GOD EATER 〜煌めく波と手向けの花〜 作:sha-yu
ショウゴが生体コンピュータにならなかったらこうなっていたんじゃないかというGE2の妄想。
「よいしょっと!」
両手に持ったロングブレードでピターを斬り伏せた。
ふう、いくら人がいないからって、一人で相手するアラガミじゃないだろうに……。
『アラガミの反応消失。ショウゴさん、お疲れ様でした』
「ヒバリさん、サテライトに被害は?」
『ショウゴさんが迅速に対応してくれたので、被害はゼロです」
「了解。念のため外周回ってみるよ。新しいアラガミが近づいたら、また連絡入れて」
『はい、お願いします。あ、それと……』
「ん?」
『極東支部で待ってますよ。奥さんが』
「はは、了解。すぐに片付けて戻るって伝えてください」
通信を切り、わっしはサテライト拠点の外壁の点検を始めた。
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極めて迅速に点検を終えて極東支部へ戻ると、仏頂面で出迎えてくれる我が姉がいた。
なんで不機嫌なんでしょう……。
「ね、姉ちゃん……ただいま」
「ねぇ、私言ったわよね?しばらく
これ、というのは新しい神機パーツ、ヴァリアントサイズのことだ。例によって例のごとく、わっしは神機のテストを姉に任されていた。
「いや、ほら、今回はかなり急を要する任務だったし、わっし一人でピターを相手しなきゃいけなかったから……」
「言い訳はいらん!」
「いってぇ!?」
脳天に振り下ろされるスパナ。神機使いじゃなかったら死んでるぞ、全く……
「はぁ、もういいわ。明日はちゃんと使ってよ。ほらジーナ待ってるんでしょ?早く行きなさい」
「うん」
この人使いの荒さ……どうにかならんものか……。
殴られた頭をさすりながら、エントランスへ向かうと、最近極東支部へ配属となった新人2人が、何やら言い争いをしていた。
「エミール!なんであんた、あそこで突っ込むのよ!あの時は距離をとって、バレットで十分仕留められたでしょ!」
「そんな卑怯な真似を、騎士である私ができるわけないだろう」
「あんたの銃は何のためについてんのよ!」
ああ、またやってる。コウタも大変だな。こんなじゃじゃ馬2人をまとめなきゃいけないんだから。
「ほらほら、2人とも。喧嘩はそこまでにしな」
「ショウゴ先輩!でも、エミールが……」
「2人とも新人なんだから、今は自分の戦い方を見つけることに集中しな」
「さすが我が盟友!わかっているじゃないか!」
「だが、ちゃんと銃使えよ。突っ込んでばかりじゃ、命がいくつあっても足りないぞ」
「う、うむ……心した」
「じゃあ、わっしはヒバリさんに報告書届けなきゃいけないから、これで」
2人にそう断りを入れ、ヒバリさんの元へ向かった。
「はぁ、本当にショウゴ先輩頼りになるなぁ。どっかの誰かと違って」
「はっはっは、我が盟友なのだから頼りになるのは当然さ」
「はぁこんな奴とじゃなくて、ショウゴ先輩と仕事したいなぁ……これで結婚していなければ……」
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ヒバリさんに報告書を渡し、自分の部屋のあるフロアへ向かう。
1週間ぶり、かな。
わっしは各地のサテライト拠点の防衛。
ジーナは新しいサテライト拠点候補地の捜索……明らかに、ジーナの仕事の方が危険度が高い。
でも、わっしの特性上、極東を離れるのはダメ……らしい。まぁ、希少価値なのはわかるけど……。
部屋の前に立ち、ノックする。
数秒後、扉が開きトンッと体に軽い衝撃。そして口に柔らかい感触。
「んっ……はぁ……。おかえり、ジーナ」
「ええ、ただいま。ショウゴ」
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コーヒーを淹れ、2人で部屋のベッドに腰掛ける。
お互いにコーヒーをすこし啜ると、ジーナがわっしに体を預けてくる。
「久しぶり、この感じ」
「1週間だからね」
「ええ。ショウゴといれないのは、本当に辛いわ。朝起きたら、あなたの顔が見れないんだもの……」
「わっしだって……寂しかった」
「ふふ」
お互いに微笑み合い、どちらからともなくこの1週間の話を始める。
「姉ちゃんが新しいパーツのテストしろって、さっきもドヤされた」
「なんていうパーツだったかしら……さっき聞いたんだけど」
「ヴァリアントサイズだって。鎌なんて使ったことないから、勝手がわからないよ」
「それでも、1週間もすれば使いこなすんでしょ?」
器用貧乏とは、こういうことを言うのかな。
「はは、どうだろうね。そっちは、どうだった?」
「いい候補地は見つからなかったわ。地形や気候を見ても。めぼしい拠点はほとんど出尽くしてしまった感じね」
「そっか……わっしも手伝いたいけど、守りを薄くしてしまうのは得策じゃないだろうし」
「大丈夫よ。そんなに危険はないんだから」
「でも……」
「私はショウゴの方が心配よ?」
「え?」
わっしの方がって……。
「ヒバリから聞いたけど、一人でアラガミと戦ってるんでしょ?」
ヒバリさん、話したのか……。
いつも一人ってわけじゃないんだけど……
「緊急のときは……」
「無茶しないで。あなたがいなくなったら、私は生きていけないわ」
「ジーナ……」
「今は、あなたとのつながりが、生きてる実感をくれているんだから……」
そう言って抱きついてくるジーナ。
ふぅ、こんなことを言われたら、本当に無茶できないじゃないか。
「うん。ごめん」
「……ねぇ、明日は?」
「非番だけど?」
「それじゃ、私にもっと実感させて。生きてるって」
「ああ」
ジーナの唇をそっと奪い、そのままベッドに倒れこんだ。
突発的に書きたくなったから書いたけど……まぁ、ジーナが書きたかっただけ。
GEオンリーイベント行きたかったなぁ……