ローカル役でしかあがれない   作:エゴイヒト

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月の霊圧が……消えた……?

 

 夜。私は千里山女子高校が宿泊しているものとは別のホテルへ足を運んでいた。ホテルのロビーで、一人の執事と会う。

 

「お待ちしておりました」

 

 龍門渕家が大金持ちだということは聞いていたが、まさか本物の執事にお出迎えされるとは。本名は萩原さんだが、よくハギヨシと呼ばれているらしい。彼が目当ての一室まで先導する。

 

「待ち侘びたぞ」

「いらっしゃいまし」

「ようこそ」

 

 案内されて入室した中では、浴衣を着た龍門渕透華さん、天江衣さん、国広一さんが待っていた。今日はこちらにお邪魔して寝泊りすることになっている。ちゃんと監督や部員に話はつけてきた。歓迎を受けた私は挨拶を交わした後、早速本題に入る。

 

「もう夜遅いし、いきなりだけどやろうか」

 

 ここへ来たのは他でもない。天江衣と麻雀を打つためにきた。昨日、2回戦が終わった後に彼女達から接触があり、そこで対局を申し込まれたのだ。私自身、いつか彼女とは戦いたいと思っていた。去年は団体戦で戦う前に敗退していたし、個人戦には出ていなかった。彼女達は地区大会で宮永咲が倒した相手。既に格下と分かっている相手と戦う分には躊躇いはない。彼女達の要望と私の要望が見事に嚙み合った形だ。

 

 既に卓は用意されていて、席決めをしたらすぐに開始する。

 

 

 東1局 親 一 ドラ{④}

 

 地区大会の試合を見る限り、天江衣の能力は『他家を聴牌させない能力』と『海底で自摸和了る能力』。『十三不搭』のお陰で"見"に回るデメリットは軽減できる。まずは様子見といこう。

 

 15巡目 藍 西家 手牌

{一二三456⑦⑧⑨南南発発}

 

 なんとか聴牌はできた。これは事前の情報にもあった通り。天江衣の支配は局の間ずっと続くとは限らない。流局間近になるとこうして聴牌ができることもある。しかし残りの自摸回数からして和了るのは不可能か。

 

「ツモ」

 

 18巡目 衣 南家 ツモ

{一一五六234789⑧⑧⑧} {四}

 

「海底撈月」

 

 結局誰も鳴きを入れることはできず海底牌が衣に渡った。

 

「これは梃子摺りそうだなあ」

 

 この支配下で『八連荘』をすることは不可能に近い。その他の『ローカル役』を由来とする能力は聴牌や和了を補助する能力が大半。どれも天江衣の支配を打ち破るには向いていない。『十三不搭』の重ね掛けなら高まった支配力で力押しできるだろう。しかし飛び終了ありの25000点スタートでは、悠長なことをしている内に天江衣の連荘で終わってしまう可能性が高い。

 

「おや、チャンピオンさん。もう音をあげるのかい?」

 

 親を流されたのは自分なのに煽りを入れてきたのは、星のタトゥーシールを付けた少女、国広一。彼女が特殊な能力を持っているという情報はない。外見は私より『トリックスター』感あるのに。ところでさっきから気になってたんだけど、その手錠は何? そこはかとなく闇を感じるけど、触れない方がいいのかな。セーラなら躊躇いなくツッコミを入れるんだろうなぁ。

 

「まさか」

 

 

 東2局 親 衣 ドラ{3}

 

 

 『十三不搭』に頼らずとも、私には支配系と対局したら取り敢えずコレ、という対支配系用の汎用的な能力が一つある。今、それを使う。

 

「何、この圧力。まるで衣が二人……!?」

 

 能力というものは、相手によっては通用しない可能性を考慮しなければならない。どこまでの相手なら通用するかは実際にやってみないと分からないのだ。支配系能力は珍しいから、こうして対局できること自体が貴重。当然相手をした回数も少なく、ましてこのレベルの支配力を発揮する手合いはほとんどいない。私が天江衣との対局を受けたのは、こうして自分の能力を研究するためでもある。

 

 ――18巡目。

 

「ノーテン」

「ノーテンですわ」

「ノーテンだよ」

「衣もノーテンだ。一体何が起きているのだ、これは」

 

 4人全員がノーテン流局。普通ならままあることではあるが、この卓においては異常だった。

 

「衣がノーテンなんて珍しいですわね」

「それより君の方がおかしいよ。全部自摸切りってどういうつもり?」

 

 私はこの局、18牌全てを自摸切った。それでいてノーテンという珍事。こんなことが起こるケースはまずない。いや、配牌時点で好形変化のない一向聴で衣ちゃんの支配により手が進まなかった……とかならありうるのか?

