「ねぇねぇねぇねぇ雄介聞いて聞いて聞いて!FERデータ飛んだ!」
「首掴みながら言うことかっ!」
ガタガタと振り回されながら雄介が抗議するのを聞く事すらなく
小鳥は普段の非力など微塵も感じられない程のパワーで雄介の首を掴み上げる。
「ゆーすけぇぇぇえ!」
「やめるうぉおぉお!」
UPSを備えていなかった小鳥の家庭用ゲーム機は残念ながら停電に耐えられなかったようで、そのセーブデータは電子の彼方に消滅してしまったのだった。
「あのねぇ……ゲームのデータが消えたって、それで殺人事件とかやめなさいよね」
「え?殺人事件!?どこどこ!?」
「ここに決まってるだろうがぁ!」
窒息寸前の雄介が腕を振り解いて怒鳴る、流石に幼馴染に首絞められて死ぬ訳にはいかない。
「今どき暴力系ヒロインはモテないわよ、今はほら……巨乳で貞淑で優しくてお金持ってて男の趣味に口出さずに金出す女がモテるんだから」
「それ利用されてるだけじゃん」
「……否定できないわね」
小鳥と明の言い合いは雄介をよそに進んでいく、
「人の首を絞めるなバカ!
……まぁ俺だから良いが、他人だったら今頃殺人犯だぞお前」
「あ……ごめん」
突然頭が下がったために小さくなったように錯覚するが、元々かなり小柄なので実際はあまり変わっていなかった。
「で、今回の議題ですが
『新しいウルトラマンについて』
やはりこれが主題でしょう」
「…………」
「交戦した怪獣はエレキング、ディノゾール、ゼットン、そして未確認怪獣二体
既にそれなりの戦闘力は確認できているけれど、今まで光線技は使用していない
これが珍しい点ですね」
BURK日本支部の会議室には現在スクリーンが降ろされ、アンリミテッドネットによる超高速回線と各支部に設置された各国それぞれの最新型量子コンピュータによるリアルタイム翻訳で行われるリモート会議が始まろうとしていた。
「そうですね、中国支部としてはバオロンの有用性をアピールしたいところですけれど
やはりウルトラマンの話が喫緊と考えますわ」
各支部の代表または代理とその秘書の2人一組、それが10組
日本・アメリカ・中国・ロシア・イギリス・ローマ・フランスの7大国、そして
「オーストラリアより失礼する」
そして、11番目の参加者が通信に入った。
「グローリアス氏、お久しぶりです」
「……久しいなルクシウス、君とは17週間は話していなかった、現場復帰かね」
「はい、ようやく傷も癒えましたので」
ローマ代表を親しげに呼ぶ彼は、いささかに異様な風貌をしていた
氷の結晶のような濁った透白色の体、首から上には横に広がる逆さ角
青く鋭い瞳は尋常ならざる光を宿す
凍気満ちるその姿はそう、グローザ星系人
彼はグローザ星人グローリアス
天の川銀河公認二等法務官である。
「我エリアルベース、現在はオーストラリア大陸上空を巡航中である
アンリミテッドネット回線接続良好、通信阻害は確認されず
第0エリアルベース、代表者として議会の出席を宣言する」
エリアルベース、それは常に高空を巡航する空の防衛基地、そして第1アメリカ本部から設立順に振られた番号を唯一持たない非公認扱いの極秘基地である。
「さて、時間ね、
議会に全員の出席を確認しました、定刻につき現時点よりBURK首脳部総会を開始します、
今回の議長はロシア支部よりわたし、ユーリャ・ニコラエマ・ナザノヴァが務めさせていただきます」
「副議長はローマ支部より私ルクシウス・アマリティウス・ザキーマが務める」
議長は持ち回り制でそれぞれ2カ国が務めることになっているため、今回の議長・副議長にはロシア・ローマの支部長がそれぞれ付くことになった
その勢いのままユーリャが口火を切る。
「第一議題は、新たなウルトラマンについてです
先日確認された新たなウルトラマン、仮称トライとしますが、このウルトラマンについて
最初の出現が確認された日本支部からデータをいただき、分析に掛けた結果
観測された量子データはM78星系のウルトラマンの有するβディファレーター光波と約50%一致しました」
「約50%?妙だな……」
