「あぁ〜しんどかったぁ〜〜…」
合宿中にあてがわれた自室に戻り、わたしはベッドに倒れ込む。
まさか試験の後に飯を作ることになるとは…。
なんだよ五十人前って、バカなんじゃねーの?
しかもご飯は各々で賄い作れって?
いや、そこは用意しといてほしいじゃん。ってか、普通にあると思うじゃん。
普通に…いや普通に。
しかも幸平くんはあっさりクリアしてたし…。
ってか、なんかイタリア?だかなんだかの金髪イケメン男子にめっちゃ絡まれてたし…ああいうの、よく受け流せるよなぁ。
わたしなら目をつけられたって事実だけで胃が痛くなってそれどころじゃあ無いんだよなぁ…。
しかも、寮母のおばあちゃんからは極星寮全員合格して来いって圧かけられるし…。
もし、仮に、万が一、わたし一人惨めに落ちたりなんかしたら…その時はまた納屋暮らしに戻るんだろうか。
せっかく自分で一から用意した味噌小屋も手放すんだろうか。
それはちょっとやだなぁ…。
「しかも明日からまた試験なんだろ〜〜?」
どういうわけか田所ちゃんとはグループ違うから、お話しして癒されることもできず…。
わたしのライフはもうゼロ通り越してマイナスなんよ。
ふと、手にある感触に意識を傾ける。
そういや、高級ホテルなんだよなぁ。ここ。
ふか…と、押しただけでも何というかうまく言えないが
高級っぽさ?が伝わってくる。
「ベッドやーらかいなぁ〜」
でも…なんだろ。めっちゃ落ち着かない。
一泊八万とか、普通にお客さんとして家族で旅行にでも来たんならまた違ったんだろうけど…ってか、思い返せばそんな思い出も無いなぁ。
他の子たちは、そんな思い出があるんだろうか。
まぁ…基本坊ちゃん嬢ちゃん学校みたいだし。
両手の指で数えられないくらいあるのかな。
そう思うと、なんかすっげぇここに居たくなくなってきた。
でも疲れて動くのも億劫で………。
「ハァ〜〜〜……」
思わずため息が出ても仕方ないと思うの。
もういっそのことわざとミスでもやらかして…。
な〜んて、思ったところでできっこないクセになぁ〜〜…。
それに……。
「流石にそれはなぁ…人としてなぁ…」
ヘンに真面目なところが顔を出すのが分かって自分でも嫌になる……。
でも、波風立てたくないんだよわたしゃ…。
幸平くんみたく、堂々となんて無理無理。
「でも、決まったレシピ通りに作れば良いってんならラクかもなぁ〜…」
ベッドの上でゴロゴロしつつ、はたとそんなことに思い至る。
でも内容は卒業生次第でしょ?
そんな甘くはないっかぁ〜〜。
だだっ広い部屋。
清潔な布団。
派手派手なシャンデリアに、ベッド脇の…えっと、ナイトテーブルだっけ?…には、荷物を置きに部屋に着くなり喉が乾いてソッコー冷蔵庫から取り出して水を飲んだコップが置きっぱだ。
「後で…片さないと…なぁ…」
疲労とストレスからか、わたしは目を閉じるとそのまま、意識を手放した。