聖グロリアーナのエースが往く、戦車の道と空の道   作:ゲオルギーJr

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新キャラクターが登場します。AWACSに乗った、いわゆる空の審判役です。
それと前作と同じく、『』の括弧は敵味方両方に聞こえる無線を表しています。


聖グロvs知波単 前編

ブリーフィングを終えたサザーランドとメイヨー、それに他の聖グロ空戦道パイロット達は、試合前最後の調整を行っていた。場所は会場から数十キロメートル離れた滑走路で、ここから聖グロの航空機は飛び立つことになる。天気は晴れで、絶好のコンディションだ。

 

「エルロンよし、ラダーよし、フラップよし……」

 

離陸前に搭乗機を点検するサザーランド。彼女が操るのはイギリスを代表するレシプロ戦闘機、スピットファイアMk.24だ。武装はイスパノ20mm機関砲が四門。上昇力、旋回性能、最高速度などあらゆる点で高い性能を誇る。バブルキャノピー*1で視界も良好。聖グロリアーナのエースが乗り込むに相応しい高性能機と言えるだろう。

 

「えーっと、爆弾を投下するときの操作手順は……」

 

その近くで、同じく機体チェックを進めるメイヨー。彼女の搭乗機であるテンペストMk.Vは、アゴのように見える巨大なラジエーターが特徴的だ。武装も同じイスパノ20mm機関砲が四門で、低高度での速度性に優れている。また、合計900kgまでの爆弾を搭載できる。今日の試合では、その爆弾を使用する予定なので、こうして爆撃までの段取りを確認しているのだ。

 

「爆弾もロケット弾もマシマシですわ! これで敵戦車共をフルボッコにして差し上げますわよ!」

 

そして序列二位のパイロット、ウェリントン。彼女の搭乗機はモスキートNF Mk.XIIIは、二人乗りの双発重戦闘機だ。固定武装として機首に四門の20mm機関砲を搭載しているが、最も注目すべき点は爆装量の多さである。翼下に片翼で四発ずつ、計八発の”RP-3”三インチ空対地ロケット弾を装備できる上に、胴体内部のウェポンベイ*2にも500kgまでの爆弾を収容可能なのだ。まさしく戦車キラーである。

 

ちなみに、テンペストやモスキートは対地兵装を捨てた状態であれば通常の戦闘機と同じように空中戦が出来る。このような機体は”戦闘爆撃機”と呼ばれ、状況に応じて対地も制空もこなせる万能機である。現代のマルチロール機の原型とも言えるだろう。

 

 

 

「メイヨー、それとウェリントン。いい?」

 

「どうしました、先輩?」

 

「何の用ですの?」

 

離陸準備の途中で、サザーランドが二人に声を掛ける。

 

「そろそろ試合開始だけど、対地担当の二人は少しタイミングをずらして離陸して欲しいの」

 

「えっ? どうしてですか?」

 

「爆弾を背負った状態で、空戦は無理でしょう? だから最初に私たち制空担当が敵機を減らしておいて、空が安全になってから来て欲しいのよ」

 

基本的に、攻撃機が活躍するのは味方が制空権を取ってからである。もし敵航空戦力が健在の状況で攻撃機が到着しても、ろくに動けず撃墜される可能性が高い。なのでサザーランドは、対地攻撃を担当する二人に遅れて来るよう指示を出したのだ。

 

「一理ありますわね、サザーランド。貴方から命令を聞くのは気に食わないですけれど、ここは素直に従っておきますわ」

 

普段はツンツンしているウェリントンだが、今回は承諾してくれたようだ。

 

「ってことで、私は一足早く離陸するわね」

 

「頑張ってください、先輩!」

 

 

 

いよいよ試合開始の時間だ。サザーランドがグリフォンエンジンを始動させると排気筒から炎が吹き出し、五枚プロペラが回転しだす。スピットファイアが滑走路にタキシングし、離陸体制に入る。同じく制空を担当する二機のハリケーンも後方につく。

するとそのとき何処かから無線が入り、コックピットに声が響いた。

 

『聖グロ及び知波単の空戦道パイロットの皆さん、こんにちは! 私は陸上自衛隊富士学校富士教導団戦車教導隊から派遣された蝶野亜美(ちょうのあみ)。今日の試合で、戦車道の審判をやるから、よろしくね!』

