ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

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エピロード3 蒼き空ある星へ 1

 ゼットン出現事件から1週間が経過し、復興は完了した

幸い被害一部地域の家屋損壊程度であったため、4日目ほどになるとほぼ回復しきっていたが、やはり家屋の再建や電柱の再設置などの細やかな仕事には時間がかかるものだ。

 

そして、社会も会社も平常運転へ。

 

「おいウメコ!アタシのカバン落とすなよ!」

 

 学校もまた、そしてイジメもまた

いつも通りの平常運転。

 

「よく見たら髪汚ったな!」「なに一丁前にヘアピンとか付けてんの草っ」

 

 積極的に攻撃してくるもの

いつも通りに傍観するもの、イジメられる弱者を嘲笑うもの、そして不干渉を貫く教師

 

「宿題よろしく〜♪」

「あ、でも」「アタシら友達じゃん?友達の宿題くらい手伝ってくれるのが普通でしょ」

 

「じゃあ私もよろで」「バレるから丸写しすんなよ」

 

不都合を押し付けるもの、金をせびるもの

どこにでも居て、誰もが私を傷つける。

 

 

「学校は社会に出る前にその在り方を学ぶ場所です」

 

「学校は勉強する場所です」

 

「学校は青春を過ごす場所だ!」

 

 教師たちはイジメを知っていながら無視し、容認し、あるいは気付きもしない

そんなものが社会だというのなら

いっそこんな社会なんて。

 

「滅んでしまえばいいのに」

 

 

「良いね、君、ありふれた闇だけど、それなりの量はちゃんとある」

 

 彼女の背後から、闇が微笑む。

 

 

「ウルトラウム、シンクロナイズ」

 

 人の精神から解き放たれた闇が溢れ出し、形を変えてエネルギーへ

天空へと伸び上がる闇の柱が降り臨む者の道標

 

 邪悪な力に触発されて解放された精神波が現実へと干渉し世界を書き換える七色の干渉紋が浮かび上がり、そしてそのエネルギーに同調する怪獣が召喚される。

 

 

「今度はディノゾールか、今回もまた見込み通り良いのが出たねぇ」

 

 

「キシュアアア!」

 

宇宙斬鉄怪獣ディノゾール 飛来

 


 

「高エネルギー反応を検知!場所はT-185、東京都足立区上空です!」

 

「なにぃ!?」

 

 突如として湧いてきたその反応に驚くよりも早くレーダーの画面をスクリーンに表示

近すぎるせいで全身は見えないが

紺青色の巨体に赤橙色の発光、それをみた青年、霧島が叫ぶ。

 

「ドキュメントGUY!ディノゾールです!」

「なんやて?!」

 

「怪獣警報を発令する、霧島!奴の特性と攻撃範囲は!」

「危険等級3、ディノゾールはあまり積極的に攻撃を行う怪獣ではありませんが、遠距離まで舌を伸ばしてそこら中の物質を切り裂いてしまうんです!舌による斬撃の射程距離は何キロメートルもあります!

至急半径100キロ圏内の市民を避難させてください!」

 

「避難命令を出します、現場を押さえてください!」

霧島の言葉に応じた駒門が電話をかけ始め

 

「BURKクルセイダー出撃!怪獣を撃滅せよ!」

 

 弘原海の指令が掛かり、慌ただしく基地から出撃していくクルセイダーズ

しかし、真空の宇宙空間から水素を掻き集めて吸収するための捕獲器官、断層スクープテイザーは伊達ではない

尋常ならざる延伸によって周囲を薙ぎ払い、コンクリート製のビルを両断するほどの鋭さを見せつける。

 

「なんだありゃあ!見えない剣か何かか?」

「レーザービームと言われた方が納得できそうですね!」

 

 何もしていないディノゾールの目の前にあったビルの二階から上が()()()と滑り落ちる

恐ろしいほどに鋭利に切り裂かれた袈裟斬りの軌跡を、目視どころかカメラですら記録できていなかったのだ。

 

空の雲も地上の霞も等しく切り裂く万物切断(エクスカリバー)、それがディノゾールの保有能力。

 

《各自散会!多方向から一斉攻撃を仕掛けるっ!》

《了解っ!》

 

 4機のクルセイダーがそれぞれ別の軌道を描いて飛翔し、ハードポイントに備え付けられている各々採択した武装で攻撃を開始する

しかし、融合ハイドロプルパルサー

酸水素爆鳴気の塊を超高速で放出する遠距離攻撃が発射され、ミサイルは全て、ビームの半分以上が撃ち落とされてしまった。

 

 なぜ重粒子加速ビームが爆発で撃ち落とせるのかは分からないが、とにかく凄まじい防空能力を発揮しているディノゾールに効果は出なかったという事実だけを認識する。

 

「キシャァアアアア!」

 

「うわぁぁあ!」

 

不可視の斬撃によって翼を両断された不幸な機体が墜落し、不時着した

 

 

「シルバーシャーク使用許可、地上目標のため誤射に注意せよ」

《了解!》

 

「シルバーシャーク!コンダクト」

 

 基地の地下シャッターが開き、迫り上がって砲台が出現、発射準備を完了する。

 

「リフレクター展開します!」

 

 水平から仰角しか取れないシルバーシャーク砲の構造で地上目標を狙う為に、一旦別の場所に弾を当てて反射させる曲撃ちを行うためのリフレクターが展開される。

 

《照準誘導を行う!》

 

 現場ではスクープテイザーの軌道を勘で躱しながら攻撃を続けるクルセイダーから照準レーザーが放たれ、目標へとシルバーシャークの照準を定める。

 

「喰らえシルバーシャーク……発射っ!」

 

 紅のビーム弾は上空へと飛び上がり、人工衛星の展開したリフレクターに反射して地上へ

そしてビームがディノゾールの頭上から直撃した。

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)

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