「で、繰上げで退職ってこと?」
「あぁ、結局有彩も逮捕されちゃったし、教える事も無いからな」
BURK日本支部併設の病院、変身解除後の肉体負荷で死にかけていた雄介はビル崩落に巻き込まれた他隊員と同様そこ
に回収されて命を拾っていた。
「……コーヒー飲む?」
「無理、刺激の強い飲料はダメなんだと」
「そっか、じゃああたしが飲みたいから買ってくる」
「これ見よがしに飲むのはやめてくれよな」
明がベッドの横から離れると同時に雄介は枕に倒れ込み、そのまま深呼吸を繰り返す。
「……はぁ……クッソ……」
(生きているだけで幸運と考えるべきだな、雄介の肉体負荷は実に深刻だった
1ヶ月は諦めた方が良いだろう)
(そういうもんかね)
コーヒーすら飲めない生活を一月というのは長いが、連続変身の代償といえば短い程度だろう。
「大学どうするつもりなのかな、あれ
小鳥と一緒にダブるの?」
病室を離れて廊下に設置されていた自販機で缶コーヒー……ではなくカフェオレを購入した明がボヤく
流石に留年にまでは付き合っていられないが、数少ない友人たちを取り残したくはない
ただでさえ二度と会えない友人も多いのだから。
「全く……バカどもめ」
カフェオレを開けて一口。
「あっつ!?」
どうやらここにもバカはいたようだ。
「……あぁ厄介だなぁ……」
警察の家宅捜索で荒らされ切った有紗の部屋、インテリアから花瓶から無数のファイル、さまざまな書類、本や古い人形、そこにあったはずの品々はみな押収され姿を消し、来年あたりには捨てられて
そして二度と帰ってはこないだろう。
「入院なんてされちゃったら看病できないし」
林檎を剥きながら笑う。
「おかゆかな、うどんかな…やっぱりリゾットとかかな?でも味わかんないよね」
剥き切った林檎を8等分にして、その一つを口にした彼女は
残りを全て放り捨てる。
「食え」
彼女の命令と同時に地面に落ちる林檎たちは、そのまま影の中へと沈んでいく
いくつかの星の住民たちが可能とする
「ゆーくんにもあげたかったけどね」
彼女の能力を以ってしても流石に病院に侵入することは難しい、できないわけではないが危険は伴うだろう。
「来い」
未だバリアに阻まれたままの彼女のしもべを呼び、そしてうなだれた。
「まだかぁ……」
「まぁ取り敢えずしばらくは放置かな」
「しかし、結構見舞来ますね、彼」
「そうね」
霧島が書類整理をしながら横の駒門へ話しかけるが、返事は渋い。
「あんまり交友関係広いわけじゃないそうですけど、なんででしょう
今日だけで2件目だそうですよ」
「まぁ、人徳でしょう
あなたもそのくらい見舞いが来ると良いけれど」
「よしてくださいよ、俺の友達なんてもうみんな死んじまいましたって」
軽く笑ってお互いに話を流し、また仕事に戻る。
「……生命エネルギー反応増大?……いや消えた」
霧島の見つめるレーダーの反応が一瞬だけ大きく上昇したものの、すぐに消えてしまった
レーダーのブレや誤認はよくあるが、逆に宇宙人などになる干渉で反応が一瞬しか残らなかったという疑いがあるため、基準値を一瞬でも超えた場合は警戒する必要がある
霧島はすぐに緊急回線を開いた。
「緊急報告、緊急報告
生命エネルギー感知レーダーに反応あるも消失を確認」
〈了解、疑い晴れるまで第二種警戒体制、レーダー監視待機を厳とし待機せよ〉
「了解」
3日に一度はあるような事務的な報告と同じ程度には事務的な返事
端的でかつわかりやすく具体的な指示だ。
「今日はなんですかねぇ……」
机に貯まった書類を片付けながら聴覚にも気を配る
今回のパンドン事件では重傷者も複数出た上、地区の道路や建物にも被害が出てしまった
いくら時間がない中で急場凌ぎの作戦だったとはいえ前提から破綻してしまえば仕方ないの一言では済まされないため、また締め付けが厳しくなるかもしれない。
おまけ
本作では『ウルトラマンの体表色はエネルギー量で決まる説』を採用しています
これはエネルギーが少ない方から
黒→青→銀→赤→金の五段推移で順に増えていくという説です。
この説には体表のエネルギー量が高ければ格闘戦向きのレッド族、逆なら頭脳戦向きのブルー族、平等に流れていればマルチ対応なシルバー族
そしてエネルギーが充溢している時はグリッター(金色)と、ある程度種族ごとの能力性質に説明がつけられる利点があります。
今後の作品展開の方針は?
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ニュージェネ系統
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昭和兄弟系統
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ンネェクサァス(ねっとり)