不運な味噌屋は帰りたい   作:ガラクタ山のヌシ

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なんだか筆が乗ったので投下します。


第16話

「それぞれの調理台に二十種類の味噌を用意してある。

これらを最適な調合にして、制限時間の三時間以内にふぐの味噌焼きをつくってもらう。なお、ふぐの切り身の毒袋は処理済みだからそこは安心するように」

 

最初の課題は『鮨ひのわ』で板長を務める関守先輩からのものだ。

わたしがペアを組んだのは、包丁さばきにはそこそこ自信があると言う彼。

でも最初の課題が味噌って…それもなんですし屋の先輩から?

いやまぁ、そこまでお高い店なんて行ったことないし、すし屋だからって焼き魚とか出しちゃあいけないわけでは無いんだろうけど…。

…ま、よく分かんないけど先輩なりに考えがあってのことなんだろう。

知らんけど。

料理は嫌いだけど、さすがにそんなわがままにせっかくペアを組んでくれた相手まで巻き込めないからなぁ〜。

公私は分けないとね。うん。

 

「しっかしふぐの味噌焼きとはまたシブいな…」

「どうする?味噌選びは?」

「まぁ、まずは実物を見ないことにはね」

 

実際先輩がどんな味噌を持って来たのか興味はあるし…。

そんなわけで…いざご開帳〜♪

 

うひゃあ。

 

コレは…予想以上だなぁ〜…

 

「よし」

 

数分かけて、一応全種類の味や香り、風味なんかは覚えた。

 

「うん…これなら…」

 

頭の中で合わせる味噌の種類とバランスをパズルのように組み立てる。

ふぐってたしか白身魚で、その中でも脂肪がかなり少ないんだっけ、それなら…。

たぶん、この中に限定するならコレが最適だと思うんだ。

恐らくイケるはず。

きっと、メイビー。

わたしのせいで減点になるのだけは気をつけないとねぇ〜〜…。

 

ーーーーーーーー

 

彼女から流れ出る雰囲気がガラッと変わる。

ただでさえ口数が多くはない彼女の沈黙が更に長く、雰囲気は固くなる。

 

深く、深く、集中しているのが見てとれる。

 

点と点を線となし、線と線とを結んで絵画の如き芸術と成す。

 

そんな、天稟。

 

刹那、堰き止めていた水が流れ出るかの如く、サラサラと書き出すと、ペアの生徒へとそれを差し出し、言う。

 

「…ちょっとお願いしたいんだけど」

「お、おう…」

 

彼女と組んだ男子生徒が若干狼狽えた様子で返事をする。

 

「このメモにある通りに味噌を持って来てくれる?」

「わ…分かったよ」

 

目の前にあるんだから自分で取れば…と、そう思ったのも束の間。

気圧される形でメモを受け取り、その通りの量を持ってくる。

 

「ありがと」

 

そう短く礼を言うと彼女は味噌を持って来るまでの間に用意していたのだろうすり鉢で味噌を混ぜ合わせる。

その動きには無駄や迷いは一切無く

 

「よし。材料の方は…」

「あ、ああ…準備出来てるけど」

「そう…じゃあ、ふぐの焼きはやっておくから、その他お願い」

 

そう言うや、テキパキと作業を始める彼女を見て、卒業生

、関守平は嬉しそうに頷いていた。

 




主人公ちゃん、次はどしよかな。
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