「約50%の一致率は高いとは言えませんが、行動などから過去のウルトラマン達と概ね一致する行動方針を有するとみて、我々としてはトライをザ・サードウルトラマンと認定したいと思います」
「それでは規定により、投票決議を行う
本部及び各支部長の投票に基づき、組織としてBURKの行動指針を決定するものとする
仮称トライのザ・サード認定に対して賛成する者は挙手を」
手を上げたのは日本・アメリカ・ロシア・ローマ・南極・宇宙、そして天空
11の投票権のうち6票を得たことで、この提案は可決された。
「では、彼をザ・サードとして認定します
ついては彼の『変身者』の発見を急がなくてはなりません、日本支部は現場人員に対しての捜索指示の徹底をお願いします」
「承った」
日本支部長が重々しく答える中、
年老いたフランス支部長アメリエラが口を開く。
「時に彼らは秘密主義的です、我々では思いもよらない手段を以って自らの正体か、さもなくば変身者を隠蔽し、平常を装わせて擬態し、我々を欺きます
しかし、我々は彼らと争いたいのではなく、協調したいのです、
信じ合い、力を重ね、共に守り合うことが出来るはずの二者が、お互いを疑い、すれ違いながら個々に戦う姿のなんと悲しい事か」
「そのために、我々は探すのでしょう
全ては説得のため、協調のために」
「しかし、言葉通りにはいかないのが真実というものです
消耗を重ね、路傍に転がっている者を拾うのでは遅いのです、出来る限りに早く見つけて組織という防壁に入れて庇い、足と目を提供する環境を構築しなくてはなりません
我々はセブンに対する失態を忘れてはいけないのです
それだけではない、カイナもアキレスも、ジードもロッソとブルも
皆10代の青少年に過ぎなかった
ウルトラマンがどうではなく、人には限界があるのですよ」
アメリエラはなおも言葉を重ねる
彼女はフランス支部長の座についてから30年以上も同じ座を守り続けてきた鉄腕を振るう事はなく、ただ語った。
「人の身には限界がある
神に等しいウルトラマンの力でもなお、限界は必ずあるのです
それを目の当たりにした時、10代の若い精神がどれだけ耐えられるでしょうか
私には耐えられない
理を超える神の力を手にしておきながら、目の前で人が死ぬ姿を許すことはできない
しかし、必ずそうなるのです
そうなった時、近くには大人がいなくてはならない
自立し、他者を支えることができる大人がいなくてはならないのです」
目の前に置かれたティーセットには触れる事すらなく。
「ただ探すだけでは足りない
何らかの形で組織に取り込み、そのリスクを低減しうる環境を整えなくてはならない
そのためには……懐柔策が必須であると思います、それも全世界的に展開しうる、広域的かつ柔軟なものが」
「……一理ある」
老女は嘆息し、そして再び視線を上げた
スクリーンに映る瞳は真っ直ぐにこちらを見つめてくる
物理距離9600キロ、視覚的には4メートルを結ぶ視線を受けて、日本支部長は応えた。
「我々BURK日本支部は変身者を発見次第勧誘に赴く、現時点ではまだ確認できていないが、最優先事項として候補者の割り出しと勧誘を急ごう」
おまけ〜BURK内での武装の段階分け〜
個人携行可能な小火器
対人には十分な程度
基地に常備される防衛装備、対怪獣用兵器の大半がこれに当たる
彗星の破片などを粉砕するために使われる兵器、この段階からは使用に隊長以上からの特別許可が必要になる
僅かにでも扱いを誤れば破滅的被害を起こす可能性がある危険な兵器
使用に基地指令以上の許可が必要となる、人類の最終兵器
特別な目的のために作られた特殊兵器もこれに当たる
今後の作品展開の方針は?
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ニュージェネ系統
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昭和兄弟系統
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ンネェクサァス(ねっとり)