ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

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エピソード23 西風来たれり 3

「旋回が鈍いっ!」

 

 急旋回を繰り返して火炎放射を回避していたクルセイダー1、しかし放射熱線の真の恐ろしさはその火炎だけではなく、真価はむしろ含有される放射線の方だ

認識不能なウォーターカッターが全方位に撒き散らされているとでも考えれば良いのか

瞬間的に接触するその僅かな時でさえ、放射線によって原子核を削り飛ばされているのだ

それによって機器に僅かなズレが生じた

極限の集中がなければ認識すらできないほどの、僅かなズレが。

 

「いかんっ!」

 

 そのズレが、致命的となる戦況だった。

 


 

 ガボラの激しい攻撃によってシェルターを破壊され、もはや絶体絶命の窮地に追いやられた発電所にて。

 

「康二!お前は奥にいけ!緊急注水システムがどこかにあるはずだ!」

「はい!」

「純子は人を探せ!対放射線シェルターの位置はわかるな!」「確認しました!突入します!」

 

 ガイガーカウンターを肩に、陸戦部隊の救助隊(レスキュー)が発電所に入り、ガボラのすぐ背である原子炉建屋という超危険地帯にまで突入して退路の確保と要救助者の救助と避難誘導を敢行する

彼らもまた、命を懸けて戦う戦士なのだ。

 

 あぁしかし何たる無情か、高圧電線が破損した事で漏電し、建屋のリノリウムを焼いて電気火災を起こしはじめた。

 

「まずい火事だ!」

「スプリンクラーは!?」

「不明です!それに電気火災じゃダメだ!」

「クソ!とにかく火の手が回る前に!」

 

 レスキュー隊ですら二次災害で死にかねない、状況は劣悪だった。

 


 

「クルセイダーが!言うことを聞かん!」

「くっ……!隊長!ベイルアウトを!」

 

 放射熱線に炙られながら旋回を繰り返すなか、なんとか致命傷を避けていた駒門と弘原海

しかし彼らに残された手段などない

ビーム兵器は誘爆リスクを避け得ず、実弾兵器もまた同じ、火力の低いバルカンは気を引く程度にしかならず、装甲を繰り返し炙られた影響で姿勢制御システムに異常が発生していた。

 

「すまん、不時着だ、緊急脱出する!」

 

 弘原海はその声と共に後を預けて山間にクルセイダーを向け、エンジンをカットしてベイルアウト

木々を薙ぎ倒し山肌を削りながら、無人となったクルセイダーは停止した。

 

「降りるぞ」「はい」

 

 歩兵戦においては武装の火力がものをいう、BURKガンはマキシマムモードでもマスカレイド級最高位の火力にすぎず、対怪獣用のハイパー級とは威力規格が違うため、怪獣には針に刺された程度の痛みしか与えることはない

その時点で既に絶望感が漂っているが、弘原海の目は腐ってなどいなかった。

 

「多少でもガボラを引き離す、陸戦隊の陣地まで曳ければ我々の勝利だ」

 

 勝利条件とは、ライフを削り切るだけではない

相手の山札を枯らし、時間切れを狙う事もある

彼らの戦いも、そういうものだ。

 


 

(雄介、クルセイダーが堕ちた!)

(仕方ない、行くぞザイン!)

 

((ザイン・イグニッション!))

 

 首に提げた鍵剣を抜き放ち、己の胸へと突き刺してそこに隠された古傷を抉じ開ける

機体のコントロールをAIに委任し、雄介は光となって機体から抜け出した。

 

「デュゥァッ!」

 

 拳を突き上げるポーズで出現し、着地と共に身構える、宇宙拳法赤心貫鉄拳だ。

 

 その瞬間、罠が起動した

背後の空間が揺らぎ、それが姿を現す

透明と化していたトラップ、潜伏していた怪獣だ。

 

 

透明怪獣ネロンガ

能力解除により出現

 

 

「ギィィィィッ」

 

 電位差による誘電でザインの生体電流を吸収強奪し、そのまま力尽きるまで吸い上げようとする

が、ザインとて奇襲一つで潰されるほど未熟な戦士ではない。

 

「ディアッ!」

 

 逆に高い電圧を一気に掛け、オーバーフロー状態にして内部破壊を仕掛ける

膨大なエネルギー量を有するからこその無茶である。

 

「ギィィィィッ!?!」

「デェェエィ!」

 

 背後に転がるそれをつかみ、正面のガボラへと投げ飛ばす

ガボラの放射熱線を受けないように遮蔽にするためだ。

 

「デュア!」

 

 拳を握って油断なく構え直すザイン

しかしガボラはそんなことは関係ないとばかりに火炎を放ち、ネロンガは身をくねらせてその射線を回避した

遮蔽の向こうから唐突に直撃コースで飛来する熱線を回避できず、真正面から受けてしまう。

 

「デュゥァァァァァッ!……デェァ!」

 

 その勢いに一度膝をついたザインだが、スラッガーを抜き放って顔の前に出して構え

ガボラの放射熱線の切れ目を狙ってネロンガへと攻撃を仕掛ける

やはり先に倒すべきはネロンガだ

ガボラは下手に倒すと核爆発を起こしてしまう可能性がある。

 

「各車両、不時着機を探しつつウルトラマンを援護せよ、攻撃開始(ファイア)!」

《了解》

 

 陸戦隊が危機を顧みずに山中まで乗り入れて砲撃を開始するが、やはりガボラの放射熱線の火力の前にその装甲は頼りない

火炎放射の正面に立っては危険だ。

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)
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