GOD EATER 〜煌めく波と手向けの花〜 作:sha-yu
ほのぼのは楽しいですよね。
目が覚めた翌日、サカキ博士に呼ばれてラボに行くことになった。とは言っても、まだ体が動かないので車椅子でだ。
車椅子を押してくれているのは、姉ちゃん。無事よかったとか、優しい言葉をかけてくれる姉じゃないのは知っていたが、出会い頭に初恋ジュースを投げつけられた。
こっちは怪我人なのに、酷いものだ。
ジーナさんは心配してくれたの……に……
『そういうことよ』
昨日の言葉を思い出してしまった……。これはつまりそういうことなんだよな。
「ショウゴ、あんたまた頭から煙上がってるわよ」
「う、うん……」
「はぁ……ジーナとあんたの様子見たら、大体の様子はわかるわ。大方、ジーナが一方的に告ったあとに、逃げていったんでしょ?」
なんでわかるんだよ。エスパーかよ……
「ま、今は忘れなさい。もうラボに着くから」
「うん」
とりあえず後で悩もう。どうせ2週間の療養を言い渡されてる。時間はたくさんある。
ラボに着き、姉ちゃんが扉を開けると、いつもの胡散臭い笑顔でサカキ博士が待ち構えていた。
「やぁ、元気そうでなによりだよ。ショウゴ君」
「この状態見てそれをいいますか……」
「それもそうだね」
「サカキ博士、私は外に出ています」
「ありがとう。さて、早速だけど少し聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「はい」
アラガミ化のことを聞かれるんだろう。
一応、言うことはまとめてきた。
「まず、君がアラガミ化していた時の状況についてだ。詳しく教えてくれるかい?」
「わかりました」
あの時のことを、一つ一つ説明して行く。
アラガミを要塞まで引き連れた後、海岸に打ち上げられていたこと。意識はあったけど、自分の中にいたハンニバルに抗えず、体の自由を奪われていたこと。時々、ハンニバルに理性を飲み込まれ、アラガミに対して、捕食欲求を持ったこと。
サカキ博士は、横槍を入れることなく、全て聞き入れた。
「なるほどね。よくわかったよ、ありがとう」
「いえ、こんなんでよければ……」
「君の中にいたハンニバル。それはおそらく、以前現れたハンニバルのオラクル細胞を君の中にある変異偏食因子が取り入れたせいだろう。アラガミの弱体化も、それが原因だ」
「変異偏食細胞……」
サカキ博士の説明によれば、変異偏食細胞は父さんの研究らしい。
まさか、あの研究が今になって実を結ぶとは、思いもよらなかった。
「変異偏食因子がなければ、君は今頃アラガミになっていただろう。お父さんに感謝したまえ」
「はい……」
「今日はもう大丈夫だ。ゆっくり休みたまえ。リイヤ君」
サカキ博士が姉ちゃんを呼び、扉が開いた。
待たされるのが嫌いな姉ちゃんが、不機嫌になっていないか心配だったけど、なんとも穏やかな表情だった。
「お話、終わりましたか?」
「ああ、待たせてすまなかったね」
「いえ、全然。じゃあ、ショウゴ連れて行きますね」
「頼むよ」
姉ちゃんに連れられ、ラボを出た。
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「よいしょっと……」
姉ちゃんの肩を借りながら、ベッドに横になる。少しずつ動く様にはなったけど、まだ人の手を借りないと難しい。
「ふぅ、あんた太った?」
「そういうこと言うなよ。ちょっと傷つくだろ」
「うるさいわよ。じゃ、仕事あるから行くわね」
「うん、ありがとう」
そそくさと病室を出て行った。
忙しいみたいだな、やっぱり。
他の人も任務とかあるだろうし……なにもやることないと、退屈で仕方が無い。
そうだ、ジーナさんのあれ……うう、今思い出しても顔が熱い。わっしなんかでいいんだろうか……。別にかっこいい顔してるわけじゃないし……。
「はぁ、わかんないなぁ……」
「何がわからないんですか?」
「のわぁ!?か、カノン?それに、アネットにフェデリコも。いつの間に」
ベッドの横に気づかぬうちに三人がいた。
心臓に悪い……
「ついさっきです。お見舞いに来たんです!あ、クッキー焼いて来たので、どうぞ」
「ああ、ありがとう」
「ショウゴさん、もう体は大丈夫ですか?」
アネットが心配そうに聞いてくる。
苦笑いを浮かべて、見ての通りと答えた。
「すいません……僕たちが、早く到着していたら……いたっ!?」
フェデリコに左手でチョップする。
ネガティブなことを言うネガリコに制裁だ。
「フェデリコ、わっしがこうなったのはお前達のせいじゃない。わっしが選んで、こうなったんだ。お前が責任を感じることじゃないさ」
「ショウゴさん」
「大体、同期なんだから敬語はやめてくれよ。アネットも」
「「は、はい!」」
いつになったら敬語がとれるんだか……
「しょ、ショウゴさん。私も敬語じゃない方がいいでしょうか!?」
「カノンはそのままでいいよ」
「はわぁ!どうしてですか!?」
なんとなく、カノンのタメ口は誰かに怒られそうな気がするから……
カノンは敬語。反論は認めない。