この悲劇の少女に祝福を 作:アクセルの狩人
ヴァイオレットがモンスターを狩り、返り血を全身に浴びている頃に時間は遡る。
ギルバートは冒険者ギルドの受付で後輩であり、現地人の受付嬢のルナと共に苦笑いを浮かべていた。その主な原因はさっきギルドにやって来たばかりの2人の男女が原因と言えるだろう。
「ルナちゃん。ここは私が受け持つから、向こうの方をお願いね」
「あっはい!!ギルバート先輩、よろしくお願いします」
本来の歴史ならばやって来た2人の相手は現地人の受付嬢であるルナが担当する。しかしこの世界はフロム・ソフトウェア(一部カプコン)の影響を多大に受けており、最早色んな意味で魔境と成っている。敵も味方も様々な人物が知らず知らずにフロムの影響を受けており、見ずも知らずの民間人からすればデンジャラスな事でしかない。
ギルバートは魔境だったヤーナムと呼ばれた都市からこの世界にやって来た為に、そこまでぶっ飛んだ事態には成れている。親友である最強の狩人が全身血塗れで帰ってくるなんて事が日々あるために、特に成れてしまったのだ。
しかし、ルナはいくらフロム成分が注入された異世界出身とは言え未だ若い受付嬢…ここはギルバートに任せた方が適任であろう。
「さてと…君、何処の出身だい?勿論、
「えっ!?おっさん!?転生者だったのか!?」
ギルバートの問いに対して目の前の少年は驚き、ギルバートに対して転生者と聞いたのだ。
では此処で転生者と言う存在について説明しよう。転生者とは地球で不幸にも若く亡くなった、或いは実力が有りながらも亡くなった惜しい人材を
「そっそ、それじゃおっさんもチート能力を持っているのか!?」
「ないよ。なんでも…そこの自称女神様曰くだけど、ヤーナムやAC(アーマード・コア)と呼ばれる機動兵器が存在する時代、後は…ダークソウルだったかな?その時代は特異点らしくてね。その時代や場所から来た人々は特典が貰えないんだ」
しかし、そんな転生特典だが万人が受けられる訳ではない。
狩人達が終らぬ悪夢…獣狩りの夜をさ迷っていたヤーナム、戦国時代の葦名、機動兵器 アーマード・コアやその発展型である戦略機動兵器アーマード・コアネクストが有った時代、そして第4の壁を越えた先にいる人々から言えばダークソウルやデモンズソウル…エルデンリングと呼ばれる神代の頃の物語からやって来た人々はチート特典を貰えず、持っていけるのは生前から使っていた所有物や所持金位なのだ。
ギルバートやヴァイオレットもそんな特異点からやって来た人であり、当然だがチート特典は貰えていない。ギルバートは僅かな所持金、ヴァイオレットは大切な白いリボンを持ち込んだに過ぎないのだ。
「まあ、転生特典が有ってもこの世界はバタバタと勇者候補が倒れていく。チート特典が有ろうが無かろうが、魔王は勿論…その部下である幹部が倒されていないのがその証拠だよ」
しかし、異世界転生の神々がチートを送り込んでも魔王は倒される気配は一向に見えない。これはチートを貰ってそれを使った限りだけでは魔王処か、その部下でさえ倒すことが出来ない証明でもあるのだ。事実、これまで何万という勇者が魔王の幹部を倒せず散っていった。
「話がそれたね。此処に来たってことは冒険者として登録かな?」
「勿論です!!」
「うわ…この引きニート、やる気だけはいっちょまえね」
そして少年と少女がやって来た訳は冒険者として冒険者ギルドに登録するためである。
「そうか…取りあえず、名前を教えてくれるかな?」
「はい!!サトウカズマです!!」
「私は水の女神 アクアよ!!」
少年はサトウカズマと名乗り、少女はアクアと名乗った。
そしてカズマは最弱だが理論上は全てのスキルを習得できる冒険者と呼ばれる職業となり、アクアは女神っぽいとの理由で全ての回復スキルを使用できるアークプリーストに成ったのだった。
「あっ君たち!!冒険に出る前に訓練所で講義を受けてからに!!」
「チュートリアルですか?」
「私が居るんだからそんなの不要よ!!」
しかし、ギルバートの忠告を聞かず、アクアとカズマはクエストを受注して冒険に向かってしまった。2人が受けたクエストはジャイアントトード 3体の討伐…報酬は3万エリスである。