 

「ノーテンでよくもそこまで押せましたわね。結果的に衣も張ってなかったとはいえ、親の安牌を引き続けるなんて凄い強運……」

 

 胡散臭いものを見るような目で私の河を睨んでいた龍門渕さんが、突然固まる。かと思えばキョロキョロと卓上に視線を迷わせる。

 

「透華? どうしたんだい」

「2人の河を見てくださいまし!」

 

 龍門渕さんが私の河を指さす。

 

 藍 河

{南西北発白①}

{東9一1九2}

{⑧3南②1白}

 

 今度は衣ちゃんの河を指さす。

 

 衣 河

{南西北発白①}

{東9一1九2}

{⑧3南②1白}

 

 

「河がまったく同じ!?」

「おやおや、今の今まで気づいておられなかったようで」

 

 先の意趣返しで煽り返してやる。偶然でこんな現象を起こすことはまず不可能。当然これは私の仕業だ。

 

 

 『真似満』。

 

 子が親と同じ河を作ることで成立するという異質なローカル役。流し満貫のような特殊な和了りの一つだと思ってくれていい。子が子を真似しても認められたり、鳴きが入った時の取り決めをどうするかなど様々な面でルールが曖昧な役であり、採用する際は事前に取り決めるよう十分注意されたし。

 

 どこまで真似続ければ役として成立するか厳密な定義はなく、現実的に可能な5~7巡目までとするのが一般的だ。点数は名前の通り満貫である……と言いたいのだが、やはりこれもそう簡単にはいかない。長く真似るほど点数を上げることもある。その場合は飜数に則って5巡目まで続けたら満貫、6~7巡目までなら跳満、8巡目で倍満にするべきという主張もある。しかし同じ牌を捨てることに成功した時点で和了り扱いになる以上、この例なら5巡目で既に和了っていることになるはずだが、6巡目が来るということは和了り見逃しができるということになる。その場合5巡目までは真似られたが6巡目は真似られなかった場合、和了りは無効となるのかの取り決めは事前に行っておくべきだ。

 

 

 元となったローカル役がそうであるように、私の能力としてもかなり異質な類である。まず、系統が珍しい。支配(デバフ)系であると同時に、系統外(アノマリー)でもある。この能力分類自体が私独自の基準なのだが、その基準では分類が困難な能力。それを系統外能力と呼ぶことにしている。

 

 まずは支配系の部分から解説しよう。『自分より自摸巡が先の相手を対象に配牌前に発動でき、直前に対象者が捨てた牌が手牌にないならそれを自摸ってくる』。これがまさに今回起きた私と衣ちゃんの河の異常を引き起こした能力。

 

 また『対象者は配牌で刻子・槓子ができない』、『対象者の配牌にある牌は、配牌完了後に山か私の手にそれと同数以上残る』、『対象者の手に無い牌は山と私の手牌で2つ以上ある時、対象者の手牌にある牌は山と私の手牌で3つ以上ある時しか対象者はその牌を引けない』、『対象者の手に1つあるまたは対象者が直前に捨てた牌が山か私の手牌に2つ以上残っていない時、任意の牌が対象者の手で対子となっている時は第三者がそれを引くことができない』という能力も持つ。

 

 滅茶苦茶ややこしいが、要するに『私が意図的に真似満状態を崩さない限りは対象者と同じ牌を捨てられない状況にはならない』ということだ。

 

 そして肝心の系統外の部分。それは『5巡目まで同じ牌を捨て続けた場合、対象者の全ての能力をその局の間コピーする』というもの。ただし『真似満』とコピーした能力以外の全ての能力が、その局の間消失する。

