「やっべぇ!」
〈そんな!ありえない!従来個体ではありえない射程からの吸引なんて!それだけじゃない、あんな姿勢から必殺技が出せるなんてそんなわけが!〉
〈どけ!雄介!マニューバモードだ!〉
激しい振動と暴風、そして引力に襲われたレボルシオンの機内に、通信機からの声が響く
雄介は即座にメテオール・イナーシャルウィングによるマニューバモードを起動して反対方向に超推進するが、さすがというべきか
その機能にのみ特化した吸収能力は尋常なベムスターのそれを遥かに上回っている
肉体的にも頭脳面も貧弱だったのはそれほどにスペックを一極集約していたからだったのだ。
「うぉぉあ!……ッ!」
マニューバモードの大気圏離脱すら可能とする推進力でもなお離脱できない引力はベムスターの捕食器官が多次元レイヤーの集積によって実現された擬似ブラックホールであることに由来する
向こうはただ
「くっ……!」
一方、シルバーアローの車内に居た駒門は即座にギアをPに入れ、車を降りて後部トランクを開ける
その中に格納されている武装を取り出すためだ。
「トルネードブレイカーユニット、オン!」
黒く長いトランクケース状のそれを開き、追加ユニットを装着する
ストックを延伸し、バレルを拡張した狙撃銃型歩兵武装、武装等級第Ⅱ分類ハイパー級
BURKガン・トルネードブレイカーが姿を現した。
ガチャリ、その音ひとつも酷く鈍く感じる、極度の緊張の中で加速された世界は色褪せて音も消え
ただ一点の狙うべき場所のみを視界に示す
ベムスターの腹部、その中央の吸引アトラクタースパウトの中核部分たる次元収束結節点クリスタディメンシオ
それこそが自己の体積を上回る物質の吸収と捕食を可能とする擬似ブラックホールの核なのだ。
「隊長!砲撃許可を!」
「メテオール発動承認する!やれ!」
BURKスイーパーのルーフに存在する大きな砲台、ハイパー級兵装クラリオン砲が実体を伴うビーム弾を放った
顔面を吹き飛ばせば如何にベムスターとて吸収力場を維持することはできない
元から車載砲のビーム弾の軌道は大雑把であり、精密射撃など狙うべくもない上に彼らには使用経験が不足している
駒門副長の採った狙撃とは比べ物にもならないようなアバウトな方法ではあったが、確かに彼らに取り得る作戦であった。
「着弾確認!……戦果微小!目立つ傷は確認できません!」
「クソッ!撃ちまくれ!1発でダメなら100発撃つんだ!」
「了解っ!」
黄色のビーム弾が能う限りに連射され、ベムスターの全身を打ち付けるが、爆煙はあれど十分なダメージと言えるようなものはない
アトラクタースパウトから展開される多次元レイヤーの影響で空間が湾曲し、放射状に広がって押し除けられている
そのため、ベムスターにあたっている様に見えてはいても、実際のところアトラクタフィールドの境界面に接触して爆散しているに過ぎないのだ
この防御を突破するには次元を越えるほどのエネルギーを持つか、あるいは直接次元に干渉するような荒技で突き抜けるか、または、アトラクタフィールド同士の相互干渉面のわずかな緩衝地帯を貫いて射抜くか、それだけだ。
「………………」
震える指先、残りわずかなメテオール発動時間、どこまで持つか不明な剛性限界までの猶予
早鐘を打つ心拍が全身に熱を巡らせる
アスファルトの黒い地面をさらに黒く染めゆく汗に濡れながらも、揺るがさず構え続ける
狙いは極小の結晶、アトラクタフィールドの境界面は視認困難、常に揺れる空間の隙間を狙い撃たねばならない。
「…………」
衝撃と爆音が轟く中、その全てを無視して狙撃姿勢を維持し、その機を待ち続ける
わずかでも逸れれば無為に帰してしまう極細の針で、致命の一点を穿たねばならないのだから。
今後の作品展開の方針は?
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ニュージェネ系統
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昭和兄弟系統
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ンネェクサァス(ねっとり)