寝取られエロゲ世界にTS転生したら幼馴染が竿役間男だった件について   作:カラスバ

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嚙み合わない歯車

 ……なんか最近、黒男の様子がおかしい。

 

「おかしくない?」

「イヤ、私に聞かれても困るわよ」

 

 よそよそしいというか他人行儀というか、とにかく私に対しての態度が変なのだ。

 

「変じゃない?」

「なにがよ」

「お母さん、何か知らない?」

「知ってたら既にその事を話しているわよ」

 

 苦笑するお母さんを見て、それもそうかと私は頷く。

 なんにせよ彼の様子が変なのは変わりないし、いつもと同じ態度で接してくれないから私にとってはかなりストレスになっている。

 いっそこう、お猿さんになって襲い掛かってくれる方がこちらとしては対処しやすいとすら思っている。

 それならば普通に殴ってしまえば良いからね。

 ただ距離を置かれているとなると、まずこちらから近づかなくてはならない。

 しかしそれでもなおの事距離を置かれるから反応に困る。

 マジか、絶対避けられてるじゃんこれ。

 

「んー……」

「ねえ、歩夢?」

「なぁに、お母さん」

「そんなに不思議に思うのならば、直接聞きに行けばいいじゃない」

「いやでも、それだと避けている本人に悪くない?」

「避けているって事は何かやましい事があるって訳だし、それは貴方も関係しているのだから、それを知る権利くらいはある筈よ」

「そう、かなぁ……」

「もしくは本当に知られたくないのならば、最初から「止めて」と言っている筈。それをしないって事は、あるいは貴方に知って欲しい、追及して欲しいって思っている可能性もあるわ」

「あー……」

 

 確かにそれはありそうだ。

 黒男って若干ツンデレが入っているし。

 まさか厨二よりも先にツンデレになってしまうとは思って見なかったけど、だけどそんな人物だからこそこちら側から近づいて問い詰めるのも大切な手段となって来るのかもしれない。

 

「そかそか……うん、ありがとうお母さん。何をすればいいのか分かったかも」

「ええ、それなら良かったわ。良い話があったならば、ちゃんと後で聞かせなさいね?」

「うん」

 

 頷き、それで早速私は家を出て彼の家へと向かう事にする。

 今日は日曜日、彼も家にいる筈――

 

 

「……ん?」

 

 彼の家を見ると、何やら黒男の自転車が置かれていないのが見えた。

 どうやらどこかに出掛けているらしい。

 

「んー……」

 

 なんか、出鼻をくじかれてしまったような気分だ。

 え、っとどうしよう。

 

「……遊びに行こうかな」

 

 という事になった。

 とはいえ、公園とかではない。

 折角なのでここは私も自転車に乗ってショッピングモールに出掛ける事にする。

 もしかしたら黒男に出会えるかもしれないとか、考えてはいない。

 

 そして数分後、私はショッピングモールに辿り着いたのだが。

 

「モブ男君?」

「モブ人だよ!」

「モブなのは良いんだ……」

「あだ名としてこちらも受け入れたからな……」

 

 なんかモブ男、もとい、モブ人君と出会った。

 正確には歩人君。

 まさかこんなところで出会うとは……

 

「いや、お前今日は一人なのか?」

「一人だと悪いの?」

「いや、もしかして黒男が一緒なのかなって思って」

「……別に、あいつと常に一緒な訳じゃないよ。私だって一人の時はあるし、あいつも一人の時だってある」

「そう、か」

 

 神妙に頷いた彼は――そこでぎくりと身体を硬直させる。

 何やら私の背後を見ているようだ。

 私は彼の視線の先にあるものに興味を引かれて後ろを振り返り――

 

「あ、こら!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぇ?」

 

 黒男とあかりちゃんが仲良さそうに、まるで仲の良い友達であるかのように拳を当て合っている姿を、私は見た。




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