 

それは試合における審判からの無線だった。戦車道で使用される戦車は撃破されるなどして無力化すると白旗が上がる仕組みになっている。戦車道の審判は、それを見て各車両の走行不能を両チームに伝えるのだ。

今、無線から聞こえた声の主、蝶野亜美は戦車道全国大会をはじめ、多くの審判経験のある人物だ。今回は特殊なルールの試合だが、彼女であれば難なく審判としての任務をこなせるだろう。

 

「戦車道の審判ね……。そういえば、空戦道にも審判っているのかしら?」

 

そうサザーランドが疑問に思ったそのとき、また別の人物から無線が入ってきた。

 

『こんにちは、空戦道パイロットの諸君。この無線は、聖グロリアーナと知波単の両方の航空機に通じている』

 

その声は女性の声だが、先程の蝶野亜美よりやや低めなトーンだった。

 

『私の名は蝶野亜衣梨(ちょうのあいり)、航空自衛隊百里基地第七航空団所属の一等空尉だ。今日の試合で、このE767早期警戒管制機から空戦道の審判をやらせてもらう。よろしく頼むぞ。ちなみに先程の蝶野亜美は、私の姉だ』

 

早期警戒管制機とは、巨大なレーダー設備を搭載したハイテク航空機だ。これにより刻一刻と変わる空の状況が分かるようになっている。今回の試合を成立させるのに必要不可欠な機体だ。

航空自衛隊所属の蝶野亜衣梨一等空尉は、普段は基地でF-2戦闘機に乗り、防空などの任務をこなしている人物だが、今日は特別に審判として参加したようだ。

陸の亜美と空の亜衣梨で、偶然にも蝶野姉妹が揃った形となる。

 

『さて、パイロット諸君。試合を始める前に、細かいルールを再度確認するぞ』

 

全体に通じる無線で、亜衣梨一等空尉が説明を行う。

 

『戦車は10両。航空機は5機ずつ。ルールは殲滅戦で、先に相手側の戦車を全滅させた方の勝利だ。航空機の数は判定に影響しないから注意しろ。それともう一つ。試合中は、今君たちがいる滑走路まで戻り、弾薬や燃料及び爆弾などを補充することが出来る。弾切れや燃料切れになりそうなら、遠慮せず使うと良い』

 

これは空戦道のパイロット達が思う存分戦えるように配慮したもので、試合途中でも爆弾やロケット弾を再装備することが可能となっている。もちろん、滑走路に戻っている間は戦いから離脱することになるが、利用価値はあるだろう。

 

『それとこれはアドバイスだが、このルールでは陸と空の連携が何より重要だ。戦車、戦闘機、攻撃機、対空戦車と、それぞれの得意な役割を意識すると良い。初めてで難しいかもしれないが、お互い健闘を祈る』

 

最後に助言を残したところで、遂にその時が来た。

 

『では、戦車道と空戦道の合同試合。聖グロリアーナ女学院vs知波単学園。試合開始!!』

 

姉の蝶野亜美がそう宣言すると、

 

『聖グロリアーナ及び知波単の各機へ。離陸を許可する!』

 

妹の蝶野亜衣梨がAWACS(早期警戒管制機)から離陸許可を出した。

 

「さあ、いきましょうか!」

 

サザーランドがスロットルレバーを解放すると、スピットファイアMk.24は一気に加速し、離陸していく。

 

「あっ、待ってくださいよサザーランドさん!」

「何て上昇力……。自分の機体じゃ追いつけないよ!」

 

同時に離陸する手筈だった他のパイロット二人を置き去りにして、彼女のスピットファイアはあっという間に上空へと登っていってしまった。

 

 

 

*

 

 

 

周囲を警戒しつつ、まずは高度を確保するサザーランド。

会場から数十キロメートル後方にある滑走路から、相手チームと会敵する戦場までは速い戦闘機でも数分掛かる。その間、パイロットは暇を持て余すのだが……。

 

「聖グロリアーナ女学院のサザーランド、聞こえるか?」

 

なぜか審判の蝶野亜衣梨が無線で話しかけてきた。

 

「はい。何でしょう?」

 

