「敵は思っていた以上に強力なようだ、強力な怪獣を持たない我々は奴らとは違う戦術を取らねばならない」
「しかしあのケルビムは非常に未熟な個体だった、成熟したケルビムならば結果は違うのではないか?」
「成熟したマザー個体すら撃破された、敵を侮るべきではない、まずは作戦を考えるべきだ」
「仮に見せた戦力に倍する力を有していたとしても完全体に至ったゼットンならば撃破可能と判断する」
「推測にすぎない、完全体ゼットンを用意するのにどれほどの時間と育成コストが掛かるかを考えれば有効であっても使用不可能なことは自明だろう」
影達の会話は続く。
「『彼女』による怪獣召喚はランダム性が高く、狙った怪獣を呼ぶことはできない
事前に用意されたケルビムは倒された、これは彼女を討つ機会でもある」
「彼女は非常に強力であり、我らよりも高度な戦闘能力を有する、行うべきではない」
「しかしこれまでの我らに対する扱いはもはや目に余るものである、我らを侮る彼女ならば一撃で暗殺する事は可能だ」
「彼女の肉体強度は我らのそれを上回る、故に一撃で『終了』可能かは疑問が残る」
「生き延びれば我らが滅ぶ、殺さねばならない」
「このまま使い潰されるばかりにはなれない」
「しかし慎重を期さねばならない、我らの力は僅かであり、我らはこの星では影の中でなくば存在を維持できない
我らは星の加護を持たぬ故に」
「我らは死してはならない、我らは誇り高き影の一族の生き残りである
たとえ影より暗き闇に屈しても、種の繁栄を取り戻すために無駄死にをしてはならない」
言葉は重なり、うねりとなってただ響く。
「我らが動かざれば捨て石とされるは必定、然らば彼女を討たねばならぬのも、また必定
我らは動かねばならぬか」
「我らの巨躯は動かせない、故に考えねばならない」
「肉体なき者にこそ、打てる手もあるというもの、まずは私が行きましょうぞ」
群れる影の中から、一つが抜け出て姿を消した。
「影より出でまし同胞のために」
「なんだよもー!未熟児ちゃんなんて保育器にでも入れてろー!」
ビルの屋上で、最強の手駒をむざむざと使い捨てさせられた女が叫ぶ
子ケルビムが自ら卵殻を破壊した時は戦力個体かと注視したものの、完全な身体形成すらしていないような未熟な個体、放っておいても死ぬような状態の輩が出てきたせいだ
彼女の落胆著しい表情は昼日中の陽光に照らされていた。
「まったく……もう、随分経ってるってのに、アイギスは砕けないしザインも倒せない、
ぐしゃり、コンクリートを叩き潰してビルの屋上の一角を削る
もちろん大音を立てるような無様なやり方ではない、彼女は力任せな野蛮人とは違うのだ。
「最後の
隙間抜けて来るだけでドヤ顔するバルタンなんかじゃ役に立たないんだよ!」
自分を棚に上げて騒ぐ女
事前に用意されていた最大の駒を使わされた挙句に十分な成果は出せず
新たな要素を併せてもせいぜいちょっとした嫌がらせや戦力分散程度にすぎない
彼女の想定通りならマザーケルビムの体格を利用してバリアを突破して、流星群ごともっと多くのケルビムが成体で降下してきているはずだったのだが、そういった個体はほとんど全部スペーシーの外殻防衛線で撃ち落とされてしまったようで、有効な戦力個体は降下から三日経っても出現していないというのが現状であった。
「あーもー!」
極度のストレス故か頭を掻く彼女の
深く傷ついた心に働きかけ、その心の発する感情を中核として、その精神波と同調する怪獣を召喚する
それと同時に人類の『心の力』によって支えられている
宇宙中のどこかに共振し、同調する存在さえあればそれを必ず呼び寄せることができる強力な召喚能力であり、そして楯の力を削ることに最も向いた能力でもあった。
「まぁたしかにバリアの破壊なら……私が一番向いてるんだろうけど……
だからって一人に任せる事じゃ無いでしょ……」
今後の作品展開の方針は?
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ニュージェネ系統
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昭和兄弟系統
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ンネェクサァス(ねっとり)