 

 これによって先の局は『一向聴地獄』が場に二重に掛けられ、衣ちゃんは聴牌できなかった。相手の能力をそのまま返すことで優位性を崩し勝負をイーブンにする。まさに対支配系用のカウンター能力といえる。

 

 だがこれだけでは説明が付かない謎が一つ残っている。5巡目まで真似ればコピーが完了するなら、なぜ流局まで真似たのか。実際、コピー後に真似満状態を解除してもコピーした能力はその局の間は失われない。

 

 その理由こそが最後の能力。『連荘または輪荘まで同じ牌を捨て続けた場合、対象者の全ての能力を次の局(本場)で無条件で使用できる』。無条件、それは当然他の能力が無効化されずに使えるということ。つまり本来持っている自分の能力と合わせて、一局の間だけだが完全上位互換と化す。弱点としては宮永照の連続和了のような、一局で完結しない能力は役に立たないということだろうか。

 

 

 東3局 流れ1本場 親 藍 ドラ{白}

 

 この一局をどう活かすか。真似満はあくまでもコピー。相手の能力を無効化するわけではない。衣の支配から抜け出たわけではないため、依然として聴牌は困難。海底牌で自摸和了るという能力に関しては、互いに取り合うことになる。

 

 この局、聴牌して海底牌を掴むことができた方が和了れるだろう。あるいは海底牌以外の方法で和了るか。私は既に『十三不搭』を2回溜めている。この状態なら、私の方が聴牌に近い。

 

 藍 配牌

{一一223③④⑥東東東白白白}

 

 運が良いことに、配牌一向聴。『十三不搭』のおかげで跳満確定。さらに完全一向聴ともなれば、序盤から鳴きを入れて両面待ちの聴牌を取れる機会が沢山ある。相手の手牌次第だが、こちらが優勢か互角であることは間違いない。

 

「トーカ?」

「透華がまた去年みたいに……!」

 

 龍門渕さんの様子がおかしい。目つきも雰囲気も、人が変わったかのようだ。彼女は一般的なデジタル打ちだったはずだが、何か能力を持っているのか。

 

 ――またしても18巡目。

 

「「「「ノーテン」」」」

 

 全員ノーテンで流局。龍門渕さんと国広さんは『一向聴地獄』が二重に掛かっているから、鳴きなくして聴牌できないのは寧ろ当たりまえ。天江衣2人分の支配に抗えるはずもない。

 

 しかし配牌完全一向聴の私が聴牌すらできないとは。上家の衣ちゃんから{14②⑤}が出ればチー、{一2}ならどこからでもポンして聴牌を取れる。珍しいこともあるものだ、と言いたいが。気にかかることが2つほど。

 

 一つは、東も白も河にでていないこと。私が3枚抑えている以上、持っていれば余る牌。王牌に埋まっていたとか、中盤以降に引いてきて生牌だから警戒して出さなかったと考えれば不自然ではない。東は連風牌で白はドラだし。

 

 もう一つ、これが一番の違和感。私だけでなく全員が鳴けていないということ。とりわけ、私と衣ちゃんは『海底牌を引く』能力が発動している。海底牌は鳴きが入らなければ南家が引くことになる。この局の南家は龍門渕さんだった。私も衣ちゃんも、この局は鳴かなければ海底牌は手に入らない。過去の牌譜を見るに、南家でない時も他家が鳴いて海底牌をずらした時も、衣ちゃんが都合よく鳴いて海底牌を掴んでいた。前の局は私の真似満があったから衣ちゃんは鳴き難かったとしても、この局はフリーのはず。私と衣ちゃんのどちらも鳴けないなんてことがあるだろうか?

