ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

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エピソード22 襲来 3

「……廊下ですか?それも丸ごと?」

「えぇ、全体的にね、試しに投げ込んでみたボールペンは何かに飲み込まれるように消えた、おそらく別の空間に繋がっているわ」

 

「慌てて走り出してたら即落ちしてたって事ですかいな」

 

「しっかし、空間接続ならそんな大規模にする必要も……いや、あぁ足止めですね、それもわかりやすい形での示威行為を含めて」

 

 グエバッサーもケルビムも片付き、残るはアリゲラのみ、しかし陸戦隊への直接通信は使えず、陣頭に出ようにも司令室前の廊下は何らかの空間操作を施されたのか黒いトラップ床と化している

緊急脱出にもあの廊下を使うことは変わらないため、BURKの司令室メンバーは部屋に閉じ込められてしまった

お互いに連絡の取れない状況での分断、現状打つ手はない。

 

「いやーまさか空間自体を操って基地内に攻撃を仕掛けてくるなんて思いませんでしたよ、どうしますこれ?こんなの漠然とし過ぎて僕にもよくわかんないですし対処法なんてすぐ思いつくようなもんじゃないですよ?」

 

 現象の観測も十分ではない上に邪神やそれに類する存在の能力だとすれば無数の選択肢がある

流石の徹にもこれだけの情報で使用者の素性を特定することはできなかった。

 

「幸いバリアそのものに干渉はされていませんし、直接これから攻撃してくるわけでも無さそうです、我々に対してはおそらく、足止めが目的と思われますが……」

 

「んなけったいな事するくらいなら正面切って殴り込んで来んかい星人どもめ!」

「……そうだな、随分慎重な手だ」

 

 弘原海達もそれは同じようで、比良泉にも悪態一つ吐くのが限界だった。

 

「しかし、彼らも詰めが甘いようだ」

 

弘原海はBURKガンの出力を下げて横にあった窓を撃ち抜き、その枠を蹴り飛ばして外す。

 

「降りるぞ」

 

 地上十数階の高度からの降下作戦が始まった。

 


 

「こちら陸戦隊、司令室応答求む!」

 

 何度目かもわからない通信を送って、帰ってくるのはノイズだけ

他の隊員達も同じように通信が通じなくなっているようで、各自判断で事前訓練に則った無線封止後の戦術を取っている

しかしやはり連携は相互の情報共有あってこそ活きる物、お互いの状況を直観で推測するほかない状態ではどうやっても連携モドキ程度にすぎない。

 

「司令室!応答求む!」

 

「もうやめとけ、それより動くぞ!」

 

 九重隊長の静止に従って操車に集中した俺は必死になって骨鳥怪獣の動きを見極めようとするが、速すぎて目で追えないまま残像ばかりを眺めることになってしまう。

 

「10時方向から来るぞ!」

「はいっ!」

 

 咄嗟に回避のため右方向にハンドルを切って加速すると、その回避軌道ギリギリを掠めるように奴の放った光弾が着地した。

 

「あっぶねぇ……!」

「よく避けた、次!弾込め良いか!」

「はい!」

 

 自動装弾装置はとっくに弾を込め終えているため、あとは狙って撃つだけなのだが、爆発の影響で土煙が上がって敵の飛跡すらろくに見えない!

 

「来るぞ、12時方向正面上!」

「ロック!」

 

 車載の主砲と砲塔制御AIの応答はほぼ同時、俺自身は見えないままだが、隊長の指示を信じてぶっ放した。

 

「よし!直撃ッ!」

 

 突撃をしながら顔面に直撃弾を受ける経験はなかったのか、鳥型は姿勢を崩して勢いが死に、そしてその隙を周囲の仲間たちが容赦なく突いた

対怪獣用徹甲(A・M・A・P)弾が敵の顔面や翼に着弾してめり込み、また骨のような表面装甲を削って行く。

 

「ギシャァァァッ!」

 

 絶叫を上げる鳥型だが、そんなことは関係ない、俺達防衛軍の前に現れたことがこいつの運の尽きだ。

 

「よし!次発装填!」「装填よし!」

「撃て!」「発射ッ!」

 

 数百を超える弾を撃ち込んだ末に、全身を挽肉同然の有様にした奴は

それでもなお光弾を放った。

 

「中山ぁぁぁっ!!」

 

 俺の二つ隣、12のナンバーを冠する車両に光弾が飛来し、そして爆発した

次は俺だ、今までは運がよかったんだ

あぁ、死

 

 

「……あ?」

 

「ボサッとするな!機銃でも撃て!」

「……はいっ!」

 

 目の前まで飛んできていたはずの光弾が突如として停止して消え、呆気に取られた俺は半ば思考を止めたまま副兵装の機銃2門を発射した。

 


 

「銀嶺庭園、起動終了しました」

 

「完全に間に合わせることはできなかったようだな……」

「仕方ない事だ、お前ら後で黙祷するぞッ!」

 

 所変わってこちらは基地内のハンガー、そしてそこに収められたディザスター級兵器、銀嶺庭園の起動装置前である

緊急事態に於いて上長との連絡が取れない場合にのみ、科長以上の判断で使用が認められる、ディザスター級の原則を逆手に取った急速起動により基地の側に発射された光弾は防ぐことができた

しかしエリア設定が十分でなかったのかエネルギー不足かは判然としないながら防ぎきれない弾が出てしまったのは事実だ

人命は悔やまれるが今はそれ以上の被害が出ないように食い止めることを優先する。

 

「次長!第三接続完了、エネルギー充填率90%、起動準備できました!」

「よし、あとは俺がやる!1分で間に合わせてやる!パイロットは新だな?」

 

「いや甲崎次長、乗るのは私だ」

 

「な、動かせるんですか!?」

「無論。そのために訓練してきた」

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)

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