「ギシャァァァッ!」
最後の抵抗と言わんばかりに千切れかけの尾をひらめかせ、鋭い薙ぎ払いの一撃を仕掛けてくるシーゴラス、左腕で受け止めるが、そのままの勢いで吹き飛ばされるザイン。
「グァァッ!……デェアッ!」
ビルに肩から突っ込んで転がり落ちながらも姿勢を整え、雨に光るスラッガーを飛ばして反撃
しかしシーゴラスの出している暴風が盾となり、スラッガー自体の速度が奪われてしまう
ならば……こうだ。
「デヤァァァァァッッ!」
ザイナスフィアを中断した際に漏出したエネルギーを転用し、そのままスペシウムエネルギーを砲撃へと変えて射出
スラッガーへ直撃させてエネルギーを増幅し、さらに念力で推力を増した前回し蹴りを放つ
爆発的な加速によって風の壁を突き破ったスラッガーが飛翔し戦闘能力の中枢を担う神経瘤を破壊して、そのまま爆砕
シーゴラスの爆発を背で受けながら
臨戦態勢を維持するザイン。
シーゴラスが死んで源が絶たれたために急速に衰退する嵐、そしてそれを盾にしていたシードラゴンの有利もまた失われる。
「あっぶ……!ないっ!」
粒子ビームを掠らせながらも回避するシードラゴン、大型機であるシードラゴンは格闘戦向きの戦闘機であるクルセイダーとの相性は悪い、
相手の電波通信も回復して絶好調、さらには戦闘開始から時間が経ってシードラゴンの動きを学習し始めているコンピュータ
このままではジリ貧になる
そう判断した明は切り札を切った。
「……マニューバモード!」
この作戦に先んじてオーシャンに配備された全装備の独断使用の権限を与えられている明は、通信を絶った状態でもこの機能を使うことができる
流れた髪のかかる左手がレバーを押し込んだ直後に機体の各所から慣性制御能力を備えた光の翼が展開し、さらに翼自体も大きく広がり光の粒子を撒き散らし始めた。
空戦機動形態マニューバモード、数少ない現在にまで残されているメテオールの現物だ。
「ファントムアビエイション・スタート」
神速の切り返しが残像を産み、無数の幻影がばら撒かれる
左、右上、下、停止、下急ターン上、右右左下
無数の影に隠れながらクルセイダーのビーム連射を掻い潜っていった。
BURKに長く勤める駒門と弘原海でも資料のいくらか、オペレータを専業とする霧島もいくつかの映像程度でしか知らないマニューバモードの超機動
最新鋭機であるはずのクルセイダーすらも軽々あしらう異様な飛行に旋律する丈治。
「隊長……あれは……」
「昔から、最新兵器に対抗するなら骨董品の職人芸って相場が決まってるんだよ」
そう言いながら、弘原海は万感の思いを込めて深く頷く
かつて彼自身も繰り出した、いっそ驚くほどにレトロな装備による最新武装への対抗という奇策
同じフォーマットにないからこその有利性が、金色の海龍を勝利へと導く、そしてさらに画面の向こうの彼女は続ける。
「ゾディアックウェポン・キャンサー、起動!」
黄道の第四宮、
無人探査機プレセベが起動する。
(なんだアレは!?)
思わず棒立ちになるザインが見る前で、ビーム砲撃をなんでもないように躱しながら飛び回るシードラゴンと、その黄金の軌跡に導かれるように海面を破って現れた巨大な機械蟹。
(新手ッ!!)
金属的な表面から纏った海水を落とすそれ、全長にして50メートルを上回る巨大な蟹が背後に突如現れたことで身構えるザイン、しかしシーゴラスとの戦闘にエネルギーを使いすぎたせいかカラータイマーが鳴り始める。
「大丈夫です、ウルトラマン
その蟹は私が呼びました!」
金の翼を翻した青い龍が前を横切りざまに叫んだその時、一瞬操作が疎かになった隙をついてミサイルが飛来する、が、それは脅威にならなかった
無人探査機プレセベが強烈なエネルギーバリアを展開し、その爆風を完全にシャットアウトしたのだ
そしてプレセベから2つの部品が分離射出され、シードラゴンへと装着。
「プラズマスタナーネット展開」
機体底部に追加装備されたランチャーからエネルギーバリアの要領で形成された光の網が投下され、瞬時に加速したシードラゴンがクルセイダーを絡め取る
都合3度の爆音が鳴り、全てのクルセイダーが囚われた。
「捕獲確認……シードラゴン、状況終了」
エネルギーネットがクルセイダーを拘束し、その推力を上回る強度で押さえ込んだ直後、破壊的な電流がクルセイダーの電気系統を焼き完全に沈黙させた。
今後の作品展開の方針は?
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ニュージェネ系統
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昭和兄弟系統
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ンネェクサァス(ねっとり)