ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

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エピソード22 襲来 2

(一旦グエバッサーは無視してケルビムに攻撃を集中するか……あぁ、クルセイダーもこっちへ来ているようだ、ならばシーホースとクルセイダーにグエバッサーを足止めしてもらってこちらはケルビムをできる限り早く倒し、取って返す方がいいだろう)

 

「ディアッ!!」

「ギシャァァァッ!」

 

 短剣のようなツノと鉤爪を振り翳して近接戦闘(インファイト)を挑んでくるケルビムに迫り、拳と蹴りを振り抜いてツノをへし折らんとするザイン

しかしケルビムも伊達に智天使の名を冠しはしない、彼らはベムスターと同じ、うまくやれば星系全てを殲滅しうる大怪獣なのだ

今さっき生まれた程度の個体にそこまでの実力はないにせよ、時間をかけた成熟を許せば1人のウルトラマン程度では手に負えなくなってしまう可能性は十分にある。

 

「ディ……デュゥァアッ!」

 

 左手で鉤爪を受け止め、ゼロ距離発射される火炎弾を首だけで躱し、逆にザインスラッガーでツノを切断し、落ちたそのツノを握って突き刺し、ケルビムの左腕を貫いた。

 

「デェィッ!」「ギシャァッ!」

 

 絶叫を上げるケルビムに対して冷静に追撃を仕掛けるザイン、スペシウムエネルギーをスラッガーに充填し、両手を押し込んで体制を崩させ、そのままスペシウムソードで幹竹割して両断した。

 

「グギャァァァッ!」

 

 爆散したケルビムに背を向けて飛び上がったザインはそのまま空中戦に移行する

雄介の意識がない今は制御能力不足のため、スペシウムか電気かどちらかを選ばなくてはならない、ザインはスペシウムソードを破棄して電気エネルギーを全身に回して加速し

遥か東北へと向かった。

 


 

「エリアI反応消失!ケルビム撃破しました!」

「よくやった!聞こえたなクルセイダーズ!呑狼隊員に続け!」

 

〈了解!〉

 

 日本基地作戦司令室空戦隊指揮所に臨時設定された作戦室の右側で弘原海が檄を飛ばすなかで、左側の陸戦隊指揮所では駒門が沈黙を噛み潰していた。

 

「状況報告せぇ!おい聞こえとんのか!?」

〈ザッ……ザァ……!隊長!……ない……!〉

 

 アリゲラの空襲攻撃を受けた日本基地は電磁バリアによるエネルギー装甲を展開し

アリゲラの突撃を弾き返すことこそできたものの、謎の通信障害によって陸戦隊の十八式戦車に搭載された旧式の無線は使えなくなってしまった

これでは指揮の意味がない。

 

「ダメです、依然、九重陸戦隊長につながりません!」

「諦めるな!何度でも繰り返して!

クルセイダーには繋がっているんだから無線が通じない訳がない、ならば何らかの妨害を受けていると考えるべき、原因を特定しなければならないわ!」

 

「しかしこの有様では!」

「直接指揮しかない……陣頭に出る!」

 

 陸戦隊の指揮のため基地外へ出ようとする駒門、しかし。

 

「これは……!?」

 

 普段の強化リノリウムタイルの床などどこにも見えない、一面の黒

生けられていた花すら無くなっているその状況を見て、即座に例を類推する駒門。

 

「どう見てもロクな状態じゃないわね……」

 

 触れたら即死、テレポート、拉致誘拐、拘束、さまざまな可能性があるだろうその黒化した床に、胸ポケットから抜いたボールペンを投げ捨てると

常ならば鳴るカツンという音すらせずに沈んで消えていく。

 

「……」

 

 彼女は司令室へと取って返した。

 


 

「周囲の風速は90メートル以上、飛んでいるのがやっとですよ!」

「クソッ!こんなに風が強いなら実体武装よりビームで来るんだった!」

 

 グエバッサーは遥か上空を飛び回りながら旋回と遠距離攻撃を繰り返し行い、まずは獲物を弱らせようとしていた

鉄翼の鳥に疲労などという概念はないが、それにしても手出しができない

ここ最近特に物理攻撃の機会が多かっただけにハードポイントは全機実弾武装であり、標準装備のビーム砲は機首のそれのみ

細く低出力なビームでは荒れる大気内の分子との衝突で減衰してしまいまともな攻撃力を維持できないのだ。

 

「かくなる上はぁ……っ!」

 

 最後の手段である特攻を試みることすら視野に入れ始めたクルセイダー達の目に映る、希望の光

ウルトラマンが飛来したのだ。

 

「デヤァァッ!!」

 

 見事な飛び蹴りを披露したザインによって翼が止まり、それによって生まれていた風も止まる。

 

「いよっしゃぁぁ!」

「ガトリング使いますッ!」

「接近するぞ!」

 

 手詰まりとも言える状況から一気に進展した戦況、有利を決定付けるべく

彼らはグエバッサーに全火力を集中した。

 


 

「デヤァッ!」

 

 クルセイダーズが空中からグエバッサーを叩き落とし、そのまま山際に墜落させるとザインはマウントポジションをとってひたすら殴り付ける

鳥型のグエバッサーは飛翔に特化した体型の関係上、地面に叩きつけられればその能力の大半を使用不能になるため、一方的な攻撃が可能なのだ。

 

「ディッ!ディッ!ディアッ!」

「ギピィィィィッ!」

 

 苦し紛れに羽を爆発させるグエバッサーだが、十分な威力は出ない

そもそもその羽は遠距離から無数に直撃させてこそ真価を発揮する武装であり、牽制程度の火力に過ぎないものなのだ

完全にマウントを取られた状態からでは有効打にはならない。

 

「デェェエアッ!」

 

 無数の仮想リングに掛けた電圧によって電磁砲の要領で左腕を加速させ

雷を纏った拳を放つと、拳はついにグエバッサーの背骨を貫いてそれを完全に絶命させた。

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)

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