アクセルから程近い平原。そこにはエサを探してか、ジャイアントトードが多く生息している。
「かじゅまさん!!かじゅまさん!!助けて食べられる!!へぶし!!」
だがこの世の中は甘くない。ジャイアントトードに襲われてしまい、アクアはジャイアントトードに食べられてしまった。後は胃袋に納められ…暴れないように胃壁でびっしりと圧縮袋のように圧迫されてゆっくりと骨を砕かれながら消化されてしまうだろう。
「アクア!!ちょっとまて!!コイツら…本当に一番簡単なクエストなのか!?」
ギルバートとは別の受付から受注したクエストであり、ジャイアントトードはジャグラスと同じぐらい簡単なクエストだ。これでも嫌なら下水道掃除位しか無いのだが、残念な事にアクセルは有澤重工を筆頭とした人々の活躍により、下水道処理が完備されており下水道掃除のクエストは存在しない…飲料水も現代日本と同じく美味しいのだ。
アクアはカエルに取り込まれた。そして、戦えるのはカズマだけだ。しかし、カズマの武装はレンタル品の片手剣だけであり…盾も貰っていない…防具も貧相なジャージだけだ。
「だっ誰か助けて!!俺の異世界ライフ…もう御仕舞い!?」
剣を弾き飛ばされ、カエルの長い舌で拘束されミシミシと全身の骨が軋む。そのまま骨が悲鳴をあげ続け…カズマはゆっくりと食べられそうに成った瞬間…
「へ?」
カズマを拘束していた長い舌が何者かの手で切り払われ、カズマは解放されて地面に下ろされる。その瞬間、カエルが真っ二つに切断されて辺りに血渋きが飛び散り、カズマはありったけの返り血を浴びてしまった。
「もう1人は何処?」
真っ二つに切断されたカエルの亡骸は血渋きと共に倒れ、カズマとカエルの亡骸を挟むように1人の美少女が立っていた。
その美少女はギルバートからカズマとアクアの救援を頼まれたヴァイオレットであり、ヴァイオレットは左手にアイルーと新生されたアクセル式の有澤重工の開発で産み出された画期的な銃 ライトボウガンの1つ…セルレギオスの素材で作られたヴァルレギオンが握られている。
そして右手に持っているのはマリアから受け継いだ刀…打刀と小太刀が柄頭同士で連結したダブルセイバー状の刀 落葉である。分離する事も可能であり、分離すれば打刀と小太刀の二刀流として使える。分離しなければダブルセイバーの刀…あづみ刀として使えるのだ。
ヴァイオレットは落葉についた血をふるい落し、カズマを見下ろす。
「もう1人は?居たよね?」
「アクアの事か?アイツはあのカエルに食べられたんだ!!」
カズマがビシッと指差したカエル。そのカエルは胃壁でアクアを砕きながらゆっくりと消化しているのだ。そのカエルを視認したヴァイオレットは地面を蹴り、そのカエルに接近する。そして、落葉を血の意思に変換し…ヴァルレギオンから通常弾を放ち、カエルの脳天を撃ち抜いてカエルが怯む。その瞬間、ヴァイオレットの右手がビキビキと擬音を立てて鋭利に変化する。
狩人のスキルの1つ ビーストハンド。これを用いて狩人は隙が出来た相手に内臓攻撃を行うのだ。
ビーストハンドで鋭利と成った腕はカエルの腹部を貫き、胃壁さえも貫いてヴァイオレットは何かを掴む。そして思いっきり引き抜いた。カエルの血潮と共に抜き出されたのは…カエルの胃液と唾液と血でベタベタに成ったが…未だ消化されていないアクアであった。
「任務完了っと」
「びえぇぇぇーん!!カエルなんて、2度と嫌よ!!」
新鮮な空気を吸い、息を吹き替えしたアクアは大きな声で泣きじゃくったのだった。
「この世界は…俺の想像以上に残酷だ……」
カズマ、異世界を知る。
「いやっほぉぉ!!お小遣い稼ぎだ!!」
そしてその場のカエルは全てヴァイオレットの手で、ヴァルレギオンで撃ち抜かれ…落葉で切り裂かれ、モツを抜き取られて殲滅させられた。
次回!!ヴァイオレットが案内するフロムinアクセル。フロムの皆様が続々出てきます。
社長や大統領、マリア様、セレン母ちゃん、そして人類種の天敵
カズマくん、強化プランどうする?
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