「サザーランド。君の活躍は、噂ながら私も耳にしている。そこで質問なんだが、君は高校卒業後の進路は決めているのか?」

 

いきなり進路について聞かれるサザーランド。とはいえ、彼女も既に高校三年生。質問されるのは不自然なことではない。

 

「今のところ、大学進学を考えています」

 

「そうか。いや、君の戦闘機乗りとしての才能を見込んでだな、将来は是非とも我が航空自衛隊に入ってもらいたいのだが、どうだ?」

 

中学高校と空戦道を履修した生徒は、卒業後に航空業界へ就職することも多い。中には航空自衛官となる者も多く、優秀な高校生パイロットは偶にこうして勧誘を受けることもあるのだ。

 

「うーん……。今はとりあえず進学の予定なので。入隊については考えてないですね」

 

「それは残念。だが我ら航空自衛隊は、いつでも君を歓迎するぞ!」

 

サザーランド本人としては今後も空戦道を続けるために、大学に進むことを選んだ。空自入隊の話は早くとも大学卒業が近くなってからになるだろう。

 

「すまない。余計な話をしてしまったな。審判に戻る」

 

そのまま亜衣梨一等空尉は無線を切った。

 

 

 

「さてと、地上の状況は……」

 

上空を飛行するサザーランドが、味方戦車を確認するために背面飛行に移る。

 

「聖グロの戦車が複数……。真ん中にいるのがダージリンの車両かしら」

 

高度数千メートルからの目視なので車種までは分からないが、ポツポツとそれらしき戦車隊が目視できた。陣形の中央にリーダーらしき車両、つまりダージリンやオレンジペコが乗る戦車がおり、それを複数両の戦車が取り囲むように守っている。

 

「ご機嫌よう」

 

ダージリンも上空を飛ぶスピットファイアに気が付いたのか、無線で挨拶した。

 

「サザーランド。もしこの試合で、わたくしのチャーチル戦車が撃破されることなく勝利できたら、あなたに()()()を差し上げましょう」

 

「ご褒美? よく分からないけど、楽しみにしてるわ」

 

 

 

 

サザーランドが無線で会話していると、空の向こう側から複数の機影が現れてきた。知波単の戦闘機だろう。

 

「さて、ダージリン達にいいトコ見せてあげようかしら!」

 

珍しく張り切っているサザーランド。エースとしての腕前を実際に見てもらえる好機だ。

 

「相手は三機編隊ね。たぶん隼でしょう」

 

知波単側が繰り出してきたのは、三機の一式戦闘機隼からなる編隊。普通であれば一人のパイロットが挑むのは数的に厳しいが、サザーランドは真っすぐ飛行し続ける。

スピットファイアの優れた上昇力のおかげで、高度有利は取れている状況だ。

 

「前方に敵を発見! オモイカネ殿、指示を!」

「この隼軍団にたった一機とは舐められたものだ。散開!」

 

同じタイミングでスピットファイアに気が付いた隼の編隊も、ドッグファイトに入るべく各機体を分散させる。

知波単パイロット達は数の有利を取れているだけあって楽観的だ。だがそれは甘い考えだった。

 

「三機まとめて墜としてあげる!」

 

上方から降下しつつ、隼を追いかけるサザーランドのスピットファイア。その機体に書かれた番号を見たとき、知波単パイロット達は驚愕した。

 

「33番!? まずい、こいつは敵方のエース!」

「聖グロのエースというと、あの!?」

 

聖グロリアーナの背番号33番。それは高校空戦道の関係者たちにとって広く知られた存在だった。かつて全国の学園艦上空に現れ、エース達を狩ってきた黒森峰のエース。それを返り討ちにしたパイロットとして伝説となった。それがサザーランドなのだ。

 

「不覚! 背後を取られ──―

 

無線を終える間もなく、スピットファイアの20mm機関砲の餌食となった一機目の隼。

 

「操縦桿を握る手の震えが止まらん! 何故だ!?」

 

一瞬で味方機を失ったことに理解が追いつかない、もう一人の知波単パイロット。

 

「オモイカネ殿、自分は撤退致す。どうかご武運を!」

 

残った二機の片方も、恐れをなして逃げ出した。こうなればもはや命運は決したも同然だろう。

 

「まっ、待て! こんな化物、私一人でどうしろと──―

 

