ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

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エピソード35 散塵 2

「ええいもう!出現率異常でしょ!」

「まぁまぁ、とりあえずやりましょうよ」

 

 

「「BURKオーシャン エンゲージ!」」

 

 二人の隊員による初動迎撃が開始されると同時に、機動力の差で最初の2体に間に合わなかったのであろうBURKジャパンの戦車隊が回されるとの通達が届く

流石に軽武装な上に武装を擦り減らしてしまっているシーホースは火力が足りるとは思えないため、その申し出はありがたいのだが、連携訓練もしていない組織同士であるため、誤爆・誤射や射線閉塞を避けるために距離を取って戦う方針を取らねばならない

近接でこそ活きるブレードウィングと小回りの利く足が売りであるシーホースはますますすることがなくなってしまう。

 

「……なにあいつ!」

「あ、あれは……分かりません!でもおれ達の知らない怪獣ってことは分かります!」

「そんなわかりきった事はどうでもいい!データがなきゃ何してくるか分かったもんじゃないって言ってんのよ!」

 

 しかし、伊豆周辺で接敵したその怪獣は

全体的に腐ったような筋繊維が表出している茶色のボディ、おそらく鰭であったのだろう部分と骨格は大きく強く発達しているのがみてとれるが、反面脚は貧弱で、尾や胴体の太さからすればなぜそれで立てるのかわからないというレベル。

 


 

ゾンビ怪獣シーリザー 静岡県沖より漂着。

 


 

「お嬢!あいつ、海面に立ってますよ!」

「違う、浅瀬の部分に立ってるのよ、でもおそらく全高はウルトラマンより高い……あぁもう!グロすぎ!達摩、あいつ吹っ飛ばすわよ!」

 

 あまりにも理解しがたいその姿、グロテスクすぎる外観は腐乱死体に対する生理的嫌悪を生じさせる

今すぐ火葬なり粉砕なりでもしてやろうと言わんばかりの勢いでシーホースがビーム砲を放つが、頭に直撃したはずのビームを無視して直進してくるシーリザー

彼女とてかつて闇の三巨人やクトゥルフが使役したシビトゾイガーは知っているが、だからと行って『バイオハザード』のような露骨すぎるホラーが得意なわけではない

ダメージを受けながら鈍い動きで直進してくるなどという常識を超えた行動は否が応でも直前のケルビムの生物的な反応と比較して、気色の悪さを感じさせるものだった。

 

「なんなのよあいつぅっ!」

 

 あまりにも気色悪いゾンビ怪獣の相手をするには火力不足という事で二人は一旦下がる

残念ながらシーサーペントのガトリングも貫通力を持つ兵器ゆえに脆い敵の体を突き抜けてしまい、衝撃力を発揮できないために有効打にならないようだ。

 

「お嬢!これ弾効いてません!一旦下がりましょう!火力のある戦車隊に任せますよ!」

「くうっ!我、通常弾にて攻撃試みるも効果確認できず、退却する!」

 

〈了解!あとはこっちの大砲に任せろ!〉

 

 ありったけの爆弾を置き土産にして叩き込み、最低限表面を焼灼して足止めしてから退却する二人

海岸線に並ぶ火砲は凄まじい威圧感を放っているが、ガトリングガンで蜂の巣にされても死体のまま再生してくるという規格外の再生能力(リジェネ)を持つシーリザーの力を目の当たりにしてはこれでも火力が足りるか不安を拭えない。

 

海龍(シードラゴン)……ううん、海腕魔(スキュラ)海魔人(クラーケン)を使うべきね、達摩、あんた人魚姫(マーメイド)は使える?」

「いえ、おれはシーサーペントとシードラゴンだけです」

 

「……まぁしょうがないか、ブルーウェーブは?」

「母艦ならスワローテイルの方が近いですよ、それにスワローはちょうど今スキュラを牽引中です」

「ならそっちで、海中移動?」

「もちろん」

 

 二人して海面をくぐり、海中へと突入するとそのまま深度を落として潜水艦の方へと向かっていく

ややもせず背後の海面付近から震動を感じるが、おそらく奴とジャパン陸戦隊との砲撃戦が始まったのだろう。

 

「ただいま!」

「お帰りなさい、また出るの?」

「もちろん!スキュラは使える?」

 

 エンジニアの友人である石動舞奈に尋ねると、無情な返事が帰ってきた。

 

「おばか、前に派手にやられたせいでまだ修理中よ、それにたかが怪獣一匹にディザスター級なんて引っ張り出す訳にいかないでしょ、アンタただでさえ無断でプレセベ使ってるんだし」

「ちゃんとエクスカリバー含めて全兵器使用許可取ったわよ!それにアレはマジでヤバい、語彙力ないけどヤバいって」

 

 焦りのあまり語彙力がそれはもうすごくすごい事になっているが、その様子を見ても彼女の表情は変わらない

青い耐水圧型の士官服のタイトスカートから覗く太腿を膝に上げて足を組み、その肉厚をこれでもかと誇示しながら静かに指を振る。

 

「映像は見せてもらうけど、おとなしくシードラゴン……か、アレね、シースパローにしなさい」

 

「シースパロー?ウィンガーじゃなくて?」

 

「イーグルのウチ流カスタム機って話、あったじゃない、アレに新しく付けられたコードネームよ、海雀(シースパロー)、元が荒鷹(イーグル)な分ちょっと格落ちっぽく聞こえるけど性能は変わってない、いつも通りワイズ・クルージングと潜航機能を確保してるわ」

「……でもイーグルって火力が足りないんじゃない?サーペントのガトリングも爆弾も効いてなかったわ」

 

「……それはちょっと予想外ね、なら今回は待機でいいんじゃ無いかしら、正直ウチで今現在用意できる火力はドラゴンとサーペントが最高だし」

「やっぱし?それじゃもうどうしようもないかぁ」

 

 そもそもの話、海を仕事場とするオーシャンの機体には火を使う武装は少ない

ヤツを火葬にできるほどの火力を発揮できる兵装というのはごく僅かだ。

 

「……スキュラが使えれば……!」

「いいわ、私から艦長に伝えます、現場にはローマの爆撃機を回してもらいましょう」

 

「あ、ケルベロスね!確かにアレなら十分だわ、よろしく!」

「言っとくけど、乗るのはアンタじゃないんだからね」

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)

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