「あのサーペント、やられちゃったんだぁ……馬鹿な奴、水なんてどこにでもあるでしょうに」
他人のことなど知りもしない癖にその無様を嘲笑う、その女の姿はいつものコート。
「ゆーくんの退院はいつかな〜……」
ゆっくりと足を動かして、夜の街を歩く
眩しいネオンと刺激的なイラスト、そして漂う退廃の匂い。
「こういうのも良いかも……いややめとこ」
女は蠢く影と共に、陰の中へと消えた。
「私達のいないうちに問題があったと聞きましたが、問題は無さそうですね」
翌朝、超音速でワシントン出張から帰ってきた駒門の言葉に弘原海が手を振る。
「いや今回は運が良かった、たまたま病院にいた椎名隊員の足止めが無かったら何をされていたかわからなかっただろう」
そう、いくらレーダーで微弱な反応しかないからと見過ごしていたら大惨事が起きていただろう今回の事件、基地周辺まで侵入してきたサーペント星人の手腕が凄まじいだけなのか、それともそのくらいの水準が一般的なのかは不明だが、二度と再発させてはならないものだ。
「そうですねぇ、常人と大差ない身体能力しかもたない星人だってわかってたならともかく、フィジカルの強い連中だったらそのまま彼も今頃、殴り殺されてるかもしれませんし」
「やめてくれ縁起でもない」
霧島も物騒なことを言い始め、弘原海はその制止のために話を打ち切った。
「はぁ……」
雄介もベッドで寝ながらクロスワードに飽きて、軽くイメージトレーニングをしていたのだが、ザインの修めた拳である妙妖拳系 赤心貫鉄拳とは相性が良く無いようで、見様見真似以上の出来にはならなかった。
(私はこれ一本でやっているが、もしかしたら雄介は形象拳系の方が合っているのかもしれないな)
(だと良いけどな)
実際にはそもそも宇宙拳法自体が地球の人間を想定していない拳法であるため、あまり向いていないという可能性もありうるだろう。
(さあ雄介、昼食の時間だぞ)
(ハムでも良いから肉食いたい)
雄介は実際に入院するまで無いものと思っていたが、肉も蛋白質確保のために多少は献立に出る
ただ油の多い調理法などは基本的に運動量が少なく、油脂が蓄積しやすい入院患者などには向かないために煮込みなどが多く、また味も薄いことが多いというだけだ。
(思ったよりは不味く無かったけど、やっぱ味薄いんだよなぁ……)
(現代の地球人は濃い味に慣れているというだけだろう?大人しく自然派になるべきだな)
ザインは塩分管理には厳しかった。
(健全な肉体にこそ、力はふさわしい
病み傷む者に力を与えてはいけないんだ)
(思想論か?たしかに狂人に銃ほど危険な組み合わせはないだろうけど)
(そういう意味では無いのだが、な)
「あ、ちょっと待って凱君、これ永田課長に持っていってくれない?」
「わかりました」
「伊狩、届け物頼めるか」
「あっはい」
「ごめんちょっと手伝ってくれっ!」
「どうしたお前」
「伊狩君、私、こういう時どんな顔したら良いかわからないの」
「笑えば良いと思いますよ」
境商事の新人、伊狩凱は忙しかった
アホらしい量と種類の書類を集めては確認して部長に出し、最近無能上役が何か考え出してそのまま丸投げされた加湿器の清掃と補給を済ませて判子がどこにいったか分からんと言い出す先輩に場所を思い出させ
友人が百円落とした側溝の蓋を開けてついでに掃除もして自分もそれはそれで書類を書く
気付けば予定の3倍近い時間を無駄に費やしていたせいで昼休憩時間に出遅れ
社食で長々と待ってくれていた藤井課長には真面目な声で映画のような台詞を言われてしまった。
「あークソ、仕事マジでクソ
やってらんね……飛行機とか落ちてこないかな……」
窓の外を眺めながら黄昏ているとお局様が凱を呼びつけてガミガミと説教を始めるが
真面目に聞かない方が良いというアドバイスに従って脳内に音楽を流してやり過ごす
今日はは特に忙しい上にストレスも溜まる、たまにあるそんな日だった。
「は?」
そう、その時までは。
今後の作品展開の方針は?
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ニュージェネ系統
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昭和兄弟系統
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ンネェクサァス(ねっとり)