一人目と同様に、二機目の隼パイロットも混乱している間に撃墜されたのだった。

 

 

 

 

『隼が二機撃墜されたのを確認した。どちらも聖グロリアーナのエースによる戦果だ』

 

遠方のE767早期警戒機からレーダーで見張っていた審判の亜衣梨が、無線で全ての機体と車両に報告する。

 

「開始から5分足らずで二機撃墜とは……。私のデータをもってしても予想外でした」

 

チャーチル戦車の内部でパソコンによる状況分析をしていたアッサムも、これには驚いた様子だ。

 

「これなら空も安心して任せそうですね、ダージリン様」

 

「そうかしら? まだ不安材料は残っていると思うけど」

 

ダージリンの言う不安。それはすぐさま的中した。

 

「やばいよ、疾風に追いかけられてるよ! 誰か助け──―

 

突如、聖グロ側のパイロット一人から送られた切羽詰まった無線が途切れてしまう。

 

『ハリケーン一機が墜落した。知波単側の戦果だな』

 

いきなり撃墜された聖グロ側の戦闘機。それが知波単の誰によるものなのか、サザーランドには察しがついていた。

 

「疾風……。これはもしや、知波単エースの仕業かしら?」

 

その予測は当たっていた。今ハリケーンを落としたのは、知波単空戦道のエースだった。

 

「ほっほっほ! わっちの前には成す術無しじゃったの!」

 

彼女のTACネームはカグツチ。四式戦闘機疾風を巧みに操る少女だ。サザーランドとは以前、サンダース付属学園艦の上空にて交戦経験がある。そのときはサンダース付属のエースと二人掛かりでようやく倒せた強敵だ。

 

『見つけたわよ、知波単のエース!』

 

サザーランドは機体を反転させ、味方が撃墜された空域に戻ると、その疾風と遭遇した。

 

『む? お主は確か、以前わっちを落とした仇敵じゃな! 丁度良ゐ。積年の恨み晴らしてやるのじゃ!』

 

エースを倒せるのはエースだけ。それが空戦道における掟だ。聖グロと知波単の試合が決定された時点で、サザーランドとカグツチが再び相まみえるのは運命だったのだろう。

制空権を左右する、エース対決の始まりだ。

 

 

 

 

*

 

 

 

 

地上の平原を走行する、聖グロリアーナの戦車隊。

まだ知波単の戦車とは遭遇しておらず、各車両は警戒にあたっていた。

 

「ダージリン様。先ほどサザーランドさんに言っていた、()()()って何でしょうか?」

 

「フフ。それはね……」

 

味方の戦車が周辺を護衛中の、チャーチル戦車は比較的安全だ。仮に地上の何処かから不意討ちを喰らっても、周りにいる戦車が壁になってくれるからだ。

 

 

だが今回のルールでは違う。

 

「……あら? プロペラの音?」

 

オレンジペコと他愛のない会話をしていたダージリンは、外から妙な音が聞こえてくるのに気が付いた。

外の様子を見るために、ハッチを開けて上半身を乗り出す。

 

「戦闘機……? 味方のかしら」

 

上空から徐々に接近してくる機影を、彼女は目を凝らして観察した。味方機であれば特に心配する必要は無いが……。

 

「あれは……!?」

 

その向かってくる機体が一瞬光ったとき、ダージリンは咄嗟にハッチを閉じて身を守った。

直後、プロペラの音が大きくなってきたと思うと、チャーチル戦車の装甲がカンカンと金属音を立てる。敵機からの機銃掃射だ。

 

「敵機来襲よ! 対空戦闘用意!」

 

すぐさまダージリンは全車両に命令を下し、対空機銃の発砲を開始する。

砲手のアッサムも横の小さな窓から、上空の敵機を確認する。

 

「あれは知波単の一式戦闘機。どうやら反転して再び攻撃してくるようです」

 

この機銃掃射を仕掛けた隼は、さっきサザーランドから逃げ出したのと同じ機体だ。制空では相手エースに負けてしまうから、対地攻撃に切り替えたのだろう。固定武装である二門の7.7mm機銃で、再び攻勢に出る。

 

「ぬう。まるで効いていないな……」

 

