この素晴らしきメタルマックスに祝福を!   作:無題13.jpg

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 めぐみんなのか、どこぞの狂乱の貴公子か、武器商人の仲間の爆弾魔なのか分からないんです。


第六話 このイカれたアーチストに爆裂を!

 謎の大爆発の発生源は、道路に停車していたグラップラーのクルマであった。

 そのクルマはほんの数分前、流れのアーチストを自称する小柄な黒髪少女の改造を受けたと、多くの人間が目撃している。

 目撃者にはグラップラーの兵士もいたので、現場からほど近い場所で大胆にも爆炎を眺めて恍惚に浸っていたアーチストは、一緒にいた男もろともあっという間に包囲された。

 

「逃げも隠れもしねえとは、肝の太いチビっ子だな! 特別におじさん達で可愛がってあげようか!」

「ひぃぃぃっ!! どうしましょう、親分!」

「誰が親分だ、チクショウ!! ち、違うんすよグラップラーさん! 俺はこのチビっ子とは無関係です!!」

 

 容疑者の少女に死なばもろとも、地獄の道連れだとばかりに抱きつかれたカズマも、一緒に囲まれて銃口を突きつけられた。

 

「我らグラップラーの貴重なクルマに手を出すとはな。そのうえ爆発を近くで見物か? 命知らずな連中だな」

 

 部隊長らしいグラップラー兵士に軽機関銃を向けられたカズマは、しがみつくチビっ子眼帯娘を引き剥がしながら弁明を続ける。

 

「お、俺は無関係だ! この子とも今ここでぶつかっただけなんだ!」

「でも起爆スイッチを押したのはこの男です。ほら、特製のドクロスイッチに靴跡もついています。ねえ親分?」

「てめえ、この野郎! 意地でも巻き込むつもりか!! はーなーれーろー!」

 

 カズマは少女の顔面を鷲掴みにして引っペがそうとするものの、少女も少女で何を考えてか必死でしがみつく。その足元にグラップラーの凶弾が命中し、二人は同時に仲良く飛び上がった。

 

『ひぃぃぃぃぃ〜っ!!』

「もういい。両方とも牢に入れておけ。明日の朝、町の真ん中で公開処刑にしてやる。我々に歯向かう者への見せしめだ」

 

 冷徹に言い放った兵士の言葉に、カズマは少女と顔を見合わせ、互いに顔色を失ったのであった。

 

 

「あわわわわっ! ど、どうしよう! カズマが捕まっちゃった……!」

「まったく、何をやっとるんじゃあいつは」

 

 そしてアクアとナイル老人も、連行されるカズマと見知らぬ少女を物陰から見送っていた。

 爆発の現場を見ておこうと外に出てみれば、なぜか同行していた少年が、見知らぬ少女と一緒に連行されて行くところだった。

 

「マズイぞ。エルニニョのグラップラーを仕切っているメンドーサっちゅう男は、自分に逆らう者は容赦なく拷問に掛けて殺してしまうんじゃ」

「そ、そんなにヤバいヤツにケンカ売るなんて……カズマってば口だけ番長じゃなかったっけ?」

「単に巻き込まれただけだと思うがのう。……よし! アクア、ワシは急ぎマドに戻ってバギーの修理を終わらせてくる! お前はここでカズマ達をよく見ておれ!」

「はいっ!?」

 

 修理用機材を担いだ、年齢の割に逞しいナイル老人が、アクアを連れて近くにあったマンホールへ入っていた。そこから続く地下には大破壊前の遺物、転送装置があり、マドの町へ一瞬にして帰還できるのだ。

 謎の装置を前に、一応はファンタジー世界の存在であるアクアは、複雑怪奇な機械の塊を見上げてポカンとしていた。

 

「へぇぇ〜、こんなものがあったのね〜」

「大概の者は不気味がって使わないがのう。なにしろどんな技術が使われておるかも分からんし、副作用がないとも言えんからな」

「……ハエと一緒に物質転送して混ざったりとか?」

「お前さん、そんな古い映画よく知っとるのう。ワシがピチピチのヤングだった頃でさえ昔の作品だったのに」

 

