ウルトラマンザイン   作:魚介(改)貧弱卿

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エピソード25 机上の空論 1

「それでは、デブリーフィングを始めます

今回の作戦は今年度初の陸・空部隊による合同作戦、作戦名『二天一流』です

まず、今作戦の概要を説明します」

 

 作戦終了後、対策室メンバーは全員で反省会(デブリーフィング)を開いていた。

 

「今作戦は発電所に対する怪獣の奇襲を受け、これに対するスクランブルという形で発動されました

襲撃して来た怪獣は『ウラン怪獣ガボラ』及び『透明怪獣ネロンガ』の2体です」

 

 霧島オペレーターが指を差すなか、画面に2体の怪獣の画像がそれぞれ表示される。

 

「急拵えのものですので、作戦はシンプルに

クルセイダー2機で陽動・誘引して南部の開けた地点に陣を取った戦車隊と合流し、戦車の火力で止めを刺すというものですが、実際の流れは以下の通りとなりました」

 

 原子力発電所の発電区画の中には『uranium』の文字が現れ、同時に周辺の放射線量のグラフが出現した。

 

「発電所の防衛および人命救助のため、シルバーアロー3輌と十八式戦車5輌、クルセイダー3機で急行し

クルセイダーは先行して攻撃を仕掛け、陸戦隊の陣地へと誘導します」

 

 画面に映された3Dモデルの山と発電所、そして車輌と戦闘機のモデルが現れ、動き始めた。

 

「しかし、ガボラの攻撃によってクルセイダーが撃墜され、やむなく離脱しました

そこでウルトラマンが出現したわけですが、ウルトラマンが出現した直後にネロンガによる奇襲を受け、エネルギーの大半を喪失してしまいました」

 

 ポリゴンで適当に作られた初代ウルトラマンのモデルが表示される

初代モデルなのは分かりやすさを優先したからだ。

 

 

「その後、残るクルセイダーによる再度の誘導が試行されましたが、ネロンガの電撃光線に撃墜されて、全機行動不能に陥りました」

 

 この段階では既にだいぶ発電所から引き離しており、空戦隊が撃墜されたことでここからは陸戦隊が攻撃の主導を担うことになった。

 

「キャバリアーズの十八式もこの時点で一輌落とされ残り4輌となり、河原隊員は殉職、江渡隊員は脱出しました」

 

 モデルの戦車が一台爆散し、そこから現れた2つのマーカーのうち片方が変色、もう片方は猛然と移動を開始して、ネロンガのモデルの側を抜けて発電所へ。

 

「江渡隊員はこの後人命救助に向かいましたが、爆発と発電所の特殊磁場の影響で一時的に消息不明になり、そこでもう一人のウルトラマンが出現しました」

 

 今度はセブンのウルトラマンモデルが出現し、ガボラを引き離して交戦を開始する

激しい格闘戦は流石にフル再現とはいかず、3Dモデルは4体全てが一箇所に集まる形で『Battle』の表示を出して代用する。

 

「各部隊の援護もありましたが、ガボラはここで引き離しに成功し、第二のウルトラマンがこれを討伐、

ネロンガは両ウルトラマンによる同時攻撃で撃破されました

ここまでの流れに何か質問はありますか」

 

 全員の中に沈黙が流れる

 

 徹とヒラは今回は基地待機、弘原海と駒門がその間を埋める臨時編成であったが

特に動きに非があったようには思えない。

 

「クルセイダーが落とされたのは放射線被曝による機器の検出誤差であり、高濃度の放射線に被曝してしまったクルセイダーは重度の汚染状態にあります、一応湿式除染処理はしましたが本機体はおそらく廃棄となるでしょう」

 

「……残念だ」

「幸い、我々のスーツは対放射線性能も標準的な宇宙服程度には備えているので、二人に健康上の問題はありませんでしたが、機体の方はというと……」

 

 霧島はやはり沈黙する

放射能に汚染されてしまった以上はなんらかの除染処置を取らねばならない

物品であれば表面を削り落とす処置や硫酸等で表面を溶かす処置が一般的であるが、超合金でできているフレームや外装を削るのは余りにも無理があったため、最終的には塩酸・硫酸を大量に注いだプールに沈めてこれを除染処置とした

のだが、そんなものを再び飛ばすのは困難であるし、一度ズレてしまった精密機械に以前ほどの精度など臨むべくもない以上は除染処置は形だけにして廃棄になるだろうという事だった。

 

「話を戻します、この戦いを経ての反省点ですが我々待機組としては連携に関する練度の低さが露呈したものと考えています

十分な誘引ができずに落とされたクルセイダー、前進中に沈められた十八式と各々の任務を全うできなかったのは練度不足ではなく、事前の連携訓練の不足ではないかと」

 

「そもそも敵の誘導などそうそう経験を積むこともなかったからな」

「そうですね、我々は基本的に発見次第撃滅って感じでしたし……でも今後は増えるんでしょう?こういう作戦」

「……そうですね、敵を陸戦隊の陣地まで引き込む、あるいは安全な場所に引き込んで撃破、というのは今後は増えると思います」

 

「やはり作戦の練り直しと練度の向上が必須か……」

「私としてはやはり連携の不足を感じたわ、実際のところ陸空の連携というよりブロックごとに分けた二段作戦の様相が強く、互いの作戦時の援護を得ることはできなかった、三式弾のような対空砲はこちらも危険だから仕方ないとはいえ、最低限の火線は通して起きたかった場面もあったもの」

 

「難しいところですね……」

 

 各員の意見はやはり連携に関する話題に終始する、今回は怪獣達には高度なコンビネーションは見られなかったが、たまに複数の怪獣とそれを操る怪獣使いなどによる戦略的なコンビネーションを行ってくる敵もいる

人類がお互いの欠点を埋め合って今まで地球を守ってきたように、怪獣達もそれを行うのならば基礎性能で劣る人間の勝ち目は大きく薄れてしまう

それだけに連携は人類だけでなく、ウルトラマンにとっても重視するべき話題であった。

今後の作品展開の方針は?

  • ニュージェネ系統
  • 昭和兄弟系統
  • ンネェクサァス(ねっとり)

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