ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

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エピソード22 襲来 1

「また出現しました!エリアI-29です!」

〈私が急行する!クルセイダーよりシーホースの方が早い、敵の戦闘能力を鑑み、各機は帰投待機されたし〉

 

〈クルセイダー1了解〉

〈クルセイダー2了解です〉

〈クルセイダー3了解〉

 

 他機を基地に帰らせた明は隊列を離れて北を目指す、エリアI-29の地図上のグリッドをチラ見して方向を時折修正しながら突き進んでいくと、突如飛来した火炎弾。

 

「ッ!」

 

 鋭く息を吸い込む音と共に操縦桿を大きく引いて急上昇、斜めに機体を倒して旋回し、敵を視界にとらえた。

 

「来た!」

 

 連射速度はそう高くないようで、飛んでくる火球は単発かつまばら

追尾などもしないようだ、この程度ならば余裕で回避できる。

 

「またこいつか」「ケルビムな」

(いや、この個体は比較的成熟しているようだ、体格が大きいし足もあるぞ)

 

「一応警戒は強めてくれ」

 

 後ろの席でレーダー監視を続けながら市街地に出現したケルビムを睨みつける雄介

ビルが多く、場所が悪いせいで大きく動き回りながら連続攻撃を加え続ける基本の戦闘スタイルが取れないことが悔やまれるが、その程度の制約なら問題はない。

 

「行けるね、問題なし!」

 

 90°ターンして再びの火球を回避した明の目には明らかな余裕が浮かんでいた。

 

「ミサイル使うよ!」「了解」

 

 軌道を戻して再コンタクトと同時にミサイルを射出したシーホース

飛翔したミサイルは特に妨害もされずに真っ直ぐ飛んでケルビムに着弾、派手な爆炎を噴き上げる。

 

「着弾!確認して!」

「了解!」

 

 煙の向こうから飛んでくる火炎弾、やはり成熟個体は桁が違うか

生体装甲でミサイルを防ぎ切り、そのまま目眩しに利用して反撃してきたのだ

しかし悲しいかな盲撃ちとなったそれは大きく目標をそれて空へ飛んでいき、逆に発光から位置を割り出す標となってしまった。

 

「回避」

「甘いっ!」

 

 鋭い叱声と共に急降下し、アスファルトを削るような超低空から再浮上

今度は下半身を狙ったビームを打ち当て、再び上昇してビルの影を離れる

その瞬間だった。

 

「ッ!」

 

 尋常ならざる表情を見せた明が全身を大きく動かし、操縦桿を全力で捻る

当然それに追従した機体も大きく揺れて傾きながら軌道を変更し、ビルの上を横切りながら縦回転する。

 

「うぉぉぉ!?」

「新手!」

 


 

 一方その頃、基地に搭載されたレーダーを監視していた霧島が突如として出現した新たな反応を捉えていた。

 

「ポイントN-1に新たな反応、異常な高速で南西に移動しています!出現地点からしておそらくこれは

タイプ鳥類型(バーディア)、グエバッサーです!」

「休眠中の個体か……!帰投中のクルセイダーはそっちに回せ!位置的におそらくケルビムのエネルギーに引き寄せられている、海馬(シーホース)が挟撃されるぞ!

 

「はい!」

 

 そして、こういう時

主戦力となる空戦部隊が出払った時というのは大抵良くないことが起こる

その空気をなんとなく察していた弘原海と駒門は二人してアイコンタクトを取り

お互いの仕事を分掌する

即ち陸戦隊による基地周辺の防衛と空戦隊への指揮だ、今回は弘原海が前者を、駒門が後者をそれぞれ行い統制ある防御を展開した。

 

 そして予測した通りに、それは出現した。

 


 

「ギィィィィッ!」

 

 有翼怪獣アリゲラ 宇宙より出現。

 


 

「さらに反応出現!種別は分類不能(アンノウン)、レジストコードアリゲラです!この軌道……基地に突っ込んできます!」

「出動するわよ、陸戦隊の準備はいいわね、電磁バリアを展開する、部隊出動急いで」

 

 比良泉と霧島の二人体制でオペレーションを行い、それぞれが陸空を担当する

戦況は複雑だ、まずエリアI-29地区にケルビム、交戦中のシーホース

そこに後発で出現したグエバッサーが接近し、クルセイダーが帰投コースから取って返した

そしてちょうどそのタイミングでアリゲラが基地付近に出現し、接触する

現状展開されているのは空戦部隊(クルセイダーズ)が戦うエリアIと基地周辺の防衛の二面作戦である

 


 

「まずい、散開挟撃か……ふっ!ちょっとキツいの行くから、耐えて

私も……我慢するからっ!」

 

 ぐっと速度を落として緩急差で爆風を躱し、そのまま乱れた気流の中を抜けて再加速し、ケルビムへと突撃するシーホース。

 

「ああぁぁぁぁあッ!」

「ぐぅぅぁ……」

 

肺から空気を搾り出される痛みを我慢しながら超軌道で突撃したシーホースが敵正面のベストポジションへ到達したと同時に残るミサイルを射出し、ビーム砲の出力をマキシマムにして発射

発揮可能な全火力を顔面に集中させる。

 

「グギャァァァッ!」

 

「やっぱ効かないか!」

 

 悲鳴こそ上がるものの、それは顔面右ストレート直撃くらいの感覚に過ぎず、戦闘不能に繋がるダメージではないことは明らかだ。

 

「雄介、ベイルアウトしな!

この戦い、勝てない!」

 

 そう、発揮可能な全火力を出して敵の殲滅ができないのなら、この戦いに勝利はない

ならば戦闘目的を敵の誘導に切り替えるのが正しく、そのための連続回避や牽制には人外の機動を繰り返す必要がある

特殊対G訓練を受けたエースパイロットならともかく、雄介には耐え難い負荷を強いることになるのだ。

 

「くっ……ベイルアウト!」

 

 後部オペ席から雄介が脱出し、それと同時に暴風に吹き飛ばされる

時速100キロを超える超高速の暴風、グエバッサーの遠距離風撃だ。

 

「うぉおあああぁぁぁっ!」

「雄介っ!?きゃぁぁっ!」

 

 上空に射出されながら吹き飛ばされた雄介と、機体ごと風に煽られて姿勢制御に気を取られる明

明は完全に雄介を見失い、雄介は暴風が直撃した影響で意識を失った。

 

「デェアッ!」

 

 雄介の意識が失われたことでザインが肉体を動かして変身し、巨大化して着地

直撃コースで飛来したケルビムの火炎弾からシーホースを庇う。

 

「ヌゥン……ディアッ!」

 

 ケルビムに向き直ったザインが大きく腕を振るい、続け様に飛来する火炎を振り払って、もはや誰もが見慣れた宇宙拳法赤心貫徹拳の構えを取った。

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)
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