「さっきまでそこでお菓子を配っていたはずなんですが……」
「逃げられた、という事ですか」
目撃情報を提供してくれたエージェントから情報を聞き出してみるが、やはり決定的な形で足取りを掴むことはできない。
(しかし妙だ、半身不随という話からすれば出歩くことすらままならないはずのその人物が、菓子を配り歩くだなんて)
(ああ、これは明らかに超常的な現象だろうな)
黙り込みながらザインと対話していると、視界にそれが映る。
「飴……」
見たところ市販品ではない、特殊な包装の飴が落ちていた。
「配る中で落とした、と言ったところか?」
別人が落としただけの全く関係のない品という可能性は捨てられないが、取り敢えず証拠品として確保し、慎重にケースへ収める。
「取り敢えず周辺を足で探すほかないな」
探偵ならコツも持っているのだろうが、あいにく雄介は大学生
だいそれたテクニックなど持ってはいない。
「地道にやるか」
雄介は聞き込み作業を開始した。
一旦撤収してBURKシルバーアローの中、後部には兵器や追加人員用のスペースがあるため、そちらに座っている
「さて、得られた情報を総合すると……」
(一つ、彼女は黒いドレス姿でお菓子を配っていた
一つ、配っていたのは間違いなく先ほど確保した飴
一つ、白い煙が上がった直後に姿を消した
一つ、彼女が飴を与えたのは子供だけ
このあたりか?)
(そうだな、この辺が重要な情報になってくるだろう
さっき用意した彼女の写真と聞き込みで得られた情報を総合すると、だいたい……こんな感じの格好になると思うが……)
手元のガジェットに
だが。
「これは……目立つだろう、明らかに」
それは明らかに衆目を集めるような華やかな姿であり、これで歩いているとすれば目撃情報など山のように出てくるであろうことは請け合いである
だというのに一般的な筋からは情報が入ってこず、エージェント達の捜査網を持ってしても1件確認されたのみ
ありえない。
(姿を隠している……?いや待てよ
最初から隠れてなどいないのではないか?)
雄介よりも先に、ザインは気づいた
そして。
(いかん雄介!すぐにさっきの場所へ向かうんだ!)
(わかった!)
シートベルトを外し、後部ドアを開けて走り出し、そして。
(やはり!)
アーケード街の入り口、彼女が飴を配っていたというあたりに辿り着くと同時に、ザインが叫んだ。
(異次元空間への回廊が開いた痕跡がある、ここから奴は別の空間へ移動していたんだ!
先ほどの粉は上位次元から空間を穿通する時に出た余剰次元体だったんだ!)
「そういうことか……」
木の板を錐で貫くように次元の壁を貫けば当然、押し出された次元閉鎖壁の破片が溢れ出る
その破片こそ、周囲に散っていた白い粉であり、消える姿を隠した煙だったのだ
(テレポーションだ、空間転移で次元閉鎖を突破するぞ!)
ザインと雄介の実体が描き消え、上位次元へと移動した事で閉鎖された次元回廊のその内側へと不法侵入。
「うわ……」
超空間の中には、無数の遊具や食器、測量器具に釣り竿、筆記用具に帳簿や眼鏡とまとまりのないものが乱雑に置かれていた。
(ここは一体……)
悪趣味な空間に辟易しながらも
雄介は着実に周囲を確認し、進んでいく。
(なんだこれは?乱雑なものばかりだな、管理清掃が行き届いていないのではないか?)
(そうみたいだな)
死角の多い場所ゆえに警戒を深めながら少しずつ異次元空間を突破する雄介
その背後から声が掛かる。
「大人が何故ここに?」「仕事だ」
素早く背後に向けられたBURKガンの威力設定は最大、
「でも効きません」
「インチキにも程があるわ」
毒吐きながら再び銃を構え、ビームが貫通したはずの体どころか服にすら傷ひとつないその姿を観察する。
「やっぱりそういう事か」
黒いドレスに三角帽子、オレンジのリボンが二条巻かれて、帽子と腰を鮮やかに彩る
白い長手袋と左手の鞄に剥き出しの大腿、申し訳程度のガーターベルトが黒レースのハイソックスへと繋がる分だけ隠されている
目立ちすぎる魔女の出立ちをした、八木夢乃がそこにいた。
今後の作品展開の方針は?
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ニュージェネ系統
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昭和兄弟系統
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ンネェクサァス(ねっとり)