ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

103 / 105
エピソード34 塵芥 3

「よし、視認した!」

 

〈来たな雄介!一斉攻撃だ、タイミング合わせろよ……今ッ!〉

〈いっせーのー、で!〉

 

 丈治と竜弥のクルセイダーが放つビーム砲とミサイル、追随する形で雄介の撃ったバルカンと、ビーム砲の代わりにオプション搭載してきた速射砲が同時に直撃

一つや二つならフィジカルで耐えられなくもなかったかもしれないが、流石に頭部に全武装の一斉射撃を受けて耐え切れるほどの硬さは無かったのか、一気にダメージを受けて転倒する

本来ならばここからが本番となる対怪獣戦だが、今回ばかりは手間をかけてはいられない

一挙にケリをつけるべく、全員がポジショニングを終え次第再び一斉射撃で沈めに掛かった。

 

「キュィォオオオ!!!」

 

 その、一瞬だった

飛び込んできた新たな影がケルビムを掻っ攫い、そのまま爆破したのだ。

 

「なに!?」

〈マニューバモード使用許可を!〉

〈雄介退がれ!〉

 


 

 空間転移怪獣メタシサス 異次元空間より飛来

 


 

(ザイン、イグニッション!)

 

 雄介は咄嗟にレボルシオンから緊急脱出すると同時にイグニッション、心臓に光の鍵剣を突き刺して捻り、己の心を抉り出す。

 

「デュァァッ!!」

 

 着水し、激しく水柱を上げるザインと対照的に空中に静止するメタシサス、その姿が掻き消えたのは次の瞬間だった。

 

「デュ?!ヌン!」

 

 クワガタムシのように横開きになった顎が背後から迫り、ザインの首へと噛み掛かる

しかし、精密機械じみたその動きゆえに雄介にとっては予測しやすい

テレポートや透明化、分身戦法を得意とする怪獣や宇宙人というものは、まず背後を取ることを優先する

バルタン星人やガッツ星人、そうでなくてもネロンガやサドラといった連中はみな死角から攻撃してくるのだ

ゆえに視界から消えた時点で即座にそれを察した雄介はまず咄嗟にスペシウムブレードを背後に向けて展開していたのだった。

 

 勘が当たって直撃したスペシウムブレードはそのままメタシサスの胴を貫通するが、やはりそれも大したことはないかのような動きで再び奴の姿は掻き消える

メタシサスの能力は通常の生物の認識し得る3次元空間座標の概念を超越した移動能力であり、奴にかかればメビウス時代に地球に来た宇宙量子怪獣ディガルーグのように複数の空間領域に同時に確率的に存在することなど容易いのだ。

 

「デュ……」

 

 ブレードに手応えが無かった事からそれを消したザインだが、すぐさまにカラータイマーが鳴り始める

まだ変身から30秒も経ってはいない、対邪神戦でのエネルギーの枯渇がいまだに後を引いているのだ。

 

〈雄介!クソォッ!応答しろ!雄介!〉

〈攻撃が効いていない!おいCP!どうなってる!〉

 

 クルセイダーの二人は撃墜された雄介を心配しながらも正確な射撃で怪獣を撃ち落とそうとするが、まるで手応えを感じられない

通常であれば被弾部位に破損が生じるなり火花が噴くなりするのだが、まるで蜃気楼のように揺らぐばかりでリアクションがまるでないのだ。

 

〈タイプアンノウン、未知の怪獣です!

時空連続体に歪みが発生しています、おそらく超空間かなにかを

操る能力で攻撃を無効化しているんです!〉

 

「キュィォオッ!」

 

〈じゃあどうしろってんだよ!〉

〈そんな都合よく対時空変動装備なんてあるわけないじゃないですか!根性でなんとかするんですよ!〉

 

 機械的にも生物的にも取れるメタシサスの叫びが響く中、雄介はザインのエネルギー減少を少しでも抑えるべく動きを静止し、念力による身体維持に集中する

次に来る攻撃の一瞬に備えているのだ

ガンQやグリーザ、メタシサスやディガルーグなどの持つ能力である同一空間軸上多重存在の推移による確率論的回避は、接触するその一瞬のみ無効化されるのである

接触とは存在なくして行えない行為であるゆえに、触れたときには確かにそこに存在しているのだから。

 

「ディエアッ!」

 

 意識を集中し、拳にあらん限りの力を込めてのカウンターを撃ち放つ、全力の攻撃がメタシサスへと突き刺さり、それを吹き飛ばすことに成功、すかさず必殺の一撃を繰り出す雄介だが、ザイナスフィアのエネルギー蓄積の完了前に再びメタシサスが姿を消してしまった。

 

「デュ!……」

〈あぁもう!時空変動が磁気に影響して通信が〉

 

 通信が途切れる、メタシサスの能力の影響による通信妨害だ

司令部との通信が途切れてしまったことでクルセイダーズの二人も有効な攻撃手段を見出すことが出来なくなってしまった

フィジカル型ではないとはいえマックス怪獣、たかが一、二発の拳では必殺技のために十分な隙を作れなかったのだろう、しかし雄介の側にはもう時間がない

エネルギーの減衰はいよいよ厳しいレベルに突入しているのだ。

 

「キュィィッ!」「セヤァァッ!」

 

 カラータイマーへと目を落とし正確な残りエネルギー量を把握しようとしたザインに死角となった真上から迫るメタシサスの突撃は、それよりも遥かに早く突撃してきたゼファーによって防がれる

ゼファーの飛び蹴りがメタシサスを海面へと叩き落とし、激しく水柱を上げた!

 

(ザイン、念力だ!奴を通常空間に叩き落とせ!)

 

 派手な水柱とは裏腹に、実際のところ実態の希薄なメタシサスはほとんどダメージを受けておらず

すぐにまた戦闘態勢を取り直してくる

だがゼファーの勘は正しかった

雄介の操る念力がメタシサスの能力を妨害し、確率的存在の実在可能性を引き摺り出す

メタシサスが実体化した瞬間、ゼファーはエクスカリバーを召喚して斬りかかり、インナースペースを展開して必殺技バンクに入る。

 

エクスストラッシュ

 

 翠緑のインナースペース背景を背に、国彦が握った聖剣を逆手にし、大きく振りかぶって右下から左上へ、半回転斬撃を放つ

確率論的回避能力の機能を失い、その場に実在しているメタシサスにそれを躱す術は無かった。

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)

▲ページの一番上に飛ぶ
Twitterで読了報告する
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。