ザインは行動不能、いまだ意識は回復せず
自身もフィードバックダメージは大きく動くのは難しい、しかしBURK側の損害はほとんどない
市街地は一つ更地になってしまったが、人的被害も初期のみで済んでいるため、被害人数は500人に満たない
あわや世界滅亡となりえる邪神級怪獣を二体相手取っての被害としては驚異的な少なさだ。
「……諸君、これも隊員皆一丸となって努め、戦い続けたが故の戦果である!」
邪神討伐とあっては式典のひとつもなくてはならない、そのため日本基地を含めた交戦組はそれぞれに日取りを定めて式を執り行い、雄介達は重い体を引きずってその礼典に出席していた。
「今怪獣災害の犠牲者、並びにこれまで戦い散っていった英霊達に、黙祷!」
前アリゲラ戦にてKIAとなった先輩の
ガボラ・ネロンガ戦にて果敢に炎に挑み、そして散っていった
そして邪神との戦いの最中、散っていった戦士は多い。
「……」
犠牲者の慰霊、新たなる宣誓、そして神殺しの記念のために、式典は長く続く。
同時刻、BURK 日本支部東京防衛基地の地下2〜3Fには、影が揺らめいていた
タイラント戦後に乗っ取りを受けた少女、
「運び出せ」
「了解した」
影の中では実体などほぼ意味をなさないため、影の一族達は実体を分離した精神体で活動している
そのため物理的な影響力を発揮するためには実体を別に用意する必要があり、この場でそれを持つのは彼女だけだった。
「人間の肉体は弱いな」「貧弱極まる」
「個体数で能力を補うタイプなのだろう、増殖率が極めて高いようだ」
「技術はイマイチといったところだが、兵器開発と改良には目を疑うほどのセンスがある時もある」
「頭脳を発達させる道は大体の場合正解だ、無駄に脳が肥大していると言うわけではないのだろう」
「肉体ではなく脳で戦うか、我らと同じ道ということも出来るだろう」
影達同士で侃侃諤諤の議論が始まるなか、千郷を乗っ取った一人がそれを制止する。
「貴様らまずは手伝え、囃すばかりでは遅れる一方だ」
「我らには実体が無い」「故に手伝う事は出来ない」
どうも酷な仕事を一人に押し付けられてしまったようだ。
「貧弱な肉体でどうしろと」
「ゼロよりはプラスのほうが良いという事だ」
BURK日本支部の地下階に存在していた封印庫、どうあっても有害な怪獣の生体パーツやその生成物など現時点で無害化処理が不可能な物品を封印するための場所である
彼らはそこに立ち並んでいた無数のタンクの中から選ばれた幾つかの生体パーツを盗み出しているのだ
無論、本来なら式典中であろうと警備員や防衛班はいる上、自動迎撃システムなどによって撃退されるのだが
今は邪神戦直後でただでさえ手薄になっているところに式典があり、警備なども少ない
通常の空間剪断は感知できる自動迎撃システムにも流石に浅異空間潜入による微弱な時空振動まで感知できるほどの性能はなかった
このように様々な理由が重なり合った上で公的に処理班で働いている千郷を利用して初めて侵入に成功しているのである。
「……マジだっる……」
彼女の口調が写っていることには気づいていない。
「来い、ベムスターⅡ!」
少し離れた山の中、自然樹木の影の中から3次元世界に復帰した影、ペガッサ星人アーヤが呼び出したのは、同じく影の中で培養されていた大怪獣ベムスターだ
元の怪獣がベムスターを改造素体に使用したタイラントであり、そもそもの由来から自然個体では無いため能力の一部に変化が見られるが、そんなことは瑣末な話
今は活動不能のザインを討つための最低出力が出ればそれで良いのだから。
「立ち、歩き、突き崩せ!」
命令の言葉通りに、兵器たるそれは動き出す
自我なく、本能なく、それはまさに従うだけの兵器、ゆえにそこに躊躇はなく、そして油断もない
巨大な質量を伴った生体が歩行し、街の風景が崩れていく。
「アリゲラでは遅れを取った、ならば新しい怪獣を使うべきだろう」
「……だがベムスターをはじめタイラント由来の培養特殊個体のスペックは著しく低い、如何する?」
「無論、数を増やすというだけよ、それに普段の実力ならばともかく
今は回復の時間が必要な相手にぶつけるなら十分な性能だ」
「アリゲラはもはや対策が為されているだろうことは疑う余地もない、ベムスターは通用するのか?」
「タイラントの一部としては認識されていても単独の怪獣としてはわからない、だが怪獣に対抗可能な戦力が大幅に低下したことは間違いない、機を逃すべきではない」
街にサイレンが鳴り響いた。
今後の作品展開の方針は?
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ニュージェネ系統
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昭和兄弟系統
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ンネェクサァス(ねっとり)