 人間が複数人で利用して融合した、なんて事例はない。だが完全に大丈夫かと言われれば、予期せぬ場所に転送させられたり、謎の病に罹患するといった噂もあったりする。

 

「ま、老い先短いジジイにはあまり関係のない話じゃ。ではアクア、頼んだぞ!」

「あ! ちょっと待って、私まだやるって言って……うわ、本当に消えちゃった」

 

 ナイル老人は、カプセル状の装置の中で光に包まれ消失していった。

 

「人間の技術力もすごいわね〜。もう魔法と変わりないじゃない。そりゃ地球も滅びるわ」

「あら? 珍しいわね、転送装置が動いてるわ。あなた、命知らずねぇ」

「へ?」

 

 そして老人と入れ替わりに背後から()()()()に呼び掛けられ、思わず本気で飛び上がった。

 

 

「おいこら! これのどこが牢屋ですか! 動物用の檻じゃあないですか! 見世物にする気ですか、コノヤロー!」

 

 道の真ん中にどかんと転がされた、全方位から丸見えの鉄製の檻に謎の少女と二人で詰め込まれたカズマは、絶望的な状況に頭を抱えていた。

 格子を掴んで喚き散らす少女が言うように、これは晒し者だ。町を牛耳るボスっぽい男は、ビルの上から二人を一瞥し、

 

『二、三日したら焼き殺せ』

 

 と冷酷に沙汰を告げた。その際の、ガマガエルみたいなジメジメした笑顔が酷い印象として残っている。

 ちなみにこのボス、無類の女好きらしいが少女については「好みじゃない」らしい。カエル男から面と向かって言われたことも、少女が荒れてる理由の一つだ。

 

「ちっ。どうします、親分? 見張りもいないし、出ようと思えば出られそうですぜ。へっへっへ」

「だから誰が親分だって! そもそもお前は何なんだ!? いきなり現れて、爆発させて、挙げ句に人を巻き込みやがって!!」

「そっちが私の逃げ道を塞いで、勝手に起爆スイッチを押したんじゃないですか。本当はクルマがビルに入ったぐらいで爆破させて、グラップラーどもを一網打尽にする計画だったのに。はあ、せっかくの爆裂ゲージツが無駄になってしまいました」

 

 肩を竦めた少女は、気だるげな仕草で左眼の眼帯をイジる。ただのアイパッチかと思いきや、よくよく見れば彼女の眼帯は複合型の望遠レンズになっていた。ファッションではなく実用性重視の装備である。

 

「……お前、何者なんだ?」

 

 改めてカズマが尋ねると、少女は待ってましたばかりに顔半分を開いた左手で覆いつつ、下半身を捻った異様に気取った立ち姿――大破壊後にまで伝わっていたジョジョ立ち(胸像にもなったジョナサンのアレ)を披露し、高らかに宣った。

 

「よくぞ聞いてくれました! 我が名はめぐみん!! 地獄のアーチスト集団『紅魔館』に連なる一族にして、爆裂ゲージツを極めし者!! 我が前に爆裂無く、我が後ろに爆裂なしッ!!」

 

 背後で巨大な爆発エフェクトが幻視できるぐらいの迫力を前に、カズマは直感的に理解した。

 あ、この子純粋に危ない人だ。




 アーチストのめぐみんの特徴!
・爆発物しか造ろうとしない
・火気が無くても爆発させようとする
・本当は爆裂ゲージツのみを極めたいけど、爆裂させるには道具や材料が必要なのも理解しているので砲弾ゲージツ、改造ゲージツなどもちゃんとやれる
・でもこいつに超改造させた戦車は大爆発する

 使うのがただの爆弾なので一発の火力が爆裂魔法より格段に劣る分、手数が増えた形になっています。
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