(やつはブラックエンド、危険な怪獣だ
特にレオ氏が戦った『円盤生物』種に類する怪獣の中で最もパワーがある個体だと聞く!)
「なら拳はダメか?」
(いや、過去に出現した同種はレオ氏の格闘戦力の高さゆえに普通に倒されたらしい
身体的な意味で高い能力を持つものも多いが円盤生物最大の本領はやはり特殊能力による搦手だ、ここは正面から一気に格闘で沈めるぞ!)
「おう!」
一気に拳を握り込んだ左手を体の前に出し、右手は甲を下にして腰横へ
深く腰を落として重心を安定させ、格闘に専念するための構えを取る
光の国に伝わる宇宙拳法の一つの構えだ。
(レオ氏のようには行かないにせよ、私達も戦えるところを見せてやろう!)
ザインの意識に先導され、知らずのうちに宇宙拳法の型を振るう雄介
雄介の意識と同調し、自らの技能を発揮するザイン
肉体の動作は完璧、しかしどこか精神が噛み合わない、これでは万全な状態とはいえない。
「ギィイエエエッ!」
身に染み付いた動きが拳を振り抜かせ、飛び込むと同時に体重を込めた左バチカルを入れる
ブラックエンドの牙も角も炎もその脅威を発揮する隙を見せずに拳足が次々に振り抜かれるが、押してはいても押し切れない
それは雄介の心がザインのそれと一致していないからだ。
「くっ……!」
(焦ってはいけないぞ、雄介、初手からエネルギー技は極めて危険だ、まずは弱らせるためにとにかく格闘を仕掛ける!)
ごく稀にはこの法則が当てはまらないものもいるが、ほとんどの場合においては格闘戦を仕掛けてから光線技で締めることになる
これはなにもわざわざ時間をかけてプロレスをしているのではなく、単純に格闘は基本的に出しただけ得であり、逆に消費エネルギーの多いエネルギー技を初手に使って対策を返されたら致命的な状況を招くという戦況を考えた上での定石である
しかし、そんな事を言ったところで焦る若者には通じない。
拳の射程から離れたブラックエンドを追撃するべく跳び蹴りを仕掛けるザイン
しかし、ブラックエンドの吐いた火炎弾が直撃し、爆発が起こり衝撃で体勢を崩したその直後に尾が叩きつけられ、その勢いで地面に激突してしまった。
(くっ……まずいぞ雄介!一旦下がるんだ!)
(いや、ここで下がったらやられる!)
プロテクター越しの一撃であってもダメージを受けた状態で無理に格闘を続けるのは危険であると判断したザインも
遠距離攻撃持ちを相手に詰めた間合いを無駄に失うことこそリスクと捉える雄介も、どちらの意見も正しい
しかしザインの意識を優先した事で肉体は宙返りして50メートル以上を飛び下がる。
「今下がっては!」
(冷静になれ雄介!今の雄介は過剰な攻撃性に振り回されている!)
再び身構えるザインに対して火炎弾を吐きかけたブラックエンド
しかしザインの意識を全面に押し出した状態のザインには全く持って効果はなく
せっかくの火炎も受け流されて空の星になるばかり。
「ギィイエエエッ!」
だがブラックエンドとて最強、終末の名を冠する怪獣である
そんな醜態を晒すだけの愚か者では無い
力という一点においてはザインを上回る以上、ブラックエンドが取るべきは着実に攻撃を当てる策、ザインを撹乱するために後方の尾部分を伸ばして二方面から同時攻撃を仕掛けてくる。
「まずいッ!」(大丈夫だ!)
ザインはスラッガーを念力で回転させ、ヌンチャクのように振るって左右から迫る炎と尾を迎撃する
受け止めるのではなく受け流す形で衝突点を逸らして回避する。
「これ……俺要るのか?」
(もちろん必要だ、雄介がいなければ私は立っていることすらできないからな
やはり精神的なダメージがあるようだ
普段ならこの程度では動じる雄介では無いだろう?)
「なんの……!」
気色ばむ雄介を冷静に諌め、戦況を改善するべく距離を詰める。
(気に病む事ではない、誰とて親友と喧嘩別れでもすれば荒むこともある
ウルトラマンだってそうだ、それに老成した人格者も昔は若者だったのだから
無鉄砲を諌めこそすれ、咎めはしない)
「……そうか」
左手で火炎弾を弾き、右手で手刀を叩き込む、鋭い手刀が尾に生えた角を叩き折って気づく。
「(……)」
シンクロ精度が向上している
動きのキレが上がり、明らかに体の動きは滑らかだ
なるほど、どうも気が軽くなったらしい。
(行くぞ雄介、攻め時だ!)
「行くぞザイン!攻め時だ!」
二人の言葉が重なり、強く一歩踏み込む
ブラックエンドもまた突撃姿勢を取った。
ブラックエンド本体の双角が怪しく輝き、突進を開始したブラックエンド
しかし、ザインの方が一手速い。
両手に作られた赤青の光弾がスパークし、原始崩壊と対消滅によって質量の100%をフォトンへと転化したスペシウムがブラックエンドを消しとばした
今後の作品展開の方針は?
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ニュージェネ系統
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昭和兄弟系統
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ンネェクサァス(ねっとり)