしまったようですが、本人は「自分というこの世で最も偉大な知性」さえ残ればいいと考えていたようです。アホですね。
ゲーム本編のラスボスとして登場するのは、この移植した方の人格です。でもリローデッドのとあるイベントによると、どうも移植の際にオリジナルから変化してしまった部分があるようで、最悪こいつは「自分がヴラドだと思い込んでるコンピュータ」という可能性も出てきました。なのでプレイヤー視点では、ヴラドがどういう「人間」だったのか、最後まで分からないままとなりました。少なくとも大破壊前までは真っ当な人柄だったようですが、資料集にも詳しくは書かれておりません。
今作に登場するヴラドは完全にこっちの「移植されたコンピュータの人格」であり、同時に「人間性の欠落した暴走機械」という解釈で書いています。
幕間 不滅の悪魔
自然物など何一つない、地下深くに築き上げられた機械の広間。ここはバイアス・シティの最奥部に設けられた、バイアス・ヴラドの寝所である。
中央に巨大な塔のようにそびえるコンピュータのモニタから光が放たれ、空間に掠れた合成音声が響き渡った。
『テッド……テッド・ブロイラーよ……』
しゃがれた老人の声とともに、亡霊のような男の顔が空中に投影される。
虚空に浮かぶ立体映像の人面モデルに呼ばれて、モヒカン頭の巨悪が恭しく跪いた。
グラップラー四天王筆頭、テッド・ブロイラーである。
「ハッ! ここにおります、ヴラド様!」
『テッドよ……もうじきこのバイアス・シティに、カリョストロやブルフロッグを葬ったハンター達がやって来る』
「はい。ですが、奴らがバイアス・シティへ立ち入ることはありえませんな。この地を守るフメツゲートにて、我らグラップラーの全兵力を総動員して軍備を整えております故に。無論、このオレもそこへ加わるつもりです」
テッド・ブロイラーの言葉は大胆不敵ではあるが、それが驕りや慢心と言い切れないのがこの男の恐ろしいところだ。なんだったらグラップラー全軍よりも、テッド・ブロイラー一人の方が強い可能性すらある。
しかし虚空の顔――彼らグラップラーの首魁たるバイアス・ヴラドの写身は、自らが手掛けた最強の改造人間を戒めるように睨みつけた。
『物事に完全などない。現に奴らはデストロイヤーすら破壊してのけた。如何にアレが未完成だったとはいえ、この時代に残った改造車に遅れをとるなど万に一つもありえぬハズだった。お前が不覚を取らない保証がどこにある』
「――はっ」
実力を侮るようなヴラドに、テッド・ブロイラーの表情は変わらない。頭を垂れたまま、じっと主の言葉を受け続けた。
『お前が捕えてきた女神の解析がまもなく終わる。お前がこの世界にやって来たように完全無欠の肉体を得て「転生」する私の野望も叶う。ついにこのバイアス・ヴラドが「不滅のヴラド」となる日が来るのだ』
「思えば長いようで短かったですな。行き倒れていたオレを救い、異世界に転生したという荒唐無稽なオレの話を、あなた様は信じてくださった。このような強靭な肉体すら与えてくれて、お陰でこの世はパラダイスです」
『しかし、実際私も藁にすがる思いであった。病に冒され、もはや幾ばくもない体を捨てて電子頭脳に我が知識を移植したが……まだ完全ではない。コンピュータが破壊されればこの新しい人格すら消えてしまう』
「だからこそ、あなたはより完璧な存在……神になろうと策略しておられる」
『永劫不滅の究極存在、それが神だ。我が望みを叶えるには、もはや我が身を神に変える他ない』
抑揚のない合成音声だが、そこには自らの人生を振り返っての悲喜こもごもが籠もっていた。テッド・ブロイラーもまた、これまで働いてきた悪事を思い返して瞠目する。
『本物の神のサンプルを得た以上、再現することも私になら可能だ。だが相応の時間は必要だ。故に――』
「ご安心ください、ヴラド様」
心得ている、とばかりに、殺気立った鋭い眼を開いたテッド・ブロイラーが立ち上がる。戦意を示すよう、愛用の火炎放射器を高らかに撃ち上げた。
「オレ自身が不老不死を得る為にも、バイアス・シティにはネズミ一匹通しません。吉報をお待ち下さい。がががーっ」
『期待しているぞ、テッド・ブロイラー。我が盟友にして、最強の改造人間よ』
ヴラドの立体映像が消えると、テッド・ブロイラーはニヤリと口許を吊り上げる。
「ええ。その地の底の棺で待ち続ければよろしい、ヴラド様。あなたの宿願はこのオレが叶えて差し上げますとも。ががーっ! がががーっ!!」
テッド・ブロイラーは肩で風を切り、意気揚々と戦場へと繰り出していった。
決戦の時は近い――。
作者がテッド様より格上だと思ってる炎属性の悪役
●ロードブレイザー(ワイルドアームズ2)
●志々雄真(るろうに剣心)
●大魔王バーン(ダイの大冒険)
●マジンガーZERO
しばらく投稿ペースが乱れます。