彼女の気合いと共に放たれた光帯が吸収され、そのままベムスターに食いつかれる
反撃の拳も虚しく吹き飛ばされ、そのままベムスターが吐き出す光線の直撃を受けてしまった。
「まっず!こんのぉっ!」
翠風のカオスウルトラマンはエネルギー残りわずかとなり、実体維持が怪しくなってきているが、傷ついたベムスターはむしろ手負いがゆえに勢いを増している
セイバーのバルカン砲も牽制程度であり、わずかに時間を稼げるか否かにすぎない。
「俺がやる」
「でもゆーくんはもう!」
「これでも俺だって……いや、俺がウルトラマンだ、俺を分離しろ
あんなベムスターの一匹程度、サクッと片付けてやる」
「ゆーくん、それでさっき吸い込まれかけてたのによく言えるね」
冷ややかな視線を向けてくる彼女に対しての抗弁は短い。
「奴の動きは既に学習済みだ、もう迂闊に射程には入らん」
粒子へと分解し始めた拳でベムスターを突き飛ばし、そのまま低火力ビーム弾で牽制しつつ姿勢を変えないまま残像付きスライド移動で接近して回し蹴りを叩き込んだカオスウルトラマンが虹色の粒子へと戻って霧散する。
「頑張ってね、ゆーくん」
「あぁ……」
虹の粒子、混沌の力を純然たるエネルギーとして取り込み、エネルギー不足で昏睡状態にあったザインを叩き起こす雄介。
「決着をつける、ザイン!イグニッション!」
虹色の背景を伴った特殊変身の限定バンクと共に拳を突き上げるぐんぐんカットを挟み、雄介はザインへと肉体を換装した
本来ならばウルトラマン状態では雄介とザインの意識を両方含有するはずなのだが
ザイン自身がほぼ雄介と一体化しているという都合上、あくまで例外的な特殊ケースとして片方の精神力が異常に弱っている場合のみ、半ば乗っ取るような形での占有が可能なのである。
「デュアッ!」
叫びと共にスラッガーを抜き放ち、刀剣として使用する
拳と刃の乱撃が突き込まれ、一撃が片目を貫く
雄介自身が宇宙拳法や刀剣術を修めているわけではないため、エネルギーやスラッガーなどは粗雑な使い方しかできないが、純然たる格闘能力に限って言えば特に問題はないため、そのままベムスターを押し込んでいく。
「デェェイッ!」
ザイン最大の持ち味である防御向きの宇宙拳法である赤心貫徹拳はほぼ喪失するが、かわりにザイン本人にはないスペシウム制御能力と初撃威力に偏重した突撃型の格闘術が雄介固有の特徴として発揮されるのだ。
「ピギェェェィッ!」
「ヂャッ!」
左足を軸とした横回転でスラッガーを振り回し、竜巻のような旋風と共にベムスターを切り刻んでいく
ベムスターも掴み掛かっては嘴を突き込んでくるのだが、片腕のない状態で掴み技など恐るるに足らず
そのまま嘴を跳躍からの垂直チョップで叩き折られてしまう。
「行くぞ……ハッ!」
腰を落として左腕に光を蓄積し、思い切りアッパーカットを突き上げて吹き飛ばしの一撃
ビルへ突っ込むように吹き飛ばされたベムスターはなんとか起き上がるものの、姿勢は安定せず気絶寸前と言った様相である
一方雄介はゆっくりと虹の粒子を集め始めるが、やはりそこは特化型だけあってベムスターはエネルギー技を吸収する構えを取っている、やつのアトラクタースパウトの性能からすれば多少ふらついていようと離れていようと関係ないという判断なのだろう。
「いかん!再チャージまだか!」
「まだです!冷却85パーチャージ37パー!足りません!」
スイーパーはオーバーヒート中の砲身冷却のために再装填が遅々として進まず、セイバーは周回しながら攻撃を続けているが、ダメージ過多の興奮状態で痛覚が機能していないのかまるで超獣のように無視され続けている
元々セイバーは集団戦向きであり、単体で怪獣を仕留めるようなスペックではない以上、もはや何もできないと言っても過言ではない
残された手はただ一つ。
「そのまま撃ちなさい!雄介ッ!」
「ディァァァアッ!」
吸収能力の失われた腹部腔内に叩き込まれたカオススペシウムが爆裂、そのまま爆発する。
「……」
彼女の放った2度目のトルネードブレイカー、赤い穿槍の一撃が今度こそクリスタディメンシオを破壊したのだ。
「ミッション、コンプリート」
今後の作品展開の方針は?
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ニュージェネ系統
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昭和兄弟系統
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ンネェクサァス(ねっとり)