寝取られエロゲ世界にTS転生したら幼馴染が竿役間男だった件について 作:カラスバ
雪、香る季節
復活DA!!
という訳で私はようやっと学校生活に復帰する事となった。
とはいえ学校のクラスの連中でも仲が良い奴は適当なタイミングで病室にやってきていたので、なんて言うか「やっとか」って感じはしなかった。
あるいはそれは聖園あかりちゃんがいて私を退屈にさせなかったからかもしれない。
なんにせよ、私は学校へとやってきた。
久しぶりなので学校の授業に付いて行く事が大変――という事は流石にないけれども。
とはいえ、ここ数か月いない間にクラスの空気は変わったみたいで、それに対して違和感は覚えた。
これなら、多少無理でも早く退院するべきだったか?
いやでもなんか皆過保護で病院から出してくれなかったんだよなー。
「よ、よぉ」
と、教室に着いて早々話しかけてくる奴がいた。
えっと、彼は……
「シュガー&ソルト君?」
「なんだその面白くない面白動画配信者みたいな名前は!」
「いやなに、その矛盾していそうで矛盾していない言葉は……佐藤太郎だけに、シュガーとソルト?」
「別に俺は佐藤太郎じゃねえからな!?」
そして相変わらず彼の名前は憶えていなかったが、とにかく夏休みの夏祭りで会った連中の一人だという事は分かった。
「その、大丈夫なんだよな?」
「え、心配してくれてたの?」
「そ、そりゃあ心配するだろ! だ、だってその。俺が原因みたいなところ、あるし」
「はー」
まったく、もう。
私は額に手を当て目を瞑り、それから彼を下から目線で見る。
「別に、貴方が悪いんじゃない。私が勝手に不注意であんな目にあったんだから、貴方が気に病む必要は、ない」
「ぅ。で、でも」
少し意地を張っているのか顔を赤くして反論しようとする彼に私は先回りして「もし罪悪感があるなら」と言う。
「これから、仲良くしてよ佐藤太郎君」
「……森川歩人だよ」
「ん、分かったモブ人君」
「…………もうモブ人で良い」
という事で、彼の名前は今からモブ人と言う名前になったのだった。
マジでか良いのか。
で、そうこうしている内に遅れてやってきた黒男が登校してきた。
何となく話し込んでいた私とモブ人を見て「なんだこいつ?」みたいな表情をする。
「おっす黒男」
「よ、よー黒男」
「……」
じっとモブ人の方を見、それから私の方を見る。
それから「はぁ」と溜息。
「……仲良さそうだな」
「クラスメイトだしね」
「わ、悪い。邪魔だったよな? 俺、どっか行くわ――」
「え、良いのに。一緒にまだお話しない?」
「……殺す気かこいつ?」
何やら小さく呟いたが、あくまで独り言だったようで聞き取れなかった。
その代わりにモブ人は黒男の方を見て、
「そう言う訳だから、よろしく頼むわ」
「……よろしくしたくねぇ」
「ちょっと黒男?」
「歩夢、ちょっと来い」
「え、ちょ」
と、黒男に手を引かれて教室の外へと連れていかれる。
あともう少しで登校時間が終わるからか、登校してくる生徒は疎らだ。
「なんであいつと仲良さげなんだよ」
「なんでかな」
「なんでかなって」
「いや、普通に話したら面白い奴だなーって、それくらい?」
「……そう言えばお前はそういう奴だったよな」
この野郎、とジト目で見てくる。
「歩夢」
「んー?」
「俺とお前は、その、幼馴染だよな」
「何を当然なこと言ってるの?」
きょとんとして首を傾げる私に彼は続ける。
「じゃあさ、その。もう少しで来る――」
と、そこで彼の言葉を遮るように「きんこん、かんこん♪」と鐘の鳴る音がする。
私が「あ、もうホームルーム始まるね」と言い彼の方を見ると、何やら黒男は口をもごもごとさせていた。
どうやら話を強引に切り上げられた事がショックだったらしい。
「大事な話だった?」
「い、いやいや! 別にそういうのじゃないかな!?」
「んー?」
「と、とにかくさ。お前も付き合う相手は選べよ?」
「私だって子供じゃないもん。危ない人には近づかない、分かってる」
「……よくよく考えるとお前の方が危ない人だよな」
「なにか言った?」
「いや、なにも」
とにかく、もう学校の登校時間が終わりホームルームが始まる。
私達は一緒に教室へと戻り、自分の席へと着くのだった。