寝取られエロゲ世界にTS転生したら幼馴染が竿役間男だった件について 作:カラスバ
今年もヨロシク……
「むっすー」
ずるずるずるずる。
ショッピングモールで購入したドリンクを啜る。
腹立たしい事に購入した店は紙製のストローを採用していたらしく、だから二重で気分が最悪だった。
「そ、その、な。機嫌直せよ」
現在、ショッピングモールから少しだけ離れた場所にある公園の中にあるベンチに腰かけていて、その隣にいる彼はどことなく気まずそうにモジモジしている。
「……ラクトアイス君」
「もはや原型がほぼない上に、せめて旬な時にそう言う間違いをしてくれ。歩人な?」
「歩人君、あの二人何してたんだと思う?」
「ぅえ!? え、えとその。遊びに来てたんじゃないかな?」
「……だよねー」
だとは思っていた。
そしてこの状況、私には都合が良い筈。
恐らく毒島黒男と言う人物は既に竿役間男として覚醒しているのだろう。
まあ、実際のところ言うと聖園あかりちゃんはまだ主人公たる平井直人とは遭遇していないと思われるので寝取られどころかBSSですらないのだが。
ともあれ、竿役としては頑張っているのかもしれない。
小学生で竿役とかすげーなおい。
最近の小学生は進んでんなー。
うん。
私も彼が美少女達をその肉棒で食い散らかすその様を期待していたのは事実。
だから今、私が落胆を隠しきれていないのはやはり彼が私の見ていない間に関係を進めていたからだろう。
そうに違いない。
でないと説明がつかないのだから。
うーん、なんだかいつの間にか関係を見ていない間に進められていて、完全に私は外部の人間みたいになっている。
いや、実際外部の人間なんだけど。
あるいは私はただのモブ、原作では彼の竿の中毒になっていた女の一人なのかもだけど。
そうだ、うん。
なんていうか、久しぶりに自分の事を見つめ直した気がする。
私はあくまで傍観者。
よくよく考えてみると、私って結構彼に近づきすぎているんじゃないだろうか?
その状態の方が観察しやすいってのもあるけれども、しかしだからといって接点を持ち過ぎては本末転倒な気もする。
だから、少しだけ彼とは距離を置くべきなのでは?
やっぱり、幼馴染という関係だけを残してしばらく彼とは離れておくべきなんじゃないだろうか。
幸い、今の彼は聖園あかりちゃんと仲良くなろうとしているんだから、私の入り込む隙間はないだろう。
うん、だからいい機会だ。
私、ちょっとだけ彼とは離れて様子を見て見よう。
「ごめん、歩人君。心配かけた」
「大丈夫、なのか?」
「それよりさ、折角こうして会ったんだし、どこかで遊んでかない?」
「……大丈夫なのか?」
「なにが? ――ほらっ、この公園初めて来たけど、面白そうな遊具結構あるじゃん! だから――」
「――歩夢?」
声を掛けられる。
今、最も聞きたくない声だった。
それでも私は出来るだけ平静さを装いながら、声のした方向へと振り返る。
「あ、毒島君じゃん。どしたの?」