この素晴らしきメタルマックスに祝福を!   作:サイデリア

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 MM2Rのアクセルとミシカが、それぞれめぐみんとダクネスに入れ替わっている予定です。


第七話 役者は揃った!

 『紅魔館』という組織がある。

 この大破壊後の世紀末で独自の感性のもとにゲージツ活動に勤しむ狂人達の集団だ。

 『紅魔館』というのが場所を差すのか組織を差すのかは、所属するアーチスト達も含めて誰も知らない。世間は彼らの独創的な芸術センスを恐れおののき、紅魔館所属のアーチストを『紅魔族』と呼んで畏怖している。民族というわけではなく、竹の子族やら暴走族と同じ類だ。

 また、本名なのか自称なのかキテレツな名前の者が多く、脱力感を醸し出す響きが特徴らしい。

 

「理解しましたか? この壊れた世界に唯一文化的創作活動を行う一団こそが紅魔族なのです!」

「はあ……」

「なんだったら宇宙海賊キャプテン・めぐみんと呼んでも構いませんよ?」

「意味が分からん……」

 

 眼帯少女こと、めぐみんはつらつらと訊いてもいない紅魔館と紅魔族についてカズマに語って聞かせた。情報量が多すぎて脳が食傷気味である。

 話しているだけで疲れるめぐみんは、眼帯以外のファッションセンスも独特だ。黒いローブに黒いマントを羽織り、三角帽子という格好は世界観的には完璧に浮いている。ファンタジー世界の魔法使いまんまであった。

 

「その格好も紅魔族のセンスか?」

「可愛いだけの魔女っ子スタイルではありません。耐火と耐ビームコーティングがされた防弾仕様です!」

「眼帯もか?」

「機能は少ないですけどiゴーグルの一種です。望遠と赤外線スコープとナイトスコープの切り替えが出来ます。あとカッコいい!」

 

 14歳の少女が罹患しやすい例の病気かと思いきや、デザインと機能を両立させた優れものらしい。

 この世界においてアーチストという人種は、大なり小なり尖った感性の持ち主だ。銃や砲弾にウットリしたり、モンスターの死体を着ぐるみに改造して身にまとったり、歌で音波攻撃を放ったり。

 めぐみんもその例に漏れず、ゲージツを探求して西へ東へ旅をしているのだそうだ。無論、求めているゲージツというのは……爆裂であった。

 

「芸術は感性の爆発であり、爆発とは刹那に散りゆく至極の芸術! ですがまだまだ私の求める理想の爆発は影すら捉えられていないのです!」

「さっきのクルマを吹き飛ばしたのは相当ヤバい威力だっただろうが!」

「威力だけではダメなのです。閃光、音、煙の匂い、その全てが揃ってこそ私の感性は完成します! あとグラップラー嫌いですし駆除するついでです」

 

 後半のグラップラー云々はともかく、ゲージツ理論をカズマが理解するには時間が掛かりそうだ。もしかすると一生分かり合えないかもしれない。

 

「じゃ、そろそろカズマのことも聞かせてください。まだ名前ぐらいしか聞いていませんし。ハンターや、ましてやソルジャーって雰囲気でもありませんよね。メカニック?」

「あーっと、メカニックの見習いってところかな」

 

 転生したあたりの事情を説明するのは難しいので省きつつ、マドの町にたまたま訪れた流れ者で、グラップラーに襲われた町の復興を手伝っていることを説明した。

 聞き終えためぐみんは、なぜか一人で頭を抱え初める。

 

「ど、どうした!? もしかしてさっき怪我でも――」

「けっ、計算が違います! あなた、旅のハンターチームの一員とかじゃあないんですか!? 仲間のクルマの専属整備士だとか!」

「へ? い、いや、俺としてはこんな世紀末世界を冒険なんかしないで、このままナイルじいさんの弟子として平和ながら退屈な人生でいいかなーって……ちょっと、めぐみんさん!? 鏡の前のガマガエルみたいなっていますよ!?」

 

 顔中に脂汗を滲ませ、めぐみんはますます真っ青な顔になる。

 

「な、なんてことでしょうか……! 見るからにこう、人生冒険してる雰囲気がしているからハンターか何かの仲間かと思えば!! これではカズマの仲間が救出に来たドサクサで逃亡する計画がぁぁぁ〜!」

「お前、そんなこと考えてたの!? つーか人生冒険してるってなんだよ、こちとら実家にいた頃から半分引きこもりだったっつーの……うぅぅぅっ」

 

 自分の言葉で打ちのめされて悲嘆に暮れるカズマと、わざわざ巻き込んだのに地獄への道連れを増やしただけだっためぐみんは、揃って檻の中にひれ伏して絶望に喘いでいた。

 

「あっら〜……二人とも、この世の終わりみたいな顔で……」

 

 そんな二人を遠くから見守り、女神改め駄犬アクアもどうしたものかと悩んでいた。

 

「くっ! 私がポチじゃなくって超最強グレートな女神なままであれば、奇跡のパワー的なサムシングで二人を颯爽と救い出せるのに……女神を犬に貶めた報いが早くも回ってきたわね、カ・ズ・マ・さ〜ん?」

 

 訂正。悩むふりをしてカズマの嘆く顔を眺めることで堕天させられた溜飲を下げていた。

 一応、本人としては助け出せるなら助けたいが、頭脳が間抜けな犬以下の知能では打開策など思いつくわけもなく。現実逃避気味に遠くから見守るだけになっていた。ある意味、神らしいといえば神らしいムーブであった。

 

「だいたい、銃で武装したマフィアみたいな連中にか弱い女神一人でどうしろっつーのよ! ……いっそのこと本当に見捨ててやろうかしら。でもそれは可哀想だし……けど、うーん……」

「うーん、果たしてこの下には秘密を隠すベールが隠れているのだろうか」

「ん?」

 

 いつの間にやら背後に人の気配があった。なんだろうかと振り向くと、金髪の少女がアクアのすぐ後ろに屈んで、スカートの中に頭を突っ込もうとしているではないか。

 

「まさかNOパン……その秘密を今こそ暴かん!」

「暴かせるかーっ!!」

「サルモネラっ!?」

 

 暴れ馬がごとき強烈な後ろ蹴りを顔面に受けて、少女の体が宙に舞う。

 空中で一回転した末に顔面から落下した少女は、しかしすぐに鼻血を出しながら立ち上がった。

 

「実に良い蹴りだわ。そんな蹴りが繰り出せるあなたの健康状態は、間違いなく良好!」

「うるさいわよ! ……って、あなた……レナ?」

 

 立ち上がった金髪の少女は、昨晩ぐらいまで全身火傷でうなされながら、チャンスがあればイリットやアクアに抱きつくなどのセクハラを働いていた生き残りのハンターだ。

 すっかり元気になったのは結構なのだが……。

 

「そうさ、君のお陰で焦熱地獄から無事に戻ってこられた。本当にありがとう」

「……あの、あんまりそのキラキラした顔を近づけないで」

 

 美少女フェイスにキザな微笑みが様になっているレナには、さすがのアクアもドン引きする他なかった。




 ガチ百合セクハラ美少女ハンター・レナについて!
・育ての親であるマリアを性的に狙っていたよ!
・可愛い女の子が大好き! 自分より可愛い女の子はもっと好き!
・恋愛対象じゃないってだけで男が嫌いなわけじゃないよ!
・グラップラーと賞金首は一匹たりとも生かしちゃおかない。
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