 

 総合的に勘案すると、これを一挙に説明できる仮説が浮かび上がってくる。龍門渕さんは『鳴きを封じる』能力を有している可能性が高い。

 

「これは……まずいかも」

 

 何がまずいって、衣ちゃんと龍門渕さんの両名が同卓していることがまずい。どちらか一方なら問題ない。天江衣だけなら『真似満』で何とかなる。龍門渕透華だけなら門前で手作りすればよい。しかしこの2人の支配は噛み合いが悪い、いや良すぎる。衣ちゃんの支配下では鳴けないと聴牌が困難、しかし龍門渕さんの支配下では鳴くことができない。

 

 真面目に攻略法を考えてみる。まず、衣ちゃん。鳴けないというこの状況下なら南1局しか彼女に海底は回ってこないため、次の東4局で『一向聴地獄』をコピーしておくか、南1は捨てて流局まで『真似満』を使ってコピーすればこちらは封殺できる。

 

 次に龍門渕さん。『十三不搭』を数回溜めれば支配を貫通できそうだ。問題は、衣ちゃん一人分の支配下で龍門渕さんが和了れるのかどうか未知数であること。私のコピーを知らなかったためにこの局では和了れなかったとはいえ、ここで発動してきたということは勝算があったはず。国広さん達の様子を見るに任意ではなく条件発動の可能性もあるけど。

 

 残り局数からして『十三不搭』は三倍満が限度。速度や貫通力に勝手に変換されることも考えると、安全マージンをとって倍満和了で見積もっておくほうがいい。オーラスは龍門渕さんが親なので、本場などややこしい要因を無視すると自摸和了り条件にするためには龍門渕さんとは24000点差、他二名とは20000点差に抑えなければならない。龍門渕さんとは現在同点のためそのままだが、衣ちゃんとは現在9900点差。残り11000点差ということは子の跳満以上で即終了、満貫でもツモられたらキツい。しかし警戒すべきは衣ちゃんだけではない。龍門渕さんが衣ちゃんの支配下で和了れるなら、この親で連荘される可能性が高い。そうでなくとも跳満ツモされただけで条件は崩れる。

 

 この状況で残り4局を乗り切らなくてはならない。しかも『十三不搭』という圧倒的ハンデを背負った状態で。まるでコンビ打ちを相手しているみたいに、能力の連携が出来過ぎている。流石に私も分が悪いか。

 

「素直に認めるよ、私の負けだ」

「まだ終わってないのにかい?」

 

 突然の降参宣言に疑問を浮かべる国広さん。先程とは打って変わって茶化してはこない。困惑の方が大きいようだ。いや、というより他のことが気がかりでそういう気分じゃないって感じに見える。

 

 

 誰一人として聴牌することなくその後の全ての局を流局してオーラスを迎える。

 

 南4局 流れ6本場 親 透華 ドラ{4}

 

「ツモ、6600・12600」

 

 藍 ツモ 

{1223344678889} {5}

 

 

 対局終了

小鳥谷藍  46800

天江衣   26300

国広一   14500

龍門渕透華 10400

 

 

 

「って勝ってるじゃないか!」

「いやぁ、正攻法じゃ勝つのは無理だなぁってことだよ」

 

 練習とはいえ対外試合で手を抜いて敗北を喫したなんて知られようものなら、清水谷さんどころか監督や部員の皆にもどやされる。

 

 勝つためには、『真似満』で全部流局させて『十三不搭』で最後に自分だけ和了するという手段を取るしかなかった。やはり龍門渕さんや衣ちゃんに『十三不搭』中に和了られないためにも、念を打って『真似満』で『一向聴地獄』をコピーし続けた。幸い私は衣ちゃんの下家なので、私が親の時以外は衣ちゃんを対象に『真似満』を発動できるし、衣ちゃんが親の時にコピーしておけば親も凌げる。

 

 問題は、この手段を取ると最後まで既定路線で動きが無さ過ぎるということ。何より、単純にやってて面白くない。だからこそ冗談でもなんでもなく、私の負けなのだ。

 

「それより、龍門渕さんのこれは戻らないの?」

 

 東3局で様子が変わったっきりの龍門渕さん。対局が終わっても高飛車お嬢様に戻らないので首を傾げる。

 

「うん。前にもこの状態になったけど、4局ほど打った後気を失うまで透華はずっとこのままだったんだ」

 

 つまり麻雀外でも作用する能力ということか。怜の未来視も麻雀外で使えそうだけど、本人に聞いたことがないので分からない。

 

