ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

61 / 109
エピソード17 白雲白霞 8

「融塩炉発電開始しました!」

「あれは……っ!」

「送電システム起動、電気回線再起動します

過電圧に注意してください!」

 

「送電再開まで3.2.1.来ますッ!」

 

「ネットワーク再オンライン、インフィニティネット接続完了」

「無人シルバーシャーク砲台再起動しました!」

〈こっちもデッキ再起動を確認した〉

〈こちらロッジ、シャッターオープン〉

〈こちら陸戦隊、ヒーターを付けてもいいか?〉

〈後にしろ〉

〈こちらサーチャー、送電再開を確認した〉

 

 太陽炉により大量の電気が無線送電され、各機器が緊急再起動し、それと同時に。

 

「あ、時空振動!?」

 

 モニター左下に小さく表示されていた時空連続体のモデルが歪み、それを警告した

その直後、空間が音もなくガラスのように砕けて穴が開き

その中から飛び出してきたのはウルトラマン。

 

「!前とは格好が違う!」

「ウルトラマンだ!」「あれは…氷?」

 

 ザインの体を覆う氷の鎧に気づいたスティンガーズの面々をよそに地響きを上げて着地したザインは氷の剣を召喚した。

 

「総員撤退だ!シルバーフラグズ、ブレイカーズは総員撤退、地上部隊も退却しろ

これ以上は彼の足を引くだけだ!」

 

 素早く判断を下した司令の怒鳴り声に反応した戦闘機といくらかの陸上機が基地方面へと撤退してくる

氷の鎧を纏ったザインと、アメリカのガンダーが相対した。

 

「ディァァッ!」

「ピギシャーーッ!」

 

 いつも通りのウルトラ発音とくぐもった声とがぶつかり合う

そして、ガンダーは空中へと飛び上がり、凍結攻撃を連発してくる。

 

「デュァッ!」

 

 飛行したザインの体を覆うほどの直径を持った氷の柱が形成され、槍のように飛来する

が、ザインの氷の武装の前には通じない。

 

「デュゥゥーアッ!」

 

 左手に握られた氷の剣が盾として砕け散り、その破片達が周囲の雪を吸い上げて花のように咲き

空に浮かんだ無数の氷華がガンダーの凍結光線を妨害していく。

 

「ジャッ!」

 

 ザインの両手に蒼白と薄紅のスペシウムエネルギーが収束し、それぞれに結ばれザインの必殺攻撃ザイナスフィアが放たれた

2本の白い飛跡を描きながら飛ぶ光弾がガンダーを追尾する中、ガンダーは縦横無尽に雪空を飛び回ってそれらを振り回し、氷結晶の矢を背後へと乱射して相殺してみせる。

 

「やっぱり強い……!」

(ああ、だが二番目ほどではない

速度も体力も、回復力もな)

 

 ザインが見据えるその先、ガンダーの左羽に突き刺さったままになっている、なんらかの機体の装甲片

それが剥落もせず、氷に覆われてもいないところからして、3体目の回復能力はそれほどではないようだ。

 

(ギランボの次元回廊、グローリアスの氷結エネルギー、私たち以外にも

地球人でなくとも、この星を守るために力を貸してくれる者は居る

それらの全てを背負って戦うのだ

この程度の輩に、負ける気はしないッ!)

 

 氷のエネルギーを宿したスペシウムソードが伸長し、青白く輝く

スペシウムが氷の中に閉じ込められ、低温かつ高圧の条件が揃ったことで純スペシウム結晶として析出しているのだ

 

(いくぞ雄介!気合を入れろッ!)

「応ッ!」

 

ブリザードスペシウムソード

 

 巨大に展開した光の結晶剣を構えたザインが突撃し、念力による加速と自身の飛行能力を重ねて超加速

ガンダーの凍結光線を鎧で受けながら突撃し、そのまま巨大な羽ごと横薙ぎに両断した。

 

「デュァッ!」

 

 凍結光線を防ぎ切った鎧が砕け散り、スペシウム結晶も空気に溶けて消える

普段と同じ姿に戻ったザインは

空へと飛び去っていった。

 

 


 

「ありがとう、ウルトラマン……」

 

 BURKアメリカ本部、全電源復活まであと2時間

怪獣による異常寒波と吹雪が消え去り、わずかだが日光が差してくる

それは紛れもなく、彼らの掴んだ希望の光だった。

 

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。