寝取られエロゲ世界にTS転生したら幼馴染が竿役間男だった件について   作:カラスバ

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運命との出会い

「あは、えいっ!」

「ちょっ、てめえいきなり何しやがる!」

「あははっ、悔しかったら捕まえてみろってんだよぉ!」

「待ちやが――ってなんで水の中でそんなに早いんだお前!?」

「はっはっは! あのさー、黒男!」

「なんだよっ!」

「帰らない?」

「……いきなりテンション駄々下がるのやめろ、びっくりするだろうが」

 

 近くまで寄ってきた黒男がジト目で見てくるけど、だって仕方がないじゃないか。

 元々運動、苦手なんだ。

 出来れば一生家の中にいてゲームやってたい。

 つまるところ、やりたい事が出来ないからテンションが駄々下がっているってだけとも言う。

 

「飽きた」

「飽きるの早過ぎだろ、まだ流れるプール一周もしてないぞ?」

「ぷかぷか浮いて流されるままとか何が楽しいの?」

「……じゃあ、あっちの普通のプールに行くか?」

「あっちはあっちでただ同じ場所を行ったり来たりするだけで虚しい気持ちにならないかな」

「我儘言うなや」

「まさか黒男に我儘言うなって言葉を言われるとは思ってもみなかったよ」

「お前は俺をどんな人間だと思ってんだこら」

「それはともかく」

「おい」

 

 私はちょうど近くまでやってきていた坂を上り、プールサイドの上へと移動する。

 一緒についてきた黒男に「こうしない?」と提案する事にした。

 

「黒男はとりあえずここで泳いでいるとしよう」

「なんかロクな事考えてないような気がするが、続けろよ」

「私は上にある休憩エリアでその姿を見ているとしよう」

「いやお前、絶対ゲームするから俺の泳いでいるところ見ないじゃん」

「私を信じてっ!」

「日頃の行いが悪い」

 

 ばっさりだった。

 なんてこったい。

 

「ていうか別に泳いだとしても泳がなかったとしても、その真偽をお母さんは分からないんだよな」

「残念ながらそこら辺は正直に伝えてくれとお願いされてる」

「私とお母さん、どっちが大切なのっ!」

「……いや、それはともかく」

「何故ちょっと言い淀んだ?」

「それはともかく!」

 

 黒男はむきになったように顔を赤くしながら言う。

 

「まだ時間、9時半をちょっと過ぎたばかりだぞ。一体どれだけゲームで時間を潰すつもりなんだよ。バッテリー持つのか?」

「む」

 

 実を言うとバッテリーの交換時期が近づいているこのゲーム機、満タンまでチャージしても一日持たない。

 ていうか経験則的に半日も持たないと思う。

 そういう事が分かっているならさっさと交換しろよって話なのだが、面倒臭がりを発揮してしまって今までそのままになっていた。

 まさかそのつけが今になってやって来るなんて。

 

「だけど、プールで時間を潰すのにも限度がない?」

「それはほら、途中でサウナに入るとか」

「避暑の為にやって来たのに暑いところに率先して入る理由がない気がするけど――うーん」

 

 どうしたものか。

 なんとかして黒男を説得してこのプールから脱したい。

 だけどこの感じだと上手く丸め込めそうになさそうだし――ん?

 

 ころころ、ころころ。

 

 そこでプールサイドの上を浮き輪が転がって来て、ちょうど私の足元で止まる。

 拾い上げて転がってきた方向を見ると、私達よりも年上の女の子がこちらにやって来るのが見えた。

 ぱっと見、中学生くらいだろうか。

 茶髪の髪をサイドポニーにしているその女の子はこちらにやって来るなり、「すみません」と頭を下げてくる。

 

「浮き輪、拾ってくれてありがとうございます」

「いえいえ」

 

 別に転がって来たものを拾い上げただけだし。

 私はそれを彼女に返却すると、そこで一組の男女がやってきた。

 いや、この場合は追いついたと言うべきか?

 雰囲気的に中学生の女の子と知り合いらしいその二人。

 

 一人は小さな女の子だ。

 多分私達よりも年下で、とても可愛らしい外見をしている。

 隣の男の子の腕を掴んでいるが、もしかして兄妹だろうか?

 

 そして、そのまさに腕を掴まれている男の子を見、私は衝撃を受けた。

 それは直感であり、何より確信だった。

 私は、この男の子を知っている。

 今まで見た事がない、それこそ前世の時から見た覚えはない筈なのに。

 そしてその男の子が何者かを察した時点で、この三人がどのような人物であるのかを私は理解したのだった。

 

 

 この男の子は、この世界の主人公だ。

 名前は――分からない。

『闇に蕩かされる愛しい花束』の主人公の名前はプレイヤーが入力して決められたからである。

 

「っと……貴方、名前を聞いても良いかな」

「え、俺?」

 

 いきなり名前を聞かれた彼はきょとんとした顔をする。

 しかし彼はその分からない状態のままで自己紹介をしてくれる。

 

「平井直人、だけど」

「ひらいなおと……」

 

 私はその名前を復唱する。

 なるほど、平井直人――覚えたぞ。

 彼が、主人公か。

 そしてこの二人の美少女こそ、黒男に寝取られるヒロイン。

 

 小鳥遊沙耶、そして高原璃々。

 

 姉弟のように仲が良さげな三人だったが、彼等の関係は幼馴染。

 その関係を、将来黒男はその竿で壊す事となる。

 

 しかしそれはあくまでゲームの話であり、ここは既に現実の世界だ。

 一体三人はどのような人間なのだろう。

 興味が尽きない。

 

「あの、もしよろしければ――」

「帰るぞ、歩夢」

 

 ――と。

 

 何故かあからさまに不機嫌そうな黒男が言う。

 そして私の返答を待たずにぐいっと私の腕を掴み、出口に向かって引っ張っていく。

 

「ちょ、ちょっと……?」

 

 私は驚き尋ねるが、しかし彼は答えない。

 結局男女の更衣室が別れる場所まで強引に引っ張られ、そこになってようやく解放された私は改めて彼に尋ねる。

 

「どうしたの?」

「……いや、何でもない」

「いや、でも」

「何でもないって言ってるだろ!」

 

 すっと視線を逸らし、ぶっきらぼうに答えた彼はそう一方的に答え、それから一人で更衣室へと向かってしまう。

 残された私は訳が分からず首を傾げるほかなかった。

 

「……?」




あったかもしれないある日の出来事

――公開前

執筆役「寝取られエロゲの世界にTS転生して間男を更生させる物語書くわ」
作画役「それなら清楚で清純キャラが良いんじゃね? それなら描いてやるよ」
執筆役「おかのした」

――公開後

作画役「どうして俺の歩夢たそがどスケベ爆乳キャラになってんだよ!?」
執筆役「わ、分からないっピ……」
作画役「ていうかこっちは清純キャラで描き始めてるんだけど」
執筆役「なにこの貧乳キャラ」
作画役「巨乳だろうが、寝取られエロゲのし過ぎで脳がバグってるのか?」
執筆役「さ、最近は寝取られ音声作品も聞いてるから……」
作画役「全年齢ASMRでも聞いて感性をチューンしろ」
執筆役「……耳舐めASMR聞いてくるわ」
作画役「違う、そうじゃねえ」


そう言う訳で、作画役絶賛苦戦中だったり。

爆乳キャラって描くの難しいよね。

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