ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

16 / 109
エピソード7 海の掟 3

「いくぞザインっ!」

(ああ!)

 

 引き倒して投げ飛ばし、そのまま飛び蹴りで脊髄を折り破り、背から飛び出した骨を引きちぎって投げ捨てる

なんともバイオレンスだが、脊椎動物の中でも特に原始的な作りを持つシーモンスは脊髄に神経瘤を持ち、これが水中での立体機動を担保するという神経構造があるため、たとえ頭を丸ごと吹き飛ばしても攻撃してくるのだ

ならばこうする他にない。

 

「ザイナスぐわぁっ!」

 

 弱点である神経瘤と脳、まとめて二箇所を吹き飛ばすために力のチャージを始めた雄介だが、技が発動するより前に攻撃を受け

集中が途切れた事でエネルギーは霧散してしまった。

 


 

 

『……』

 

 

「お、おい何してんだよバタフライ!」

 

『…………』

 

 

【enemy:type・giant】

 

 正面モニターの画面に映ったそれは

怪獣の分類識別に他ならなかった。

 

「シャットダウン!」

「ダメです間に合いませんっ!」

 

 突如ウルトラマンに攻撃を仕掛けたクルセイダー、そのプローブに載った人工知能は

人類の最新鋭武装で手こずる怪獣を圧倒する力を持つウルトラマンをこそ、人類を圧倒し、滅ぼしうる強敵と認識してしまったのだった。

 

「クソっ!リアルタイム対抗入力です!こちらからのコマンドが妨害されてます!」

「恒河沙を直接止めるのは!?」

 

 霧島がコンソールを叩きながら悲鳴を上げる中、駒門が頭を巡らせる

しかし、敵に基地侵入されただけで量子コンピュータを直接攻撃させてしまうような脆弱な構造はしていないのが防衛基地、対策は思い当たる限り完璧だ。

 

 過去には電子化してネットワークに侵入する敵だっていたのだし、例のゼットン事件やウイルスプログラムによるサイバー攻撃を対策するため、基地内の電気系統もネットワークもそれぞれに独立している。

 

「人類の敵とウルトラマンを間違えるなんてそれでも最新コンピュータかよ!」

「だからこんなの嫌だったんだ!」

 

 各々の声が上がる中、クルセイダーはウルトラマンへの攻撃を続行する

そして弘原海に、一本の連絡が入った。

 

《こちらオーシャンよりシードラゴン、予てより準備はしていますので、バタフライはこちらで対処します、日本支部は量子コンピュータに直接対処を》

「……ならそちらは任せた」

 

《承ります》

 

 そして、空に碧羽が舞った。

 

 


 

「なんだ!無人機が攻撃してきた!?」

(おそらく敵と私たちを間違えたんだろうな、そして機械というのは基本的に頑なだ……まずいぞ雄介!)

 

 いかにウルトラマンといえど流石に光ゲート式をも超える電磁スピン式量子コンピュータの処理速度が相手では自身をデータ化送信してもネットワークに侵入する前に弾かれてしまう可能性もある

しかしここで迂闊に撃退しようものならそれこそ人類の脅威のレッテルは避けられないだろう。

 

「牽制しつつ粘るぞ」

(ああ、彼らの相手をするのは先にシーゴラスを手早く倒してしまってからとしよう!)

 

 二人の思考を一致させ、同時に動き出す

その時、閃光と共に銀騎士に火花が散った。

 

「そこのウルトラマン、下がりなさい

こいつらは私が始末をつけます」

 

 拡声器によって大音量で放たれる声、これほどの嵐の中では風に掻き消されて聞こえないかもしれないが、あいにくウルトラマンは針の落ちる音さえも聞き分ける程の聴力を備えていたため

 

「BURKシードラゴン、戦闘開始(エンゲージ)

 

 はっきりと、その声を聞いた。

 


 

「隊長?今のはどちらからですか?」

「ああ、今回のお目付役様からさ

来たぞ、ほら」

 

 指差された場所に映る姿はまるで青い翼を持つ鳥だった。

 

「あれは……」

「対怪獣用多目的攻撃機海龍(シードラゴン)

オーシャンで独自開発された海上用機だ、昔の海鳥(シーウィンガー)から直接繋がる系譜なんだと」

 

 60年前、ウルトラマンメビウスと共に戦ったGUYSジャパンの基幹組織、ガイズ

その組織形態や考え方は今にも繋がる11基地の基本となり、多くが残され継承されているのだが、一方でほとんど残されていないものがある

地球外由来の技術を利用した兵器、メテオールだ。

 

 暴走事件やメテオール兵器自体の奪取、流失の危険を鑑みて殆どの武装は封印され、秘密裏に処理されてしまったため、スペシウム弾頭弾やスペシウムリダブライザーなど有名なものは情報こそあれど実物は存在しないというケースが多い

しかし、その例外としていくつかの装備や機体に搭載されたメテオールはそのものが丸ごと継承されている

つまり、飛行技能されあれば追尾するエネルギー弾すら振り切ることを可能とするあの機能が、シードラゴンには存在しているのだ。

 


 

「…………」

 

 クルセイダー3機は徐々に弱まってはいても、依然として吹き荒れる嵐の中で翼を操り、見事にフォーメーションを維持しているが、繰り返し放たれる重粒子ビームの束はシードラゴンを捉えられない。

複雑な風を編むように舞い上がるシードラゴンの優美な飛翔を妨げるには

光を上回る計算速度を有する量子コンピュータを以ってしてもなお足りないのだ。

 

「甘い、甘い、まるでチョコラテね」

 

 蔑むような視線を切って、余裕たっぷりにビームを回避していくシードラゴン

しかし、クルセイダー側の攻撃が当たらないからといって反撃ができるわけではない

嵐の中を飛び回るのはそもそも格闘性能の高いクルセイダーの方が有利であり、今は雨滴と暴風という多層の装甲に守られているだけなのだから。

 

 風のヴェールが、雨の垣根が、天を舞う海龍を銀騎士の槍から守り続ける。

 


 

「……隊長、アレは一体……」

「あたらねぇ……」

 

「海の上は嵐の影響を受けやすい、対策もあるだろうし軽いクルセイダーよりも重いシードラゴンの方が飛びやすいのは道理だろうが……だとしても……」

 

 格闘性能こそ低いが、シードラゴンは多目的攻撃機であり、爆弾やビーム砲などのメジャーな武装以外にも電撃砲など装備はある、しかしクルセイダーを破壊したいのではなくあくまで足止めを狙う以上は使えない

となれば彼女はこのまま燃料切れまで粘るつもりなのだろうか、だが長引けば長引くほど嵐は引き、彼女は不利になっていくだろう。

 

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。