「ギュウィィィィィ!」
絶叫をあげるベムスターの吸収能力はますます強まり続け、ついにメテオール発動限界の20秒前というところ
雄介の扱える念力は空間を歪めるのが限度であり、テレポートの水準までには到達していない
もはやどうしようもない詰みの盤面に到達してしまった。
「……くっ……」
ベムスターは相変わらず黄色い爆発を貰いながらもまるで動じず、爆発するエネルギー体が波打つばかりだ。
「ギィィッ!」
メテオール発動時間残り18秒、17秒、16秒、15秒。
揺らぎが収束する一瞬、その瞬間を狙い澄ました駒門の指先が針を放ち、ベムスターのアトラクタースパウトへと吸い込まれていく
歪曲したアトラクタフィールド同士の、わずかな相互干渉面をすり抜けて突き進み
赤い肉質を抜けてその中核へ。
「ギィゥアァァァッ!」
見事、針の一撃は空間の大穴の中核を射抜き、それを縫い閉じる事に失敗した。
「……ダメか!」
多次元レイヤーの集積体であるクリスタディメンシオを破壊するには、その次元収束能力を上回る破壊力が必要不可欠、所詮一般怪獣を相手取るのがせいぜいのハイパー級にすぎないトルネードブレイカーでは、一撃で次元収束を解除するほどの火力は無かったのだ。
メテオール発動時間のこり8秒、7秒、6秒。
「悪いけど、ゆーくんをやられるわけには行かないんだよね」
閃光が奔る
天から降り注いだ虹色の光の柱が雄介のレボルシオンに直撃し、そしてそのままレボルシオンを飲み込んで、巨人の姿を現した
青、銀、黒のその人型を。
〈新しい……ウルトラマン……!?〉
「ヴァァッ!」
その名もカオスウルトラマン、闇より出し赤い瞳の戦士は拳を振り翳して大喝を上げた。
「ヌヴヴン!」
片足を上げて踏み込みながら放たれた拳の一撃がベムスターの多次元レイヤーを突き破り、そのまま顔面を殴りつけ、体勢を崩したベムスターに今度は前蹴りがクリーンヒットする、いったん下がったベムスターだがまだ彼の攻撃は収まらず
片足を膝あたりまで浮かせたまま両手を天高く掲げて荒ぶる鷹のポーズを取った後、諸手突きを繰り出してベムスターをさらに吹き飛ばした。
「デェェアッ!」
低く籠った鈍い声を上げるカオスウルトラマンの連続攻撃にベムスターはまるで反応できずに一方的に殴られている
得意のアトラクタースパウトも至近距離からの肉弾戦に使うことはできず、完全にグロッキーだ。
「今だ、全力で援護しろっ!」
「了解、リミッター解除!
リミットアウト・クラリオンッ!」
黄色を通り越して金色に輝く光弾が赤い目の巨人を通り過ぎ、ベムスターの左腕を消し飛ばす
リミットアウトしたクラリオン砲の放つエネルギーはアステロイドバスターにも匹敵するのだ。
「ヴァァァッ!」
絶叫を上げるベムスターとは対照的に冷静な巨人は両腕を前に出し、その腕の中にエネルギーを収束させる
光か闇かさえ判然としない粒子が光帯のように放出され、ベムスターを消し飛ばす
かのように思えた
だが忘れるなかれ、この個体はアトラクタースパウトのみに特化した個体、接近戦で拳相手には使えずとも
距離を離した相手ならばなんら問題はない
ベムスターの腹部から空間が展開され、その周辺のエネルギーが飲み込まれていく
やがて光線の全てを吸収しきったベムスターは反撃の雄叫びをあげた。
「ギュウィィァァァアッ!」
クラリオン砲はリミットアウトの影響により連射不能、雄介のレボルシオンも所在不明
セイバーは攻撃の機を伺い続けているが、ビーム装備の彼らに為す術などない。
「ヴゥォアッ!」
「ギィィッ!」
光線技によってエネルギーを消耗したカオスウルトラマンと逆にエネルギーを充足させたベムスター
大怪獣と戦士の戦力差は失われつつあった。
「これは……」
「ゆーくん、大丈夫?怪我してない?」
虹色の光の粒子が舞うインナースペース、その周囲を見渡す雄介に声がかけられ
後ろから翠風が姿を現す
そう、彼女がこの虹色の光の持ち主なのだ。
「ここはカオスヘッダーの領域だから怪我してても大丈夫だけど、ちゃんと治してあげるよ」
「……いや、怪我はしていない
それよりお前、これはどうなってるんだ?いくらインナースペースでも流石に飛行機一つ丸ごと飲み込めるほどの空間的規模はないだろう」
そう問われると、虹色の光を纏った彼女は表情を変える事なく語り始める。
「カオスヘッダーはね、どんな無茶な事も実現できる可能性があるの、生物にも無機物にも同化できる
だから私ゆーくん飛行機、それ以外にも色々と同化してるの、大丈夫だよ、ちゃんと戻せるから」
「戻せるなら良いんだが……それより、ベムスターは」
「倒すよ、この
今後の作品展開の方針は?
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ニュージェネ系統
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ンネェクサァス(ねっとり)