鷲尾須美は勇者である ークラスメイトの章ー   作:あるふぁなな

1 / 1
女生徒A

 神世紀298年10月

 

 三ノ輪銀の告別式が終わったあと、クラスメイトと一緒にお勤めを行っている彼女らへ、何か勇気づけられることはないかと話し合った……

 横断幕を手渡し、彼女らと仲良くなることができたあの日、彼女らはいなくなった…

 翌日、安芸先生から伝えられたのは2人との別れだった…

 

 三ノ輪さんのように告別式もなく、お別れの言葉をいうこともできないまま2人はひっそりといなくなった…

 なぜ三ノ輪さんだけ大々的な告別式があったのか?お勤めによって死んでしまった初めての事例だったからだろうか?疑問を考えるうちに新たな疑問を呼んだ…

 

 そんなことを考えている間に3人のいないままクリスマス、お正月、卒業式と目まぐるしく行事が過ぎていった…

 中学校は内部進学組が多く、入学するとまたいつもと変わらない日常生活が待っていた。そのうちに私達は彼女ら3人のことをすっかり忘れてしまった。

 

はずだった……

 

 あの日から2年と数か月が経ち、もうすぐ3年生になろうという神世紀300年のお正月、母の実家へ帰省した際に目にしたタウン誌に掲載されていた記事、そこにはどう見ても鷲尾須美としか思えない人物が写っていた。

 その人物は讃州中学勇者部という聞き馴染みのない部活動に所属しているらしい…勇者…詳細は大赦によって伏せられていたため、どのようなものだったのかわからないが、彼女の御役目も勇者と呼ばれていた…

 

 偶然だろうか?

 

 たまたま見かけたあの人物のことが寝ても覚めても頭から離れず、何か手掛かりがないかどうか調べてみたところ、讃州中学勇者部のホームページを見つけた。

 

 そこには勇者部のメンバー紹介のページにそれぞれの名前と簡単な自己紹介が書かれていた。

 残念ながら、鷲尾須美に似た人物は東郷美森という名前であったため、かなりそっくりな生まれ変わりとも言える別人であったが、一人懐かしい人物が写っていた…

 乃木園子…彼女も鷲尾須美と同じ日に英霊となったと伝えられた人物だ…

 乃木の名字は大赦において最も位の高い家系の一つであり、分家などで比較的多い名字であるが、見た目や名前、年齢まで一致することなどそうそう無いだろう…

 

 なぜ?死んだはずでは?様々な考えが浮かぶよりも前に「生きていてくれてよかった…」そう心から安堵する気持ちが自然と湧いてきて、涙が止まらなかった。

 

 新学期、学校が再開し、当時のクラスメイトで今も仲のいいCにこのことを話すと、泣いて喜んでくれ、当時のクラスのみんなを集めて伝えることを提案してくれた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。