「国広さん的には、あまり歓迎できる状況じゃないのかな?」

「……ボクは、いつもの透華の方が好きだな」

 

 龍門渕さんのことを憂うその姿に、怜に対して過保護な清水谷さんが重なる。

 

 

 ――能力を使うことはできない

 

 

「月の気配が雲散霧消した……!?」

「あ、れ。私、一体何を」

「透華!」

 

 意識を取り戻した龍門渕さんに、国広さんが抱き着く。荒療治だけど、効果ありだ。

 

 

 


 

 

 

「小鳥谷さん、うちで一緒に働かないかい?」

 

 何故か、国広さんから勧誘を受けている。私が何かをして龍門渕さんを治したということは明らかなので、それが理由ではあるんだろうけど。余計なお世話でないなら良かった。

 

 夜食を食べた後も入浴している間もずっとこの調子で、その度に断り続けている。残念ながら私にメイドの資質はないし、仮に雇われるとしても大阪住まいなので長野に引っ越さなくてはいけなくなる。というか雇用の権限は龍門渕さんにあるのではないのか。

 

「それより藍よ、まだ全然本気を出していないだろう」

「えっ、あれで!?」

「何でそう思うの?」

「去年の個人戦決勝のアレは、藍の仕業だろう。よもや偶然とは言わせぬぞ」

「ああ、そういえばそんなものもあったねぇ。ボクは完全に忘れてたよ」

 

 彼女達が思い浮かべているのは去年の個人戦決勝で一度だけ使い、それ以来公式戦では封印した能力。部内の練習試合では怜相手に偶に使っているが、それでも加減をしている。

 

「それに、先の心髄に響くような託宣。まだ何か隠していると言っているようなものではないか」

「遠慮は要りませんわ。貴女の本気を見せて下さいまし」

 

 元に戻った龍門渕さんはそう言う。

 

「でも……」

 

 彼女達に絶望されるのは困る。この後寝床を共にまでする相手と空気を悪くするのは嫌だ。それとは別に、対局したら龍門渕さんがまたあの状態になりかねないという問題もあるんだけど。

 

「あまり衣を舐めるでないぞ。お前が相手にしてきた人の領域で燻っている者共と一緒にしてもらっては困る」

 

 この場で本気を見せるかどうか。大会でもないこの対局には何の想いも籠っていない。彼女達から望んでいることだし、受けるショックは小さい。龍門渕さんも後でまた戻せばいい。よくよく考えたら問題はないのか。

 

「分かった。半荘一回だけね」

「そうこなくては。満月ではないが、衣も今出せる全力で当たろう」

 

 思えば、最初からこのつもりだったのだろう。こうして対局の場を設けたのも、私の全力を見たかったから。私は天江衣という餌にまんまと釣られたというわけだ。私も彼女達を利用したわけだし、代わりにこちらの手の内を見せるのは妥当な対価。そう思うことにしよう。

 

「清澄に情報工作でも頼まれた?」

「まさか。純粋に衣の興味だ」

「別にいいよ、今日ここで見た事を清澄に伝えても」

 

 知ったところでどうせ何もできない、と後に続けようとして、その言葉は飲み込んだ。

 

「ほう、では入れ知恵するも一興か。その驕傲、仇となっても知らんぞ」

「ぜひお願いしたいね」

 

 衣ちゃんはまるで自分は人じゃないみたいな物言いをしたが、とんでもない。月の加護を受けようが神の力をその身に宿そうが、人は人。

 

 この世には何人たりとも逃れられないモノがある。それは(ルール)。法律、条例、契約、常識、暗黙の了解、約束、物理法則……人は沢山の法に縛られて生きている。

 

 

 

 東2局 対局終了

小鳥谷藍  56000

国広一   24000

龍門渕透華 23000

天江衣   ー3000

 

 つまり法を作る能力(ローカルルール)を持つ私こそ、真の支配者(ルーラー)といえよう。

 






ローカル役でしかあがれない(ローカル役しか能力がないとは言っていない)

それでも納得がいかない方は第1話をもう一度よく御覧下さい。

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