空対地攻撃をする隼のパイロットだが、聖グロの戦車はびくともしない。装甲の厚いイギリスのチャーチルやマチルダ相手では、戦闘機の機銃では威力不足なのだ。

 

「なかなか撃ち落とせないわね……」

 

一方で、ハッチに取り付けられた機関銃で応戦するダージリンも決め手に欠けていた。通常の戦車では航空機を撃墜するのは難しい。

そこで対空戦車の出番だ。

 

「ローズヒップ! あの戦闘機を撃墜なさい!」

 

「遂にこの時が来ましたわー!!」

 

ダージリンから直々に命令されたローズヒップが、興奮しながら照準を敵機に合わせる。

今回彼女の乗る戦車は、対空戦車仕様のクルセイダーAA(Anti Airの略)だ。主砲の代わりに20mm対空機関砲二門を搭載している。地対空性能はそれなりにあるだろう。

 

「しまった! 対空戦車か!」

 

「おっほほほほほ! この弾幕からは逃げられないんですのよ!」

 

対地攻撃のために低空飛行をしていた隼に、対空砲火が襲い掛かる。必死に振り切ろうとする知波単パイロットだが、ここで更にもう一両のクルセイダーAAから追い打ちを受ける。今回の聖グロは合計二両の対空戦車を投入しているのだ。

 

「参ったー!」

 

凄まじい対空砲火によって、襲い掛かった一式戦闘機隼は撃墜された。

敵機から味方を守りきった、対空戦車の任務達成だ。

 

 

 

 

『聖グロの対空戦車が敵機撃墜!』

 

「やりましたわダージリン様! 対空戦車も意外と楽しいですわ!」

 

「よくやったわローズヒップ。今後も防空は任せるわよ」

 

隼撃墜で安堵の息に包まれる聖グロの戦車隊。

だが新たな脅威が近づきつつあった。

 

「こちらニルギリ、敵戦車を発見しました!」

 

知波単の戦車隊と会敵し、今度は戦車戦が始まる。

 

「ローズヒップ。一旦下がりなさい」

 

ここでダージリンは、クルセイダーAAを味方の後ろに退避させた。対空戦車は対空砲を載せるために、主砲と装甲を犠牲にしている。このような撃ち合いとなると不利なのだ。

 

「うーん……。こうなると巡航戦車時代の主砲が恋しいですわ……」

 

とくにローズヒップは今まで自分から前線に突っ込んでいくタイプだったので、このような状況は歯がゆいかもしれない。

対空戦車は一長一短だ。

 

 

 

*

 

 

 

 

「わっちの機体が火達磨じゃー!?」

 

同じころ、空ではエース対決の決着がついていた。

 

『四式戦闘機疾風が飛行不能!』

 

サザーランドが、知波単エースのカグツチの機体を撃墜したのだ。これで知波単側の残る航空機は一機のみである。

 

「骨の折れる相手だったわ。でもこれで航空優勢は確保できそうね」

 

彼女のスピットファイアはほぼ無傷で勝利できた。前回と比べてパイロットとしての技量も、機体性能も向上したおかげだ。

 

「お待たせしました、先輩」

 

ちょうどそのとき、爆弾を装備したテンペストに乗るメイヨーが到着した。

 

「ベストタイミングよ、メイヨー。制空権は取ったから、いよいよ対地攻撃に移りましょうか」

 

「シミュレーター訓練の成果を発揮するときですね!」

 

そこに、地上にいるダージリンが無線が入る。

 

「サザーランド、聞こえる? 少し苦戦しているの。航空支援をお願いしたいのだけれど」

 

どうやら予想に反して、地上での戦車戦は互角となっているようだ。空からのサポートが重要な場面である。

 

「了解。すぐに助けに行きましょう、メイヨー」

 

「近接航空支援ですね! 頑張ります!」

 

合流したスピットファイアとテンペストが、高度を下げて味方戦車へと急ぐ。

ここでの近接航空支援の成否が、勝敗を分けるだろう。

*1
スピットファイアのキャノピーがバブルキャノピー仕様になったのはMk.22以降

*2
機体内部に設けられ、使用時のみドアを開閉して投下する爆弾庫




陸と空の並行して進む戦いを書くのは難しいですね。
ちなみにスピットファイアは爆弾を250kgくらいしか搭載できません。大人しく制空しとけって事です。
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