ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

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エピソード8 急転直下 1

「なんだったんだよ原因は!」

「それがわかったら苦労しないんですよ!」

 

 言い争いになる整備班とパイロット、その二人の間に入った人影の正体は駒門。

 

「よしなさい、鍋島君も困っているでしょう

それに結局レコーダーまで焼けてしまったのだから、今更騒いだって無駄よ

今回は諦めるしかないわ」

「そもそもおかしいじゃないですか!フライトレコーダーは体当たり自爆しても残るなんて代物なんですよ!?たかが1億ボルト、たかが高圧電流ごときで壊れるわけがないんです!」

 

 それでもなお反論しようとする竜弥を静止し。

 

「確かに、フライトレコーダーは現状最高峰の加工技術で作られた『壊れない部品』ではあるわ

でも、破損することも故障することも全くないわけではない、貴方も知っているでしょう?

解析して結果が出るならそれを待ちましょう、でなければそれも仕方ないことだわ」

 

「しかし!」

「くどいわ」

 

 理屈では納得の行かない様子の竜弥を一言で切って捨てた。

 


 

 それと同じ頃

雄介とザインは有彩の家で化学を教えていた。

 

「Cの意味は『炭素』『元素番号6番』で『第14族元素』

これで良いですか?」

「うん、これで一応は暗記できたね、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、ネオン

最低限ここまでは覚えておこうってあたりだけど、意外と間違えたりしがちなんだ

水兵Liebeボクの船ーなんて語呂合わせもある」

 

「……なんで1から18族なんて中途半端な数なんですか?」

「それはね、原子核に対して釣り合う電子の安定する位置と個数のせいなんだが……これを見てくれるか」

 

 さらさらと手帳に球とそれを囲う円を描く雄介。

 

「この真ん中のが中性子と陽子で作られた原子核、それに対してこっちの円の縁に付いてる点が電子ね、原子核には陽子と中性子が同じ数づつ入っている、その陽子と同じ数だけ電子もくっつく、しかし電子は原子核に直接くっつくわけではなく、外部にあるこのリングに入ることで安定する、陽子の数が増えるたびに電子も一番内側のK殻に2個、入り切らなくなったら次のL殻に8個って風に18、32、50個とどんどん増えていくんだけど、この3番目、M殻の最大容量18個を基準にしてるからなんだ

それとなんでKで始まるのかってのは

最初に電子殻を発見した人が『これが何層も重なってる以上、現在見えている一番内側が本当に1層目なのかわからない』って言ってアルファベットの真ん中のKをつけたらしいよ

まぁこれは結局現在までさらに内側が見つかってないんだけど、安直に決めた結果の例としては設定された電流の流れる方向と実際に電子の流れる方向が逆なせいで面倒なことになってるから、これ決めた人達にはもっと慎重になってほしかったね」

 

 1つの電子が持つ電価はマイナス1、高い(プラス)方向から低い(マイナス)方向に電流が流れるという設定がされている以上、実際に電子が流れる方向と電流の方向は逆になってしまう

これは高校生達に頭を掻きむしらせた科学者のミスの一つである。

 

「H 水素 1とHe ヘリウム 2

この二つがK殻で…?L殻は8種類分、M殻は18種類、でもそれなら第3周期は18個全てが埋まるのではないの?N殻の32種類とO殻の50種類は複数の周期で正しく表現出来ているの?

表の正確性が疑われない?」

 

「良い質問、それも割と人間のご都合主義ね

そもそも周期表は『縦軸=族』『横軸=周期』で『性質が似たものを並べた表』であって隣がどうとかは意識されていないんだよね

だから窒素と炭素が隣だったりする

基本気体な窒素を液体窒素にするのは-196°C必要なのに炭素は常温で固体だろ?、ぶっちゃけ隣にあるのは『同じ数の殻があって元素の数字が隣だから』なんだ。

……んで逆に縦に見ると

極端だけど『ヘリウムHe』『アルゴンAr』『ネオンNe』『キセノンXe』『クリプトンKr』わかりやすいことにこれらは『非常に変質し難い』という性質を共有している

とても安定していて化合物を作りづらいのがこの18族元素の物質的特徴、ってわけさ」

 


 

 

「むぅ……雨やんだのに……」

 

 大学の門の前で、女は思案する

買い物は多少楽しかったがただそれだけ、やはり最近は腕一本潰したくらいで満たされない。

 

「はぁ……」

 

 薄い記憶の中で想い出を探りながら

どこにいるかもわからない彼を探す

見つからなくても良い、永遠に、見つかるまで探し続ける

それが彼女の、愛の形なのだから。

 


 

「ねーねーねー、ねーねーねーねー!」

「……猫か」

「鳥じゃあ!」

 

 ぺち、と頭を叩いてきたのは小鳥

鳴き声は猫なのに頭は鳥とは難儀なものだ。

 

「こないだゼットン出てきたじゃん?」

「おう」

 

「あの時私もいたんだけどさ」

 

「……おう」

 

 いつのまにやら死の危険に瀕していながら、至極明るい声でなんでもないように告げる彼女に軽い恐怖を覚えながら、雄介は応える。

 

「見たよ、新しいウルトラマン」

 

 

 その瞬間、時が凍った。

 

 

「あれさ、中身雄介でしょ?」

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)
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