ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

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エピソード23 西風来れり 5

「あれは……!」

「新しい、ウルトラマン……!? 一体あそこで何が起きてるんだ、江渡は無事なのかッ!?」

 

 匡彦が変身した真紅の巨人――ウルトラマンゼファーはザインの背後で深く息を吐き出し、戦闘態勢を整えている。

 ほぼ全身が赤く、頭頂部に備わっている長めのスラッガー、ツリ目がちで横長な六角形の黄色い眼はどちらも極めて高純度なレッド属の特徴、非常に攻撃的なデザインであり胸部に伝う楔模様のプロテクターも、彼の雄々しさに彩りを添えている。

 

「ジョワァアァッ!」

 

ウルトラ水流

 

 彼は水流をその紅い両手から放つと発電所を飲み込む炎の海を一瞬で鎮火する

散水機程度の水量では逆効果になりかねないものだが、超人の物量(スケール)を持ってすれば焼石を海に沈めるが如し、

九死に一生を得た職員達が顔を上げている間に、彼は地を蹴って高く飛び上がっていた。

 

 やがてガボラの顔面に鋭い飛び蹴りを叩き込んだ彼は、怪獣が怯んでいる隙に弟弟子たるザインの傍らに着地する

予期せぬ兄弟子ゼファーの参戦に、ザインは思わず仰け反っていた。

 

(ゼファー先輩、どうしてこの次元の地球に……!? 別の次元の惑星に正規配属されたはずでは……!)

 

 そう、彼は宇宙警備隊有人惑星防衛課所属の正規隊員として別の任地に赴任中であるはず、もし別のウルトラマンによる救援があったとしても、彼だけはあり得ないというポジションだったはずなのだ。

 

(有給使って、弟弟子のツラを拝みに来てやったのさ。クライム教官からは手を貸すなと言われたが……生憎俺は昔から、聞き分けのない問題児だったからな、さっさとこいつらを片付けるぜ、ザインッ!)

(……はいッ)

 

 念力によるテレパシーで会話し、互いに頷き合う二人の戦士が二体の怪獣へと向き直り、構える。

 

「デュァッ!」
「デェァッ!」

 

 二人の構えは宇宙警備隊の格闘訓練に於いての標準対爬虫類型姿勢、両手を前にし、安定した四脚による低高度タックルに備えるために深く腰を落とした姿勢だ

だが、構えをとった二人の戦士を前にした怪獣達にも怯みなどない

おびえ、すくみ、ひるむ

そのような感情など、暴走する本能の前に理性の警鐘など届きはしない。

 

けたたましい彼らの咆哮は、全面対決の始まりを告げていた。

 

「ジュァアッ!」「ギィィィィッ!」

「ジョオワァッ!」「ギリィィィ!」

 

 

 裂帛の奇声と共に双方は真っ向から激しく組み合い、苛烈な格闘戦へともつれ込んで行く。チョップやキック、尻尾による殴打が乱れ飛ぶ大混戦となっていく

 

(ゼファー先輩!ネロンガは俺が!)

(任せるッ!)

 

 ザインは既にネロンガの能力を把握済み、

格闘戦能力では上回り、特殊能力は同系統故に相互に耐性を持ち

エネルギー量においても完全優位

この状況、時間以外に憂慮すべき条件などない

 

 対してガボラの放火能力(フレイム)は混ざり物のザインには有効であっても純正のM78(プラズマスパーク)型ウルトラマンとして光熱耐性を有するゼファーの前に無力であり、格闘でザインに打ち負けるガボラにはゼファーの相手など役者不足だ。

 

「デュァッ!」

「ジュェアッ!」

 

 拳を振り抜いたザインの一撃がネロンガの角を折り、

ゼファーの放つ鋭い手刀がガボラの首を打ち据える

隣り合った二人はすれ違いざまにポジションを交代し、今度はザインがガボラを回し蹴りで転がし、同時にゼファーの空中回転踵落としがネロンガの胴を弾ませる。

 

「「デュワッ!」」

 

 二人の戦士は息を合わせて前蹴りを繰り出し、それぞれの敵を別方向に押し飛ばした

しかし、ネロンガはともかくガボラを相手に光線技は使えない、スペシウムを用いた攻撃を躊躇うザインに対し、その背後からゼファーはスラッガーにエネルギーを収束させる。

 

(ゼファー先輩、そいつは体内に……!)

(分かってるさッ!……そういう時はな、こうするんだよッ!)

 

ゼファードスライサー

 

 

 ガボラは息も絶え絶えの状態でありながら、なおも目の前のウランに突き動かされて放射熱線を放つ、向かい合ったゼファーは身を翻して幾筋もの火炎放射を躱しながら接近し

必殺の間合いに敵を収めたと同時にその剣を放った。

 

「ゼァッ!」

 

 猛火を斬り、空を裂く光刃は瞬く間にガボラの首を、頭部の襟もろともに刎ね飛ばしてしまう。

胴体部の大半を占める濃縮嚢のウランには全く傷を付けることなくガボラの命を刈り取った刃は、素早くゼファーの元へと戻って来るのだった。

 

「す、凄い……! ガボラのウランは首のすぐ下にまで詰まっていたのに、それを一切傷付けずに頭部だけを……!?」

 

 確かに頭部だけを切断してしまえば、誘爆の危険性はない。だがガボラの体内に蓄積されていたウランはすでに、頭部の手前にまで達していたのだ。僅か数センチの誤差でも命取りになるような、危険過ぎる手段であることには違いない。

 

 そのウランを一切傷付けることなく本当に()()()()を切り落とすなど、並のウルトラ戦士に出来る芸当ではない。飛翔しているミサイルの起爆装置だけをピンポイントで切断しているようなものだ。

 怪獣の首を一瞬で切断出来る光刃の精製と、念力によるスラッガーの精密操作。その両立が為せる妙技を目の当たりにしたザインは驚嘆の声を上げる。

 

(ザイン、一気に決めるぞッ!

ガボラを倒した今なら……もう遠慮はナシだッ!)

(……分かりましたッ!全力で行きますッ!)

 

 全身の電子回路を開放したザインのエネルギーは急速に消耗していくが、とどめの一撃に際してはもはやエネルギー残量など些事にすぎない。

 

 ザインは長きに渡った戦いに決着を付けるべく、トランスコンダクションポイントから二つのスペシウムエネルギーの球体を出現させる。

 

 ゼファーも両腕を胸の前で交差してエネルギーを集中させ、ザインに合わせるように右腕を天に、左腕を水平に伸ばす前動作を終わらせ、L字に組んだ両腕をネロンガに向けていた。

 

ザイナスフィア

×

セフィニウム光線

 

 ザインの光球がそれぞれネロンガへと着弾すると同時に、ゼファーの腕から放たれた光線がそれらをまとめて吹き飛ばす

異なる波長のスペシウム光波を対消滅させる行動技術、合体光線だ。

 

 放たれた軌道そのままに山を貫くほどの光線はネロンガを跡形もなく吹き飛ばし、完全に消滅させ

共に闘った者達が歓声を上げるなか、ゼファーはザインへと激励をかける。

 

(……成長したな、ザイン。これからもしっかり頼むぜ? この星の未来は今、お前に懸かってるんだからよ)

(もちろんそのつもりですよ……応えて見せます、必ず)

 

 星を守る戦士として、彼等の言葉は重い。

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)
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