不運な味噌屋は帰りたい   作:ガラクタ山のヌシ

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第10話

「さぁ一色先輩!!遠月十傑第七席の座をかけて、オレと勝負だぁぁ!!」

 

「……………」

 

寝て起きて、朝食を食べに下に降りると、なにやら物騒な発言が聞こえて来た。

たぶん声から察するに、あの挑戦的な編入生くんだろうことは想像に難くない。

他のメンバーも華麗にスルーを決めていたところを見るに、常識外れなことを言っていたのは事実らしい。

よかった。

ズレてるのがわたしの方じゃあなくて本当によかった。

 

「元気だねぇ〜…」

「あはは…まぁでも幸平くんらしいんじゃないかなぁ…」

 

お盆を手に、隣の席に座るのはここに来てからお世話になりっぱなしの田所恵ちゃん。

もう、この極星寮きってのわたしの精神的な癒しだ。

 

「あはは…すまないね創真くん。説明不足だったみたいだ」

 

困ったような笑いを浮かべ、この学園に於ける勝負の概要を話す先輩。

 

遠月学園に於ける学生間の揉め事の対処として行われるのは『食戟』と呼ばれるシステム。

 

勝者は全てを手にし、敗者は全てを失う。

ただ、その食戟を行うにあたり、必要なものがいつくかあるとか。

なお、前提として両者のかけるものも要るそうだ。まぁギャンブルに於ける賭け金みたいなものか。

何も無いならそりゃあ何も賭けられんわな。

 

必要なのは大きく三つ。

ひとつ、正式な勝負と公式に認めてくれる認定員。

ちなみに幸平くんはの欲しがっていた十傑第七席の座は、彼自身の退学を賭けても足りないものらしい。そりゃあそうか。

ひとつ、奇数名の審査員。

ひとつ、対戦者双方の合意。

 

それらがあって初めて成立するとか。

 

…めんどくせぇ。

 

わたしみたいな一般人はそういうのとは縁遠い人生を歩みたいもんだ。

 

「あ、ところで一色先輩」

「うん?なんだい?」

 

笑顔でこちらを向く一色先輩。

胡散臭いけど、悪い人じゃあ無さそうなんだよなぁ。

 

「寮の裏の空き小屋のひとつ、誰も使わないようならわたしが使ってもいいですか?」

 

申請が必要かと思ってふみおさんに聞いたら先輩の許可があればいいとか何とか。

ちょうどいまいるし、正直ダメ元で確認だけでもと思って聞いてみたんだけども…。

 

「うん。構わないよ」

 

爽やかな笑顔で思いの外あっさりと了承がもらえた。

やったね!!

 

…で、後からその小屋の片付けに四苦八苦したのはいい思い出だ。

 

それと言うのも、こういうのは自分のスペースだから準備くらいは自分でやるのが鉄則なんだとか。

まぁ、大掛かりな機材なんかは使えないけど、それを差し引いても大豆やら何やら色々と試せる場所が出来たのは嬉しいけどもさ…。

 

「こんな重労働とは思わないじゃない…」

 

ウチの実家って恵まれてたんやなって…。

はは…思い出したらますます帰りたい…。

 

「が、がんばろ!!」

 

それとなんやかんや応援してくれる田所ちゃんマジ天使…。

 

 




主人公、小屋ゲット。
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