ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

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エピソード15 マクシムス 4

「また怪獣出現です!今度は神奈川!?」

 

「はぁ?ちょっと待てよ流石に一日一回ペースはおかしいだろ!」

 

 ドローンカメラに映った巨大な鳥頭

そう、またパンドンだ。

 

「しかもまたこいつかよ!」

「クルセイダーズは急ぎ出撃、今度こそ現場を抑えるんだ!」

 

 あまりの煩わしさに頭を抱えた丈晴とそれを叱咤する弘原海

強い勢いに背を押され、駆け出していくクルセイダーズ

既に出撃準備は万端だ。

 

「緊急招集を発令、現場対応を急いで!」

 

 とはいえ、流石に三度目ともなれば現場も慣れてくる

これまでの観察によってこの怪獣の行動パターンはおおよそ読めてきていた

そう、近場の避難所やビル街など人の多い場所にはほとんど向かおうとせず、山林や港湾など人気のない場所にばかり出てきては謎の足踏みを繰り返し、ウルトラマンが出現すればそれに真っ先に向かっていく

まぁ周辺に被害が少ないことは良いことだが、これが周囲に気の緩みを誘発していた。

 


 

「またか……ザイン、行けるか」

(雄介、最近は連続変身が続いている、これ以上かさめばまた変身不能に陥るぞ)

 

「……やっぱり体が限界か……」

 

 深く息を吸って、痛む喉奥と脇腹を務めて無視する、そしてもう一度

光へと変わるために

己の胸へと短剣を突き刺した。

 

「ザイン・イグニッション」

 

傷ついた体に掛かる負荷が骨を軋ませ、肉を破断する

光へと変わるその時には全て、溶けて無くなっていくけれど

人へと戻ればまた、深く棘が突き刺さる。

 

「ジャッ!」

 


 

拳を突き上げて出現し、跳躍飛翔するザイン

時間は限られている

ただ地球上での活動限界が3分というだけではなく、雄介の体の限界が近い点を踏まえて慎重に戦わなくてはならない

可能な限りに損耗をおさえて戦うのだ。

 

「デヤァァッ!」

 

 消費エネルギーを削減するため、格闘も抑えて素早くスラッガーで戦うことを選択

着地前にスラッガーを投げて脳波コントロールし、弱点である首を狙いに行く

が、流石にそんな甘い狙いでは通らず、火炎放射で振り払われる。

 

「ヌゥン……デヤッ!」

 

 脳波コントロールしたスラッガーが急曲線を描いて旋回し、パンドンの背後へと回り込み、そちらからの攻撃を警戒したパンドンが後ろを向いたところで急接近し、飛び蹴りを叩き込んでスラッガーを回収

念力で空中停止したスラッガーへと回し蹴りを叩き込み、その勢いを受けて爆発的に急加速したスラッガーがパンドンの胴体を貫通する。

 

「ギュゥゥゥッ!」「クェァァァッ!」

 

 首の片方は悶絶するも、もう片方は痛痒も感じないと言わんばかりに奇声をあげて突撃して来た。

 

 


 

「ちょっとこれを見てください」

「なんだ?」

 

モニターに小さく映ったのは波型パターンのグラフ、咄嗟に何の表示グラフなのかわからずに困惑の声を上げる弘原海に、霧島が補足説明を行う。

 

「これは以前出現したパンドンの生体力場のエネルギーパターンです、

それと2番目がこれで、今出現した3番目の波形はまだ解析中ですがおそらくこうなると思います」

 

「全部同じじゃないか!ふざけているのか!?」

「いや本当に同じなんです、通常双子どころかクローンですら有り得ない精度で完全に一致している、これはつまりですね、この2体、あるいは3体は完全に同一の個体であることを表しているんです」

 

 並べられたグラフのあまりの一致度に激声をあげかけた弘原海の頭は湧水よりも冷たい情報で冷やされた。

 

「つまり奴は」「はい、完全に爆砕しても1日で復活できるクラスⅣの再生能力(リジェネ)を備えているということです」

 

「何ということだ……」

 

 再生能力の極みであるクラスⅤの分子レベルの再集合による復活にまでは届いていないとはいえ、破壊規模が細胞レベルでは再集合して復活するという段階

完全に破壊しても復活するならば、細胞一つ残さずに分解・消滅させるしかない。

 

「ケルベロスの地獄の炎(カノ・エッド)猟犬(ハント)も完全破壊にはスペックが足りません

神虎(シェンフー)ミサイルもおそらく上半身を吹き飛ばす程度です」

 

「ではどうする、アメリカ本部の協力をもってしても細胞以下の単位にヤツを分解することは困難だぞ」

 

凍結性(フリーザー)の武装であれば細胞以下の単位で凍結することは可能だろうが、現在は移送中であるため、時間は掛かる

しかしクルセイダーズでもディザスター級兵器を受領してすぐに取って返すことは出来ないし、したとしても間に合わない

勿論日本支部にフリーザー系の強力な武装は配備していない。

 

「はい、現状ではやはり凍結武装の受領を急ぐほかないかと」

 

「やはり……結局は外野任せか……」

 

 拳を握ることすらできない立場

弘原海には慣れた事であった。

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)

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